ベトナム外務大臣「ベトナムは全方位外交の方針を堅持する」
2017年01月06日付 VietnamPlus 紙
インタビューに答えるファム・ビン・ミン副首相兼外相
インタビューに答えるファム・ビン・ミン副首相兼外相

 2006年、ベトナムの外交工作は、引き続き全面的かつ一体的に展開され、積極的かつ重要な多くの成果を達成し、独立・領土の主権および国家と民族の利益の防衛、平和、安定の環境の維持、各国との友好協力関係の強化、国際統合の推進、社会経済発展の促進、および国の国際的地位の向上に寄与した。
 2017年にあたり、ファム・ビン・ミン副首相兼外務大臣は、ベトナム外交の成果ならびに2017年の外交活動におけるチャンスと課題について、メディアからのインタビューに回答した。

   戦略的パートナーシップ、包括的パートナーシップの深化

(質問)2016年の年末までに、外交部門は活発な活動を続けるなど勝利の年であったとみなされる。特筆すべき点としていかなる点が挙げられるか。
(回答)端的に言えば、2016年は「不安定であり予測不可能」な年であった。伝統的安全保障、非伝統的安全保障の情勢は、いずれも複雑である。しかし、世界の全般的な趨勢は、例えば米キューバ関係の正常化やコロンビアの平和合意などのように、「かつては描くことのできなかった」合意もあり、依然として平和な状況にある。
 ブルグジット(英国のEU離脱)の事件のように、あるいは民族主義、ポピュリズム、反グローバル化の高まりといった傾向はすべて、これまでに積み重なったものであるが、2016年中に露わにされた。
 2016年のベトナムの外交工作における成果の特筆すべき点としては、これまでの成果を受け継ぎ、第12回党大会の外交路線を展開していることと言えるだろう。
 二国間関係において、2016年は、ベトナムが戦略的パートナーシップ、包括的パートナーシップの枠組みをより深化すべく展開させたという点で歓びの年であった。
 ベトナムと、中国、アメリカ、フランス、インドなどの重要なパートナーたちはすべて、ハイレベルの往来を行った。その中で、ベトナムと近隣国との関係は非常に活発であった。
 マルチの外交活動も、大変積極的に展開された。ベトナムの各指導者たちは、ASEAN年次会合、仏語圏ハイレベル会議、G7年次会合など、重要な地域と世界の会合にほとんど出席した。
 また、ベトナムは、ACMECS(エーヤーワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略会議)、CLMVサミットなどの多くの会合の議長国を務めた。会合において、ベトナムは、各イニシアティブ、具体的な提案を通じ、多くの重要な貢献を果たした。
 2016年、ベトナムが、国連人権委員会、国連社会経済委員会、UNSESCO執行委員会など、国連の重要な枠組みに参加したことにより、顕著な進展ぶりが示された。ベトナムは、児童の権利に関する決議、気候変動に関する決議など、重要な決議の策定に参加し貢献した。 
 また、昨年、ベトナムはASEAN加盟国とともに、ASEAN憲章を構築するとの目標を完成させた。
 創立1年後、ASEAN憲章は、関税障壁の撤廃、各分野における生産連結のための条件整備といった市場に関する統一性を基づいて、効果を上げてきた。
 現在、ASEANは、2025年以降の共同体ビジョン策定を検討している。
 2016年は、文化外交工作においても多くの成功の軌跡が見られた。国内の「Tuan Viet Nam(ベトナム週間)」あるいは「Ngay Viet Nam(ベトナムの日)」などのイベントの開催を通じ、国の姿が引き続き広報宣伝されたほか、とりわけ聖母道などベトナムの文化遺産を認定するようUNESCOに働きかけた。現在、ベトナムは、UNESCO総裁のポジションを争っている。
 この間、経済外交工作も推進されている。外務省は、政府がより適切な政策を策定するのに資するべく、地域と世界の経済情勢をフォローし、評価し、分析を行ってきた。
 外務省は、ODAなど、経済開発のための外部リソースの活用に積極的に貢献し、ベトナムの市場経済国認定に向け各国に働きかけてきた。また、ベトナムの在外公館は、地方、企業が外国に市場を拡大するため引き続きサポートしている。
 2016年中の公民の保護工作もまた、多くの分野において力強く展開されてきた。在外ベトナム人に関する工作について、ベトナムは、在外ベトナム人コミュニティが居住する国に溶け込み、その国の法律を遵守し、同時に故郷ベトナムの建設に向かうよう働きかけることについての党政治局決議を引き続き実施している。国内に投資する在外ベトナム人の数は、63のうち53省・中央直轄市において著しく増加している。

