ベトナム人女性は、日々無給労働を1億1000時間している
2016年10月20日付 VietnamPlus 紙
女性は無給労働の時間が男性より多く、休息や趣味に当てる時間が少ない
女性は無給労働の時間が男性より多く、休息や趣味に当てる時間が少ない

 女性は料理、掃除、子育てなどに平均して毎日5時間費やしていて、これは男性より2時間多い。子育てなど女性が毎日行なっているが給料が支払われることのない仕事は、現実には女性が学習や社会的な仕事に取り組んだり、事業を発展させたりする機会を間接的に制限している。それにもかかわらず、こうした仕事は家族や社会から未だに認められていないばかりか、女性を家族の中の「弱者」という立場にしてしまっている。

   女性はより多く仕事をするが、休む時間はより少ない

 労働傷病兵社会省とアクションエイド・ベトナムが公開した、2016年1月から6月に9省・都市で行われた研究によると、男性は金銭による成果をもたらす活動において女性より優遇され、休んだり勉強したりできる。しかし無給の労働や家事などは、女性が男性より多くの時間を割く仕事となっている。
 調査によれば、無給労働の中で女性は家事に一番多くの時間を割いている。平均して、毎日家事に175分(約3時間)使い、これは男性より70分多い。
 次に占める割合が高いのは子供の世話で、60分以上使っている。これは平均して男性より30分多い。食材や水の確保などにも平均60分近く使い、男性より約15分多い。この研究において、高齢者の世話は約15分であり、女性の時間の多くのを消費しているという結果は見られなかったが、これもまた女性が男性よりも時間を費やしている仕事である。
 研究・インタビューを行なった省では、調査協力してくれた全ての女性、女子が仕事の分業において非常に強いジェンダーバイアスを受けていた。
 アクションエイド・ベトナム代表であるホアン・フォン・タオ氏は次のように語った。「無給の世話仕事への責任は、明らかに女性にかけられています。つまり女性は自分自身にかける時間、休息や有給労働をする時間が少ないということです。社会事業への参加や、彼ら自身の権利を保障する見識を広げるための学習など、他の活動にかけられる時間が少ないのです」
 1人が一日に無給労働を5時間したとすると、労働年齢に達している2200万のベトナム人女性は、合わせて1億1000時間も家族や社会のために使っていることになる。2015年、無給労働の概算は、ベトナムの国内総生産の20%にも上る (約410億USD、9000億ドン相当)。しかしながらこうした無休の世話仕事などはほとんど評価されていない。

   家事をする時間が多いのは女性にとって良いことか

 インタビュー時、質問された女性のほとんどが、「女性の天職は料理、洗濯、育児である」と述べた。これらの仕事は繰り返しが多く女性の時間を消耗するため、彼女らは他に得られる権利を犠牲にしなければならない。それにも関わらずこれらの仕事はたいてい家族の他のメンバーから重視されていない。コミュニティや女性たち自身からでさえ、雑用で、重要なものではないと軽んじられている。
 「無給の世話仕事が仕事として認められなければ、有給の労働をしたり見識を広める学習をするなど、自分自身のために費やす時間が少ないことで、日々多く女性たちが困窮していく。これは本人だけでなく、次の世代にも影響が及ぶものである」とホアン氏は述べた。
 仕事における不平等は、女性の成長を制限するばかりか、女性が無休の仕事を多く行なっていても家族の重荷であると見られ、家族の家庭内暴力を引き起こす原因にもなっている。
 社会開発研究所(ISDS)所長のクアット・トゥ・ホン博士によれば、女性が無給の仕事をやらなければならないということは、実際に女性の労働、収入、社会的な活動、学習の機会に大きく影響している。
 クアット氏によれば、女性が家庭内の無給労働をすることで、同時に家庭内暴力も増加させている。女性は家事に多くの時間を割くとなると、外の社会に出て働く時間は少なくなり、収入も少なくなるので、当然ながら家庭での立場は低くなる。より多く稼ぐ男性は自分が決定者だと自負し、女性がやることで満足しないあらゆることが、女性たちへの暴行の契機となってしまうのである。
 家庭を暖かい場所にするために確かなことは、家族の各メンバーが無給の世話仕事を主体的に女性と協力してやっていく必要があるということである。最も重要なのは、無休の世話仕事を十分に認知し家族の各メンバーで分かち合うようにし、家族と社会を巻き込んでその見方と行動を変えるために女性が自身の役割と貢献を自覚する必要があるということだ。
 男女平等課(労働傷病兵社会省)ファム・ゴック・ティエン課長は次のように述べた。ベトナム女性の貢献がはっきり認識されれば、男女間の平等権、無給労働の均等かつ合理的な分業・分担において、社会は大きく変化していく。

*無給の世話仕事とは、家族のメンバーの世話や家の仕事、公共のためにボランタリーに行う仕事を含む無給労働のことである。これらの活動は一方がサービスを提供していることから仕事と見なされ実施される活動である。

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( 翻訳者:本間美帆 )
( 記事ID:2901 )