食品の安全に対する信頼喪失の原因
2016年05月18日付 VietnamPlus 紙
5月18日午前、科学工業省所属の国家工業科学情報局(NASATI)およびベトナム商工会議所(VCCI)が開催した、食品の安全確保業務に関する科学・技術シンポジウムにおいて、科学者たちは、ベトナムの食品の安全に対し国民の信頼が喪失している原因について指摘した。
NASATIのレ・ティ・カイン・ヴァン副局長は、食品の安全問題はベトナムのみならず世界各国にとっての難問でもあると述べた。
ヴァン副局長は統計を用いて、アメリカでは毎年7,600万人近くが食中毒にかかり、食物に関連して約32万5千人が入院し、5,000人が死亡していると述べた。こうした中、欧州共同体では牛海綿状脳症(BSE)であたふたし、中国は牛乳にメラミンが含まれていたことに頭を痛めた。
「しかし、これら各国の政府は食品安全に関する規律違反を管理・阻止する対策を講じており、ベトナムとは大きく異なっている。各国は、農産物を畑から食卓まで、生産から消費まで厳格に管理し、とりわけ輸入食品を徹底的に検査している」とヴァン副局長は述べた。
このような見方に同感し、保健省食品安全局の食中毒監査局長であるラム・クオック・フン博士は、食品の使用に際しリスクは避けられず、管理・監査システムや統一的な法体系を有する先進国でさえも、食品の安全に係わり事故が発生していると述べた。
こうした中、ベトナムの食品生産・加工拠点の多くは規模が小さく、また収穫時期毎に生産を行っていることから、設備投資や工場を整備するための投資は限られている。庶民の間には血のスープや生魚の和え物など、保証できないような食品を用いる習慣が未だ残っている。また、経済水準が低いため、質の高い食品を購入し使用する状況になく、流れものの食品を用いなければならない者もいる。
また、フン博士は、上記のような客観的な見方による原因の他に、当事者側の原因として、ベトナムにおける食品安全管理業務の経費不足、および幹部の不足や専門性の欠如といった問題があると述べた。同時に、利潤追求が製品の質に先立つという市場メカニズムが多くのネガティヴな面を露呈しており、人々の健康に影響を及ぼしている。
ベトナム科学農業院農産物研究所の代表によれば、野菜の不衛生問題に至った真の原因は、生産者の意識が高くなく、肥料や植物保護剤の供給元の勧告や技術的ルールを遵守していないことにある。また、野菜栽培の行われている大部分の地域では、土壌や散水内の重金属残余量を監査できていない。
その一方で、現在、主に昔からある市場や小売店で売られている野菜は、産地ラベルがなく、生産元を突き止め生産者の責任にまでつなげることは困難であり、野菜の発展・分配に投資する企業はまだ少なく、加工・包装・配送の標準的なシステムが確立されていない。
こうしたことから、現状に歯止めをかけるため、農作物研究所の代表は、野菜・果物のバリューチェーンにおいて生産に携わる人々のため、野菜栽培のプログラムや支援策を講じること、生産・加工部門における品質や安全性を向上させるべく研究投資を行うこと、国民生活における食の安全を調査する部門の専門性を高めること、野菜や果物の生産における肥料・農薬について緊密に検査することなどの必要性を述べた。
フン博士は、教育普及・情報宣伝業務を強く推し進める必要があると助言している。特に、この闘いに参加している祖国戦線・農民会・婦人会などのような各組織の役割を発揮して、(直接的な)行動に代わって情報宣伝業務を行うことが求められる。
同時に、管理機関は、経営状況や農薬・成長促進剤の使用について厳密に監査し、食品の密輸入に対する監査、各生産拠点の経費補助、先端的管理モデルを適用した食品ビジネスを行う必要がある。
多くの科学者は、情報宣伝方策の傍ら、衛生面に欠けた野菜を生産する各組織・個人に対する処罰のレベルを引き上げ、また、野菜・果物を種から栽培し、市場で取引し、スーパー、商業センター、安全野菜の販売店までの品質・安全を検査するシステムを構築する必要があると述べた。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:仁比祥太、嘉田浩、吉野珠子 )
( 記事ID:2590 )