将来、数百万人のベトナム人男性が結婚できなくなる?
2016年11月09日付 VietnamPlus 紙
人口・家族計画化総局によると、出生時の性別の偏りのために特に結婚適齢期に女性が不足して、男性が過剰となり、2050年までに、結婚できない男性は累計230万~420万人にのぼるという。
男の子を望む心理はいまだに多くの所で強く存在しており、1番それが強いのはベトナムの農村部である。
家系や高齢になった時のよりどころとして男の子を望み、夫婦は男子を授かるあらゆる方法を探し、時には男子を得られるよう医学が介在することもある。
これがまさにハノイ郊外を含むたくさんの地域で男女の性別の偏りが増し、3人目の子供を産む原因となっている。
家族や親戚の圧力
「村は古く、出産もまた古い」、これは人々がハノイのソンタイ市に属すドゥンラム村について言う言い伝えである。ここは首都から50キロ西へ行ったところであり、ベトナムの中でも古い村の特色を守り続けている村として有名な所である。
ここの村人は主に農業で生計を立てている。近年農村は様変わりし、人々の生活も大きく変わったものの、男尊女卑の考え方、男の子を望む考え方はいまだに村の多くの家族の中で一般的なものとなっている。
女子しかいない家庭が男子を得ようと4人目、5人目の子供を産むことが、ドゥンラム村をハノイの中でも3人目の出産や出生時の性別の偏りがある最もある地域の一つにしているのである。
男の子を渇望する
実際に女子だけを産んだ家族は、家族や親戚からの圧力を受け、夫婦は男子を得るために胎児の性別を選択するといった医学的方法まで含むあらゆる手段を尽くす。
ドゥンラム村のキェウ・ティ・L…さんはその一例である。Lさんの夫は族長で、男子を望む強い圧力を家族や親せきから受けていた。3人産んでもすべて女子で、さらに2回妊娠し、不幸なことに繋留流産したがその子も女子だった。ついに6回目の妊娠で男子を産んだ。ドゥンラム村では彼女のようなケースは普通のことである。
新築されて美しくなったドゥンラム村の幼稚園でも、この男女の偏りははっきりしている。幼稚園には650人の2歳から5歳の子供がいるが、375人を男子が占めるのに対し女子は275人である。
「活動していて最も難しいのは、人々の認識の根っこの部分に深く食い込んでいる男子がいなくてはならないという心理です。このことが家族計画化の業務の障壁になっています。まさにこの心理によってドゥンラム村では第3子の出産や性別の偏りが依然として高いのです」とドゥンラム村の人口-家族計画化担当者のハー・ミン・ディエップさんは述べる。
この男子を渇望するという状況は、ハノイ郊外の多くの県でも生じており、3人目の子供を産む家庭の増加と出生時の男女の偏りを引き起こしている。典型的なのは、ウンホア、ソックソン、バーヴィー、タィックタット、メーリンの各県である。
今年の初めの9か月だけで、バーヴィー県の多くの村で出生時の男女の比率の偏りが深刻となっており、1番偏っているのはティエン・フォン村で53人の男子に対し、女子は21人である。フン・チャウ村では男子が60人に対し、女子は37人である。フーフン村は35人の男子に対し20人の女子である。
バーヴィー県タイダン村の老人の1人であるグエン・ヴァン・ヴィンさんは、彼自身子供たちにたくさん出産してもらいたくはなかったが、「木には根や枝がなくてはならず、もち米もうるち米もなくてはならない」(どれも欠かすことができない)としている。まさにこのような観念のために長男のところに女子が生まれた時、ヴィンさん夫妻は長男夫婦にさらに出産するよう促したのである。
驚くべき子供の数
ソンタイ市の出産の男女の偏りについての言及として、ソンタイ市の人口-家族計画化センター長であるドー・ヴィエット・ヴンさんはおどろくべき数字を述べた。
2003年からの14年の間、ソンタイ市の出生時の男女比率の偏りの度合いは高い。1番低かったのが2003年で102人の男子に対して女子が100人であり、現在では131人の男子に対して女子が100人である。偏りの度合いが高いのは次のような村々である。クアンチュン村が131人の男子に対して女子100人、レーロイ村が142人の男子に対して女子100人、ドゥオンラム村が男子178人に対し女子100人、チュンソン村は男子180人に対し女子100人である。
3人目の子供を産む人の数もソンタイ市ではとても多く、1番割合が高かった2012年は11.3%、その中でドゥンラムなどいくつかの村では24%にも上った。
そして、バーヴィーの山間地方では、出生時の男女の偏りは減っていたが、都市の平均に比べるとまだまだ多い。2015年は、バーヴィー県の男女比率は男子115人に対し女子100人であり、今年の初めの9か月では男子124人に対し女子100人で、年全体の予測は男子122人に対し女子100人である。
ハノイの人口・家族化計画局の報告書によると、今年初めの9か月で、市全体の3人目の子供を産む人の割合は昨年同時期に比べて減っているものの、出生時の男女の偏りは113.6人の男子に対し女子100人である。
出生時の男女の偏りが120/100を超える県は、ソンタイ県の男子131.9人/女子100人、ウンホア県の男子130.1人/女子100人、メーリン県の男子123.6人/女子100人、バーヴィー県の男子121.9人/女子100人、タィックタット県の男子120.9人/女子100人、ソックソン県の男子120.3人/女子100人である。
以上のような数値は、首都での出生時の男女の偏りについての警告に値する状況を反映しており、誰にでもそれがもたらす結果を想定できる。子供たちの将来と幸福への影響だけではなく、国家や民族の持続可能な発展にも悪影響を及ぼす。
出生時の男女の偏りは長期にわたり、時に世代から世代へと影響する人口問題であるが、男子を渇望することは家族や親族の慢性的な病のようである。
人口の専門家の予測によると、この状況は将来、数百万人のベトナム人男性が結婚できないか、婚期が遅れてしまう事態となる結果を引き起こすとしている。結婚が早すぎたり遅すぎたり、年の差が大きくなり、離婚や孤独、暴力や不平等の芽が日に日に増えて、ベトナムの家庭構造に影響するだろう。
さらには結婚できないが性行為を求めるケースから引き起こされる結果として、売春やエイズ、女性や子供の人身売買や国際犯罪の増加につながるであろう。
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( 翻訳者:武本侑馬 )
( 記事ID:3006 )