2016年—2020年段階のベトナムにおけるエスニシティ問題についての予測
2015年12月15日付 VietnamPlus 紙
ベトナム社会科学院民族学研究所は、12月15日に開催した会議において、2015年の民族学の報告を行った。この報告は、研究の成果と制約を評価し、2016年—2020年段階と2030年までのビジョンにおける問題を確認することを目的としている。
民族学研究所の博士で準教授のヴオン・スアン・ティン所長は、2016年—2020年段階と2030年までのビジョンについて、経済社会の発展や、安全保障・国防において、エスニシティが依然として非常に重要な価値を持つだろう、と強調した。
また、エスニシティの発展・変化の過程は、地域や世界の文化工業・現代化・国際統合の大きな影響を受ける。世界中で日毎に激化している民族衝突を見れば、エスニシティの特色は、容易には失われず、新形式下での再構築が進行していることがわかる。
文化的特色の維持と、国家-民族間でのエスニシティの変化は、ベトナムにおける民族問題でカギとなる2つの分野である。
2012年から現在までのエスニシティについての研究は、民族学やアメリカやヨーロッパ、中でもアジアのエスニシティについての人類学への回帰が見られる。エスニシティについての研究は、依然としてベトナムでも他の国々でも関心を寄せられている。ベトナムや多くのアジア諸国における民族学から人類学への刷新・転換は、エスニシティ問題に特殊性と親近性を持つ。
30年以上にわたるベトナムにおけるエスニシティ研究は、民族関係、民族政策、貧困撲滅、移民、エスニシティと環境、文化的特色、文化の保持と開発など、民族問題の基本的な視点を反映している。
しかしながら、現在でも未だに研究の偏りが残っている。例えば人口が多いか、少ないか、居住地域はアクセスしやすいかしにくいかといった尺度や、研究課題が伝統文化やエスニシティの多様性を重視し、文化間の交流や影響、文化やエスニシティの一体性についての研究が少なく、まだ理論を重視せず、エスニシティ研究における人類学の役割もまだ理解されていないことに、偏りが表れている。
現在、人類学研究の専門家は未だ少なく、その中でもエスニシティやエスニシティに関係する問題について研究する専門家は少ない。
残存する問題と新しい傾向を認識した上で確定される今後の研究の方向性は、新しい背景におけるエスニシティの構造の研究に集中し、新しい条件でのベトナムにおける民族構成を確定する学術的基礎の構築に貢献しなければならない。
主な内容は、工業化・現代化、国際統合という背景におけるエスニシティの特色、多次元で複雑なエスニシティの関係、特に国家を横断するエスニシティの関係、経済社会の発展と安全保障・国防へのエスニシティ問題の影響、そして、民族関係の管理やエスニシティ発展のための党や国家の民族政策などである。
解決策について、ヴオン・スアン・ティン博士は、ベトナムと地域の背景に適したエスニシティの研究理論の応用とその後の構築、エスニシティについての人類学の重視、研究・育成組織や、民族工作を担う組織との密接な協力、エスニシティについての研究・育成における国際協力の増強などを強調した。
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( 翻訳者:寺澤美佐子 )
( 記事ID:2264 )