ベトナムの労働者:ASEANの中で最低レベルの賃金
2014年11月25日付 VietnamPlus 紙
「より良く共に繁栄する方向に向けた管理」をテーマとする2015年のASEAN報告によれば、ベトナムの最低賃金の水準は、ラオス、カンボジア、ミャンマーより高いものの、ASEAN域内では依然として最低レベルに位置している。
この内容は、11月25日、労働・傷病兵・社会問題省と国際労働機関(ILO)が開催した市場経済化と国際統合下の賃金政策に関するセミナーにおいて発表された。
セミナーにおいて、ILOアジア・太平洋地域事務所の賃金に関するシニア専門家であるマルテ・ルブーク氏は、ベトナムは最低賃金の低さだけでなく、平均賃金は月380万ドン(181米ドル)であり、ラオス(119米ドル)、カンボジア(121米ドル)より高いものの、フィリピン(206米ドル)、タイ(357米ドル)、マレーシア(609米ドル)、シンガポール(3,547米ドル)といったASEAN域内の多くの国よりも低い水準にあると述べた。
ルブーク氏は、ASEAN加盟国間の大きな賃金格差は、労働生産性を含む多くの面での格差を反映していると強調した。いくつかの国は、効果的なビジネス活動の基盤を作り出す要素である新たな工業技術の応用、インフラ投資、機構改革の実施、労働力の技能向上を行い、付加価値を高めより高い賃金水準を有する分野への移行を図っている。
ILOの報告によると、ベトナムにおける賃金労働者は労働人口の約3分の1のみである。この割合は賃金労働者の世界平均である約50%と比べかなり低い。しかし、ILOの各専門家は、今後10年で、ベトナムの賃金労働者の割合は増加し、世界との差は縮小するであろうと予測する。1996年のベトナムの賃金労働者の割合が僅か16,85%だったのが、2013年にはこの割合は34,8%まで上昇している。
また、ベトナムにおける賃金に関するILOの報告では、農業分野は労働人口の約半数を占めているが、賃金労働者の割合においては、ベトナムの総賃金労働者数の10%しか占めていないと指摘する。
特に、ベトナムにおいては、男女間の賃金格差の割合は10%にも満たないにもかかわらず、賃金が極めて低い農業分野に限ってみると、男女間の格差の割合は各分野の中で最も高く、32%にのぼる。しかし、平均賃金が最も高い2つの分野においては、女性労働者は男性労働者よりもやや高い賃金を受け取っている。
労働および賃金の各専門家は、地域と世界経済統合がより深化するなか、バランスを確保するため、ベトナムの賃金調整政策は改善される必要があるとの認識を示した。
賃金の調整は、労働生産性の上昇を通じ、ビジネスの発展・拡大を促進しながら、労働者が公平に労働の成果の享受できるよう保証しなければならない。
2013年の労働力調査によれば、農業、林業、水産業の労働者は、月平均賃金が最も低いグループに入る(263万ドン)。科学・技術、不動産経営など専門活動の分野と銀行、保険といった金融分野は月平均賃金が最も高い2分野であり、一月あたり約640~720万ドンにのぼる。
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( 翻訳者:渡辺杏里 )
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