少数民族が比例代表制に反対、更なる螺旋(10-28-9-1)
2014年07月28日付 The Voice 紙

 議会内で、少数民族代議員たちが無言のボイコットを始めた。
 国民の代表により法律を起案制定する国民代表院の代議員たちが、許可を得ず審議を欠席、ボイコットしたものである。
 7月24日に、国民代表院議会で選挙の比例代表制(PR)について議案が提出されたが、受け入れられないという理由で、少数民族諸政党所属の40名を超える議員が議場を立ち去った。
 そのように、少数民族政党の代議員が議会に出席せずボイコットに出たのは、比例代表制を少数民族は受け入れない旨、国民代表院議会議長のトゥラ・ウー・シュェマンに表明したものであると、同議会代議員のウー・イェトゥンは述べた。
「比例代表制で選挙を行うべく議案が提出されたことに対し、少数民族代議員は拒否するということを示したいのだ」と同氏は述べた。
 少数民族諸政党は、比例代表制による選挙を受け入れていない旨表明しているが、国民代表院議会に議案が提出され審議に入ったため、少数民族が拒否、ボイコットすることで、不同意であることを、改めて明確に示したものである。
 しかし、比例代表制を受け入れないなら、審議の過程で自由に批判、反対する権利があるのだから、審議に出席せずボイコットするのは、代議員としての任務を果たしてないと、同議会代議員ゾーミンペー博士は話す。
 「代議員の一人として果たすべき責務と、党員の一人としてのそれとを秤にかけてみる必要がある」と同氏は述べる。
 他方、少数民族政党の比例代表制に対するボイコットは効果がないと、連邦団結発展党(USDP)の代議員ウー・フラスェーは指摘する。「議会内において、そうしたボイコットに出ても効果はない」と同氏は言った。
 少数民族の代議員が議会を欠席しボイコットしただけでなく、その後の議会内での審議においても、国民民主連盟(NLD)党の党首ドー・アウンサンスーチーを含む少数民族代議員が反対したが、連邦団結発展党所属議員による支持票多数のため、その議案は承認された。
 そうしたかたちで、国民代表院議会において選挙で比例代表制を採用するという議案が承認されても、少数民族諸政党は受け入れられない旨、事前に議会に政治的圧力をかけたものであると、国民代表院議会代議員のウー・イェトゥンは述べた。
 同様に民族代表院においても、代議員を比例代表制による選挙で選出するという議案に、国軍兵士議員と国民民主連盟を含む少数民族諸政党が反対したが、投票による決定では支持票が多かったので、民族代表院議会は6月第2週に承認、比例代表制の実施に向けて、36名の代議員から成る比例代表制実行委員会を、6月の第2週に組織している。
 少数民族諸政党が比例代表制に反対して、議会をボイコットしたことに対し、政党の利益より、国家の利益を考え行動すべきであると、民族代表院議会比例代表制実行委員会委員長、ゾーミンペー博士は述べる。
 しかし、少数民族地域において、比例代表制が実施されるよう、連邦議会に提出された場合、少数民族諸政党が指揮し、関係する少数民族諸地域において、抗議行動を行う準備は整っていると、20余りの少数民族政党から成る少数民族同盟の一つ、少数民族同胞政党連合(NBF)は先週声明を出している。
 今後行われる選挙で、比例代表制を採用すれば、大政党に比して少数民族諸政党は、選挙に勝利するのに、より多くの困難に直面することになるだろうと、国民民主連盟(NLD)中央執行委員のウー・トゥントゥンヘインが述べた。
 比例代表制は、ミャンマーの変革と国民全体に利益もたらすことは無く、一部の政党に利するだけなので、ミャンマーの選挙制度を比例代表制に変更すべきではない、とNLDの党主ドー・アウンサンスーチーと少数民族政党の6政党が、7月5日に共同声明を発表している。
 ミャンマーの政治は、複数政党制民主主義であり、少数民族による反対の意思表明を重視すべきであると、少数民族代議員らは語る。
 先に、国家に利益をもたらすのであれば、次の選挙では比例代表制が採用されると、連邦議会議長トゥラ・ウー・シュェマンは述べている。
 シャン民族民主党の代議員ウー・イェトゥンは、「我々は、少数派だ。それがやりたいようにやるとなれば、大きなしっぺ返しを食う恐れもある」という。
 他方で、連邦団結発展党の党首として職務に着いていている連邦議会議長トゥラ・ウー・シュェマンが、比例代表制は少数民族にとっても公平なものでなければならないと、6月最終週の少数民族諸政党との会見で約束している。
 ミャンマー国内で、人口の密度に応じ地域を分けて行う比例代表制を実施すべく、報告書を作成していると、連邦団結発展党の党員で実行委員会の委員長、ゾーミンペー博士は述べた。
 比例代表制委員会の動向を見守ることなく、議会を欠席ボイコットすることが、正しいことなのかどうか、よく考えてみるべきだと同氏は語った。
 しかし、少数民族代議員は、比例代表制に反対し、ボイコットという巻き返しに打って出た。
 効果はないしやるべきではない、という批判に対して、シャン民族民主党のウー・イェトゥンは以下のように反論した。
 「効果がないとは言えない。少数民族諸政党がある種政治的な戦略を用いたものだ」と同氏は述べた。
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( 翻訳者:土肥眞麻 )
( 記事ID:961 )