ミャンマー独自の比例代表制への道(10-23-16-1)ノーコーコー
2014年06月23日付 The Voice 紙

民族代表院選挙のための比例代表制の適用案は連邦団結発展党議員の支持により議会を通ったが、今後の予定に関しては未だはっきりとしていない。

 比例代表制の運用方法は様々に異なっているため、どのような制度を用いるかを議会委員会が吟味し決定しなければならず、議長はミャンマー独自のやり方でなければならないと述べているため、より一層興味深くなっている。
 ミャンマー独自となりそうな比例代表制の案は様々にある。

検討事項 いくつかの案
 民族代表院で提案したドー・キンワインチーは、比例代表制を全国で実施することを意図しているのではなく、管区域においてのみ実験的に適用するよう主張したと本誌に述べた。
 「諸州は含んでいない。私は管区域でのみ行うように言ったのだ」とドー・キンワインチーは言う。
 ヤカイン州のような地域では現地の状況により比例代表制を適用することが困難であるため、少数民族の多い州部においては現在使用している単純小選挙区制を使用し、管区域においては比例代表制を使用することで、小選挙区比例代表併用制を実現しようと努力すると同氏は付け加えた。
 それならば、少数民族政党としても断固拒否の反対姿勢をとらず、管区域においてのみ比例代表制を始められるだろう。
 それが管区域においてのみ運用可能な案だ。
 ティーポー郡選出の国民代表院議員ウー・イエートゥンの述べるようにまた別の考え方もある。
 万難を排して実施しようとするならば、比例代表制に反対している少数民族にとって都合のよい得票数集計方法を規定する必要があると彼は述べた。
 全国からの得票をまとめて数えず、州ごとに数えて議席を比例分配するのであれば、少数民族政党が(州の比例ブロックでは―訳者注)多数派を形成できる可能性も残るとウー・イエートゥンが予測した。
 「全国での得票数を合計すると、少数民族政党は絶対に勝つことはない。州ごとに集計すれば、少数民族にも勝つ見込みがあるだろう」と同氏は考える。
 そうでなく、各政党の全国での得票数に比例させて議席を分配するとなると、少数民族政党は議席を獲得できそうもなく、ほぼ全ての選挙区において競うことができる連邦団結発展党のみに利益があると議員たちは語った。

最近の論争
 民族代表院の比例代表制委員会に所属する議員たちの議論に基づいて適切な案を一つ作り、連邦選挙委員会に提出しなければならず、その案に基づいて選挙に関する法律を改正しなければならないことを議員たちが述べた。
 「比例代表制を適用するならば少数派政党が生き残ることは不可能である。憲法にも反しているので、比例代表制を用いるという憲法へと改正しなければならない」とチン民族の民族代表院議員ウー・ゾウンフレータンが指摘する。
 比例代表制を運用するための諸制度を検討し、選挙委員会に報告する責任がある民族代表院の比例代表制委員会が作業を開始しないうちに、NLDの議員5人が脱退してしまった。
 さらに、同委員会から少数民族政党の議員たちも脱退する可能性があることをヤカイン民族党副議長エーマウン博士が述べた。
 「比例代表制のために政党が増えるだろう。もう一つは、小政党を消し去るべくこの制度を利用しているとの解釈もでてくるだろう。将来には比例代表制が役に立ち得るが、いま実施すべきでない」とモン民族の民族代表院議員バニャーアウンモー博士が説明した。
 軍人議員たちも、比例代表制は時間を取って大規模に実施する必要があるため、民主主義が歩み始めたばかりの現在のような時期には実施すべきでないと反対した。

不確実さ
 比例代表制の考え方に従って選挙に関する法律や施行細則を改正する必要があること、憲法に合致しないならば憲法改正まで行う必要があること、少数民族の議員が引き続き反対していることなど、比例代表制を実施するには不確実な状況にある。
 民族代表院法案委員会委員ウー・アウンチョーウーも比例代表制の導入は滞っていると本誌に語った。
 憲法改正の必要や、全少数民族政党の更なる反対などに直面すれば、比例代表制の導入を実現することはできず、元の制度のままにしておかざるをえないだろうとエーマウン博士は予測する。
「情況はまだ何とも言えない。比例代表制が完全に失敗してしまうこともありうる」と同氏は言う。
 一方、単純小選挙区制のため、白黒つけたがりがちなミャンマー社会では、選挙ごとの圧倒的多数派の形成が政治的安定を脅かし、国家の基本原則の不安定化に道を開くようなことになりかねないと話す研究者もいる。
 国民民主勢力(NDF)はその論点を踏まえて単純小選挙区制は一党独裁主義を生み出しうることを説明した。
 しかし、国民民主連盟(NLD)はその論点を受け入れない。ミャンマーのこれまでの選挙では単純小選挙区制のみを採用してきたが、一党独裁とはならずに、軍隊が権力を奪取して初めて独裁主義になったと同党中央委員会委員ウー・ウィンミンは反論した。
 ドー・アウンサンスーチーもその発言に関連して、「一党独裁になるというならば、なぜ2010年にも比例代表制でしなかったのか。NLDが勝つであろう番になってから始めるのはどうしてか」と疑問を呈した。
 軍人議員たちも、比例代表制を選択することで野党が不満を示し不安定が生じることを望まない旨、彼らが勝つ番になってから比例代表制を採用するならば不平等でもあり、そのようになることは望まない旨など述べた。
 連邦選挙委員会でさえも、論争となっている同制度の採用は議会の決定次第であると述べており、比例代表制の実現は議会権限に属する事項となって、議会においてその是非が議論されることになる。
 また、比例代表制はミャンマーと全く接点がなかったため、ミャンマーに相応しいミャンマー独自の比例代表制というのは諸委員会にとり頭が痛い問題になるだろうと一部の議員が論評した。
 ミャンマーで政治制度や国家の基本原則が形成されようとするときに、もてはやされすぎている「ミャンマー独自」が比例代表制をどのような形に鋳出すのであろうか。民主主義でさえまぎれえもなくミャンマー独自の民主主義として解釈されているのである。
 法案委員会委員ウー・アウンチョーウーは「ミャンマー独自と言っても議会の委員会はどの制度を選択してくるかまだわからない。ここでは一度も比例代表制を採ったことがないのだから」と見解を述べた。

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( 翻訳者:小林奈那 )
( 記事ID:872 )