ケリー米国務長官、ベトナム戦争の記憶を共有する
2016年04月28日付 VietnamPlus 紙

 4月27日の夜(ハノイ時間4月28日の朝)、アメリカ・テキサス州の州都オースティン市にあるリンドン・B・ジョンソン大統領図書館にて、「ベトナム戦争サミット」という名称のベトナム戦争に関するシンポジウムが開かれた。このシンポジウムで、アメリカのジョン・ケリー国務長官は、かつて直接ベトナム戦争に参加した人間として同戦争についての感動的なスピーチを行ない、ベトナム戦争は過去を閉じて未来に向かうという教訓を示していると語った。
 このシンポジウムは、ベトナム戦争終結41年周年目のタイミングで、また米越両国の関係が力強く発展している中でバラク・オバマ米大統領が来たる5月末にベトナムに公式に訪問する前に開かれた。同シンポジウムには、かつてベトナム戦争に参加した退役軍人、政治家、ジャーナリストや、ベトナム戦争について研究している学者など、1000人近くの人が出席した。
 シンポジウムの発表で、ケリー国務長官は、アメリカがベトナム戦争の経験から引き出すべき最も重要な教訓は、ある国について評価する時はその国の人々のレンズを通して見る必要があることだ、と明らかにした。同氏は、非常に多くのベトナム人兵士の遺骨がまだ見つかっていないのに、ベトナム人民は恨みを乗り越えて、アメリカ人がベトナムに戻ってベトナム戦争中の行方不明米兵を捜索するのを認めてくれた、その「異常な」開放性を褒め称えた。
 ケリー国務長官によれば、ベトナム側がそう望んだのは、ベトナムの人々自身も戦争の過去を棚上げして未来に向かいたかったからである。同氏は、彼や他の多くのアメリカの退役軍人にとって、戦後の傷を癒し関係を正常化する過程は戦争の忘却ではなかったと強調した。なぜなら忘却は学ぶのを止めたことを意味するからである。
 ケリー氏は、米越関係が国交正常化20年で急速に変化したと強調した。ベトナムを訪れるアメリカ人旅行客は6万人から50万人に増え、二国間の貿易額は4億ドルから450億ドルに増加し、アメリカにおけるベトナム人留学生の数は800人から1万9000人に増加した。
 ケリー氏は、意見を異にする点が未だ残っているが、両国はそれを乗り越え、互いの政治体制を尊重する努力をしていると認めた。現在、両国は各分野での協力を強めている。特に安全保障問題において、軍と軍の関係は日に日に拡大している。両国は、全世界の40%以上のGDPを占める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加し、メコン川に関する問題について密接に協力しており、フルブライト大学が今年末にホーチミン市で開設される。
 ベトナム戦争中、アメリカ海軍に勤務していた際に、ケリー氏は軍人として多数の勲章を授与されている。しかし退役後、同氏は強力な反戦者となり、1971年のアメリカでのベトナム戦争に反対する激しいデモの波に身を投じた。ケリー国務長官は、シリア、朝鮮のような戦争によって破壊された国々あるいは自称「イスラム国」に対する戦争での解決方法を模索する時には、いつもベトナム戦争の記憶を思い起している、と述べた。
 ベトナム戦争、戦争の教訓と遺産に関する率直な意見交換を目的とした3日間(4月26日~28日)わたるシンポジウム「ベトナム戦争サミット」には、リチャード・ニクソンとジェラルド・フォードの2人の米大統領に仕えたヘンリー・キッシンジャー元国務長官、反戦運動家のトム・ハイデン氏、有名な写真「ナパーム弾から逃げる少女」でピューリッツアー賞を受賞したAP通信の報道写真家ニック・ウット氏などの非常に多くの歴史的証言者が顔をそろえた。4月28日(ベトナム時間4月29日の朝)のシンポジウムには、ファム・クアン・ビン駐米ベトナム大使が重要なスピーチをすることになっている。

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( 翻訳者:阿部克哉、尾崎菜南、広瀬ないる )
( 記事ID:2479 )