ベトナムの子供の51%が亜鉛不足の状態
2014年12月02日付 VietnamPlus 紙
2010年に国が行った栄養調査の結果によれば、栄養性貧血の5歳以下の子供の割合は29%であり、ビタミンAが不足している子供は14%、そして亜鉛不足の子供は51%であった。
この情報は、5歳未満の子供の微量栄養素(訳注:ビタミンなど微量で足りる栄養素)欠乏による疾患の予防の重要性を喚起するため国家栄養研究所によって1日午後にハノイにて開催された微量栄養素デーのイベントで提示された。
ベトナムの人口はおよそ9000万人と推定されているが、そのうちおよそ710万人が5歳以下の子供である。
2012年の国家栄養研究所の調査によると、現在の乳幼児及び子供の典型的な食生活はエネルギー不足であり、子供の成長のために充分な栄養素と微量栄養素を供給しきれていない。
レ・ダイン・トゥエン准教授による栄養分析の研究によると、微量栄養素の不足は、子供の成長にマイナスの影響を及ぼすとのことである。ベトナムでは、5歳未満の子どもたちの栄養失調による発育不全の割合はほぼ26%である。つまり4人に1人以上の子供が発育不全で、成長の最大レベルに達することができずにいる。
トゥエン准教授によると、亜鉛は明らかに子供の身長の伸びに影響を与えている。そのため、ベトナムでは栄養失調の子供の率が非常に高く、他の子供たちよりも背が低い子供の率を押し上げるにことにつながっている。従って、亜鉛の供給は、子供の身長を伸ばす助けとなり得る解決策の1つである。
亜鉛は動物性食物に多く含まれており、遠隔地・山間部などで、子供の食事が野菜のみでは子供に充分な亜鉛を供給できない。子供たちに亜鉛を補給するためには、両親が子供たちに様々な動物性食物と併せて多くの異なる種類の食品を食べさせる必要があり、一種類の食品ばかり食べずに栄養素が豊富に含まれる食品を加えるべきだとトゥエン准教授は示唆している。
栄養改善のための世界連盟とアイルランド大使館経由でのアイリッシュ・エイドの支援を受けて、国家栄養研究所は「母、新生児、幼児の栄養状態改善」プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトはハイフォン、タイグエン、クアンナム、カマウの4つの省で実施されている。
プロジェクトの一環として、栄養研究所は世界保健機関(WHO)が推奨する基準に従って、15種類のビタミンやミネラルを含むマルチ微量栄養素の粉末サプリメントを製造し、配布した。また、研究所は医療従事者に対しカウンセリングや子供のための栄養ケア、水と衛生についての研修を実施した。
全国の他の省にもプロジェクトを展開するため、微量栄養素デーのイベントが開催され、子供のための栄養ケアの問題に関する情報交換をし、ベトナムの現状に対する提言が行われた。
訳注:亜鉛は生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70 kgのヒトに平均2.3 g含まれる。100種類を超える酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須である。亜鉛が欠乏すると活動性の低下、記憶や注意力の低下、味覚障害などの障害が出る。亜鉛不足は赤身の肉が少なく、穀物や豆類の摂取が多い国に起こりがちと言われる。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:一橋弘人 )
( 記事ID:1188 )