米博士:「石油採掘リグ設置事案の中でベトナムの利点は国際世論が支持していること」
2014年06月10日付 VietnamPlus 紙

 石油掘削リグ「海洋石油981」(以下、HD981)の設置とベトナムの排他的経済水域への船舶の侵入などベトナムの主権に対する中国の重大な違反行為への対応に関し、米国ニューハンプシャー州のダートマス大学で米国の対外関係史とベトナムの歴史を専門とするエドワード・ミラー講師(博士)は、現在のベトナムの対中闘争における利点は国際世論の支持(を得ていること)であると述べた。
 ミラー博士は、世界中の多くの人々が中国は他国に干渉しこれらを(自国のために)利用する好戦的な強国であると認めている、と述べる。これまでに中国が南シナ海で示してきた行動は、南シナ海において軍事力で優勢に立とうとする試みの一部である。中国がHD981を設置したのは経済目的ではなく、その背後にあるのは政治的な動機である。しかし、そのために中国が払わねばならなかった対価とは国際世論の舞台における評判であった。
 「国際世論はベトナム側に傾いていると言える。多くの人々が、中国の南シナ海における行動のみならず東シナ海での行動も見守っており、中国が海洋において膨張政策を進めていると感じている。そのため国際社会の多くの人々が中国に疑問を抱いている。これは、今回の脅威にあってベトナムが国際世論からの支持を得る上での利点となっている」とミラー博士は言う。
 またミラー博士は、ベトナムは国際世論の支持をより一層集める必要があると同時に、実施可能な次のステップとして国際法の各種枠組みの活用もあると述べる。南シナ海は、多くの国にとり交易の利益と航海の自由を得る場であることから、ベトナムは中国に対する国際的な圧力を高めるべく、現在の衝突を国際化することで利点を生かすことができるだろう。現在までに衝突は主に(越中間の)領土問題に集中しており、ASEAN各国、さらには米国にとって重要な問題ではない。しかし、交易と航海の自由は重要な問題であることをASEANと国際社会に強調する必要がある。
 中国が南シナ海における主権を主張する中で軍事力を行使していることについて、ミラー博士は、中国の若干の指導者は1974年の海戦(中国によるベトナムの西沙諸島(ホアンサ諸島)占領)が彼らの政策が成功した象徴と認識していると述べた。多くの展望を有している今日の中国の政策は、彼らがその海戦から学んだ支配権を勝ち取るために力を行使するとの教訓を拡大したものである。ミラー博士は、中国が少しずつ現状を変えるため意図的に計算された方法で、このような行動を続け軍事力を使っていくだろうと述べた。
 地域における海上の各係争に対する米国の関与の役割について、ミラー博士は、米国は西沙諸島と南沙諸島(チュオンサ諸島)に対する主権争いに関心はないが、南シナ海における航海の自由と交易の問題に大きな利益と関心を持っていると述べた。米国の指導者達は中国の行動に深刻な懸念を抱いていることも、ベトナムが中国に対する圧力の高まりを狙って多方面で努力する中で米国の支持を活用するチャンスである。
 ミラー博士によると、中国は将来も石油掘削活動を続ける可能性が高いことから、ベトナムは対応策を準備する必要があると述べる。
 同博士は、「将来、引き続き中国は同様の行動を取るだろう。(今回の)石油掘削活動は天候的要素や台風の危険により年内に一定の時点でしか実施されない。(しかし)私は来年の夏に同様の行動が起こると見ている。したがってベトナムはそのために準備する必要がある」との認識を示した。

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( 翻訳者:辛川翔太、山田英輝 )
( 記事ID:864 )