チュオンサ、ホアンサに対するベトナムの主権を示す明らかな証拠が公開される
2014年05月13日付 VietnamPlus 紙

 ベルギー人の優秀な地理学者で、パリの地理学協会会員のフィリップ・ファンデマーレン(1795-1869年)が1827年に出版した世界地図帳では、ホアンサ諸島(訳注:中国名は西沙)とチュオンサ諸島(訳注:中国名は南沙)は、明確にベトナムのものであると示されている。
 5月13日の午後、この貴重な地図帳のお披露目・贈呈式にて、チュオン・ミン・トゥアン情報・通信省次官は、この資料がフランスやベルギーの学者から法律的価値について高く評価されており、ホアンサ諸島とチュオンサ諸島の言い争うことのできない主権はベトナムに帰属しているとした。
 トゥアン次官によれば、2014年4月初めに、グエン・クアン・ゴック教授(ベトナム歴史科学協会副主席)とグエン・ティー・ハイ氏 (在仏の大学院生)からの情報をえて、情報・通信省はこの貴重な資料の購入を対外情報局に指示したという。
 資料の購入は、ECO薬品株式会社が負担し、ゴック教授をヨーロッパに派遣してこの資料の調査と吟味にあたらせる費用と購入費用の全額を支援した。
 本地図帳は、ベトナムに渡る前、ベルギーのゲント市Nederkouter通り32番の古本屋Sanderusに所蔵されていた。
 地図帳の歴史的価値についてグエン・クアン・ゴック教授は次のように述べている。1827年にフィリップ・ファンデマーレンは世界地図帳を出版した。それは6巻から成り、5大陸が一緒にまとめられた7枚の地図、381枚の詳細な地図、そして40ページにおよぶ統計表と自然地理、政治、鉱産物についての多くの情報、が含まれている。
 世界地図帳は、天文観察や世界各地への旅行から得られた情報と共に当時の世界最善の地図を基に完成され、164万1836分の1の縮尺で統一して描かれている。大きさは53.5×37cmで、合わせれば直径7.755mの地球儀になる。この地図帳は正に、19世紀初頭の近代地図の作図・印刷技術の卓越した発展段階を印す偉大な里程標となっている。ここ200年近くで同地図帳はきわめて有名になり、世界各国で活用・使用されている。
 アジア諸国の地図は11枚あり、主に地図帳の第2巻に収められている。当時のベトナムは97番、105番、106番、110番の地図に紹介されている。「コーチシナの部分」の地図は106番の地図に載っていて、北緯12度から北緯16度までの中部の海岸線が描かれている。
 沖合には、パラセル(ベトナム名:ホアンサ)が北緯16度から17度、東経109度から111度の範囲にかなり詳細かつ正確に描かれている。地図中のパラセル諸島は、西方にパトル島、ダンカン島、東方にツリー島、リンカーン島、岩礁、北緯16度付近の南西にトリトン島、北緯14.5度あたりの南側深くにアンヴェスティガチュール島がある。地図には、パラセル諸島と認識されている区域の横に、安南王国に関する簡略な紹介文が載っている。
 「コーチシナの部分」とつながっているのは98番の地図で「中国の部分」と名付けられており、およそ北緯18度から21度、東経106度から114度の範囲で、広東地方と海南島が描かれている。つまり、中国の最南端は北緯18度に達していないことが示されている。
 さらに、20世紀初頭以前に作られた中国の地図は、西洋で作られた地図と完全に一致して、どれもすべて中国の最南端を北緯18度以南で描いているものはない。このことは単に同地図帳の客観性や正確性を反映しているというだけでなく、ベトナムのパラセル諸島における主権を証明する価値を高めることに貢献している。
 また、ゴック教授によると、 16世紀から、東海(訳注:南シナ海)上にパラセルという地名とパラセル西側の海岸地方をしるした東インド地域を描いた西洋の地図が若干存在している。17世紀以降、特に18世紀に描かれた多くの地図では、ダンチョン(訳注:ベトナムの阮氏の支配する中南部)地方との地理的位置・特徴やその主権関係がより明確に示されている。しかしながら、これらの地図のほとんどは、依然としてパラセルを東インド地域として見なしている。
 阮朝が成立し十分にベトナムの主権が確定された19世紀初頭になると、西洋の地図はパラセル諸島がベトナムの領土内にあり、ベトナムに帰属すると正式に認めていた。「コーチシナの部分」は、ホアンサ諸島の最も重要で大きな島々の位置(経度、緯度)、地理的特徴、西洋名をきわめて正確に描いた最初の地図である。コーチシナ区域に描かれた地図は、安南王国と切り離すことのできない一部分であり、パラセルにおけるベトナムの主権が国際的に認められていたことを明確にして正確に証明している。
 フィリップ・ファンデマーレンの世界地図帳は、あらゆる角度から見て、祖国ベトナムの神聖な海と島の主権を守る闘争にとって、きわめて貴重な資料であり、強力で的確で効果的で高度の国際法的価値を有す証拠だとグエン・クアン・ゴック教授は述べている。

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( 翻訳者:讃井綾香、土岐健太、榛澤萌、広瀬美佳 )
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