南北縦断高速鉄道プロジェクトを検討する
2016年10月15日付 VietnamPlus 紙
政府官房は、ベトナムの鉄道の概況と南北縦断高速鉄道プロジェクト検討についてのチン・ディン・ズン副首相の意見を伝える公文書(第331/TB-VPCP号通報)を発表した。
南北縦断高速鉄道プロジェクトの特殊性-長期的な投資の規定や手続きの必要性、多額の資本需要、非常に厳しい資金回収の可能性など-から、国が鉄道インフラ整備に投資することは公的債務状況をさらに圧迫することになる。よって、ズン副首相は、プロジェクトはより慎重に、より詳細に、より科学的に、そして鉄道網全体とのバランス、適切な投資のタイミングなどを考慮して検討しなければならないと要請した。
さらに、関係当局・組織は、資金調達の規制や政策、ベトナムの鉄道産業の発展に向けた内地化率向上計画、高速鉄道整備のための人材養成計画などの立案・公表の方向性を確定する。これらは、党政治局や党中央執行委員会、国会が判断を下すための報告の基礎となる。
ズン副首相は交通運輸相に対し、鉄道の技術レベルに関する業界や国の基準に高速鉄道に関する規定を追加すべく早急に検討するよう要請した。
同省は、早急に最新の研究をチェックし、様々な研究を行い、シンポジウムや情報交換を開催し、プロジェクトの実行可能性調査報告書を完成させ、国家審査評議会および政府首相に提出する。政府は2017年中にこれを承認し、党政治局と党中央執行委員会に諮り、2018年には国会が投資に関する方針を決定する。
国会がプロジェクトを採択する際には、ハノイ-ヴィン間、ホーチミン市-ニャチャン間の優先区間を2022-2030年期に完成させるためにも、技術設計、資金源を確実に準備しておく必要がある。
ズン副首相はさらに、交通運輸省に対し、計画投資省と協力して、プロジェクトの投資準備作業のための予算配分を行うよう指示した。また、関係当局と調整の上、JICAに対し、プロジェクトの実行可能性調査報告書を完成させるべく継続支援を要請するとともに、政府首相と国家審査評議会に提出する前にプロジェクトの監査を行う国外のコンサルタントを選定するよう求めた。
ズン副首相は、計画投資省、財政省、商工省、科学技術省、教育訓練省が中心となって、2020年まで、および2020-2050年期のベトナムの鉄道輸送交通発展戦略に基づき、資本調達の規制や政策、高速鉄道発展のための人材養成を含めた関連分野の各種発展プロジェクトの立案を検討するよう要請した。
ベトナムの鉄道は135年の発展の歴史を有する。現在、国の鉄道網の総延長は3134キロになる(主線2531キロ、駅の構内を含めた支線612キロ)。
ベトナムの鉄道は、経済・社会の発展に極めて重要な貢献を行うとともに、交通運輸事業に積極的に参加してきた。しかし、敷設されてからかなりの年月が経ち、発展の需要に基づいた改善や拡大が行われてこなかったことから、ベトナムの鉄道は依然ほとんどが単線で、1000mmの狭軌であり、日々老朽化している。
鉄道インフラの構造的な技術基準は低く、かつ旧式であり、線路の水平、垂直管理にも限界があり、そうした構造が走行能力や輸送能力を著しく制限し、競争力を低下させている。鉄道走行の安全を確保するレーンの占拠は深刻化し、車道や民生のための一般道による鉄道網の寸断はかなりの密度に上っていて、これが鉄道の走行速度を制限している主な原因となっており、鉄道交通の安全を脅かしている。
ベトナムの地理的条件は横に狭く縦に長い。また、その南北の両極には首都ハノイとホーチミン市という二つの巨大な経済センターが位置している。そのため、この二つの地域を結び、また、その線上に沿って存在する各都市、工業区、輸出加工区、観光地を結び付けるための交通網の発展は極めて不可欠である。
経済・社会の発展や日々高まる旅客・貨物の需要に応え、そして、道路や空路による輸送能力が限界を越えている現状を改善するためにも、現行の南北鉄道の改善、向上に加え、経済の競争力向上を目的とした、良質な旅客輸送サービスを提供する新たな南北縦断高速鉄道の建設を検討することは極めて重要な任務である。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:本間美帆 )
( 記事ID:3025 )