死刑執行後、インドネシアは国際批判に備えねばならない
2015年04月30日付 Kompas 紙
4月29日未明、死刑執行の後に、ヌサカンバンガン重刑務所から出る薬物事犯死刑囚たちを運ぶ救急車両。
ジャカルタ、KOMPAS.com配信
国際関係評論家であるヤスミ・アドリアンシャ氏は、危険薬物事犯受刑者の死刑執行に関する様々な国際批判や国際世論に対し、インドネシアは対処すべきであると述べた。2015年4月29日未明、中部ジャワ州チラチャップ県ヌサカンバンガン島において、最高検察庁は、8人の薬物事犯死刑囚を処刑した。
ヤスミ氏はアンタラ通信に対して29日午前、「フランスのホランド大統領や、オーストラリアのジュリー外相、そしてパン・ギムン国連事務総長という世界のリーダーたちによる強い声明は、インドネシアがそれらの非難や強い反発に備える必要があることを示している」と語った。
オーストラリア国立大学の博士(国際関係)候補者であるヤスミ氏は、インドネシアは親交国との友好関係を維持するために、国際世論の同国への非難に反論するにあたってはより一層の配慮が必要だと評価した。
「インドネシアはこの一件を、死刑囚の出身国との間に生じると予測されるダメージへの対処に終始するような狭量な視野でとらえるべきではない。例えばフランスの怒りは、インドネシアに対するヨーロッパ連合(EU)のネガティブな態度にも波及的に影響する」とヤスミ氏は答えた。
またヤスミ氏によると、フランスと同様に自国民が処刑されたオランダもまた、ロブ・スワートポル大使を本国に召還するとして、強い抗議の意を示した。
「フランスもオランダも、影響力をもつEUのメンバーなのだ」とヤスミ氏は述べた。
そのため、指名された外務大臣または高官のみがメディアに対して死刑執行に関する発言の許可をすべきだとヤスミ氏は助言した。インドネシア共和国政府の明確な態度の表明は、緊張を緩和させる外交上の姿勢に一致する必要があり、相反してはいけない。
「そのほかにインドネシア政府がより積極的に行わなければならないのは、すでにこの国をもはや緊急事態に陥らせている危険薬物の影響について、国際メディアに情報を提供することだ」とヤスミ氏は述べた。
国際メディアの報道は、インドネシアにおける受刑者の人権の側面に、さらには法の腐敗にも焦点を当てた。このことは、インドネシアを追い詰めたと評されている。
「しかし、受刑者たち自身がインドネシアに対してもたらした最も深刻な危害や犯罪についての情報は、国際メディアに多く取り上げられず、公平性のためにも、受刑者側の人権は被害側の人権にも関連させる必要がある」とヤスミ氏は述べた。
報じられるように、4月29日の西部インドネシア時間0時25分、中部ジャワ州ヌサカンバンガン島にて、8名の死刑囚に同時に死刑が執行された。死刑囚は、ミュラン・スクマラン(オーストラリア)、アンドリュー・チャン(同)、マーティン・アンダーソン(ガーナ)、ラヒーム・A・サラミ(ナイジェリア)、シルヴェスター・オビークウェ(同)、オクウディリ・オヤタンゼ(同)、ロドリゴ・グラルテ(ブラジル)、ザイナル・アビディン(インドネシア)の8名。一方、フィリピン出身の死刑囚メアリー・ジェーンの処刑は延期された。
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( 翻訳者:北森理佐 )
( 記事ID:1364 )