毎年ベトナムで約100万件の中絶が行われている
2014年05月20日付 VietnamPlus 紙
ベトナムで毎年の人工妊娠中絶(以下、「中絶」)件数は約100万件に上る。これは妊娠100件のうち51.9件が中絶することに相当し、特にベトナムの東南地方では(妊娠に対する)中絶の割合が80%に達する。
上記のデータは、5月20日に、ベトナム保健省所管の中央産婦人科病院がフランスの国境なき医師団とベトナム産婦人科・計画出産会との共催で行ったベトナム-フランス産婦人科協会の会議において公表された。
研究によると、出産年齢にある女性1,000人中83人が中絶を経験し、女性1人当たり2.5回の中絶を行っている。つまり、一人のベトナム人女性が生涯の妊娠可能年齢の中で中絶する回数は2.5回であることを意味している。
中央産婦人科病院のグエン・ティ・ホン・ミン第二専門医は、望まない中絶とは社会全体の中でありふれた問題であることを強調する。中絶は避妊の一方法ではない。世界保健機関は、ベトナムについて、アジアで最も中絶率が高く世界でもトップ5のうちの一か国と評価する。
ここ数年間にもベトナムにおける中絶率は引き続き上昇している。ベトナムにおいて中絶手術は合法と見なされており、医療システムの中で分担されたそれぞれの機関において女性の要望に応じて常に(手術を)受けることができる。こうしたことから、(中絶以外の)各種の避妊方法を活用する割合も増えてはいるものの、中絶は健康サービスの分野において、目下、ベトナムが向き合わなければいけない最大の試練である。
ヴィンフック省出産健康ケアセンターのダン・ヴァン・ハイ氏は、「ヴィンフック省出産健康ケアセンターに中絶目的で来訪する女性の妊娠12週までの中絶状況と避妊対策に関する理解の評価」の研究に基づくと、中絶の理由として、すでに十分な数の子どもがいる(34.2%)、(先に生まれた)子供がまだ小さい(22.5%)、未婚(17.5%)、学業上の理由(5.4%)、その他(11.2%)が挙げられると述べる。
その一方、研究結果からは、インタビューを受けた女性の100%が最低ひとつは避妊方法を知っているということも明らかになった。また、出産後および中絶後に避妊方法を適用すべき最も早い時点に関して正しく理解している女性の割合は低いとされる(出産後20.4%、中絶後42.9%)。
ミン医師によると、女性に通常の妊娠を中断したいと思わせる最も大きな理由は、子供を作ることを延期したいためという。その理由に続き、経済的に困難である、養育のための保障がない、働き始めたばかりで収入が不安定である、まだ学生であるなど社会経済的な要因に関連する理由もある。
その他にも、(胎児の)性別の選択(訳注:ベトナムでは伝統的に男児の誕生が好まれる。)、未婚など社会の圧力から中絶が行われているケースもある。一方、安全で効果的な避妊方法の欠如、誤った避妊方法の活用も中絶の増加に繋がっている。
会議では、専門家と科学者が40以上のスピーチを行い、婦人科、産科、新生児科、出産前の診断サポート、家族計画のための妊娠前のサポートなどのテーマについて集中的に議論が行われた。
他にも、乳がんの際の乳房プラスティックサージャリー(訳注:がんの根治性と整容性を向上させる最新の乳がん手術)、中央産婦人科病院で2013年から2014年までに行われた腫瘍の腹腔鏡下手術(訳注:子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症などの手術)、新生児の蘇生、中央小児科病院で9年間にわたり行われているアミノ酸、有機酸、脂肪酸の先天性代謝障害の高いリスクの新生児に対するスクリーニングと診断についてなど、多くのスピーチが会議出席者からの注目を集めた。
( 翻訳者:伊牟田梨加、梅原美希、田中洋行 )
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