   2017年APECへの対応

(記者)APEC(アジア太平洋経済協力会合)の主催にあたり、2017年APECにおいてベトナムが優先する諸課題は何か。現在までの準備状況如何。また、この特別なイベントのため、いかなる目標を達成すべきか。
(回答)2017年APECのテーマは、「新たな原動力を生み出し、ともに将来をつくろう」というものである。これは、今日のAPECの発展の歩みに非常にふさわしいテーマである。(ベトナムが議長国を務めた)2006年のAPECと比較し、APEC内エコノミーの連結性プロセスに対するポピュリズムの高まりといった大きな試練が浮上するなか、ベトナムは新たな気持ちで2017年に向かって一歩一歩進み、またベトナムに対する加盟国エコノミーの期待も異なりつつ進んでいった。
 ベトナムは、2020年までにアジア太平洋において自由で開かれた貿易と投資を達成するボゴール目標の進捗に決定的に重要な段階である2017年のAPEC議長国である。 
 持続的成長、経済の連結性強化、中小・零細企業のサポート、食糧安全保障、気候変動対策など、2017年APECにベトナムが提案する優先事項について、各加盟国は支持し同意した。重要なことは、これらの優先事項は、現在および今後のベトナムの発展ニーズに非常に見合ったものということである。
 ベトナムは、各エコノミーのニーズおよび関心に適応すべく、議長国としての役割を発揮し、同時に、これらの優先事項を国土の経済社会発展目標やニーズと結びつけてきた。ベトナムは、2017年APECのために掲げたベトナムの優先事項は、APECの各エコノミーにとっての全般的なニーズに見合ったものであると認識している。各国のニーズは異なるものの、ベトナムは、それらのニーズを我々の目標と結びつけた。
 ベトナムは、2017年APEC国家委員会を設立するなど、2015年中ごろから準備を進めてきた。ベトナムは、会合の内容、組織からインフラまでしっかりと準備した。ベトナムは、現在までに準備プロセスを完成しつつあると言える。
 第2に、ベトナムは、特に関連する幹部、部門、地方との間でAPECの各種内容について連携を進めてきた。
 第3に、2017年APECの各会合に最も円滑に対応すべく、後方支援を整備してきた。ダナンにおけるAPEC2017のサミットが開催される週にはおよそ1万人が集まるものと見込まれる。ベトナムは、8つの大臣会合を含み2017年に行われる数百ものイベント・活動を開催する省、都市を選んだ。
 ベトナムにおけるAPEC開催の目標のひとつは、2006年から現在までに刷新された地方の姿、国の姿を宣伝することであり、世界と地域にベトナムを紹介することにある。より重要なことは、いかにして人々、企業をAPECに参画させ得るかとの点である。

   自主独立、全方位外交路線の堅持

(質問)多くの困難、試練が続く中、2017年の外交工作の大きな方向性について如何。
(回答)自分としては、2017年は多くの試練があり、外交分野については非常に柔軟に対応する必要があると考える。こうした状況にあって、引き続きベトナムは、自主独立、国際法の原則に基づき、すべての国と友人である、全方位外交を目指すとする方針を堅持する。ベトナムの目標は、平和、安定の維持という各国との共通の利益を作ることである。
 ベトナムは、苦心して作り上げられた、非常に重要な戦略的パートナーシップ、包括的パートナーシップの枠組みに基づき、関係をより深化させるための各方策を引き続き実施していく。
 複数の国における政権が変わるなど、2017年に多くの試練が見込まれるなか、ベトナムは、各関係を維持し、レベルアップしていく。
 第2に、世界に保護貿易や反グローバル化といった傾向が顕在化するなか、我々は、国際統合の深化に関する第12期党中央執行委員会第4回総会決議を引き続き実施していく。
(質問)今後の南シナ海問題についてどのように見ているか。
(回答)2016年中の南シナ海情勢は依然として多くの複雑な問題があった。すなわち、岩礁の埋め立て、人工島の建設と、その軍事拠点化といったことは、情勢を複雑化するものである。2016年に仲裁裁判所が、岩礁の定義に関連する法的問題にかかる中国に対するフィリピンの提訴に対し判決が下され、各国の主権は国際法に基づくとの方針が明らかになった。
 ASEAN大臣会合でも、南シナ海に関する声明が出され、国際法と1982年の国連海洋法に基づき、平和的手段によって係争を解決するとの原則が確認された。
 現在、ベトナムはトンキン湾外の画定に関して中国と交渉し、大陸棚および大陸棚の外側に関してインドネシア、マレーシアと話し合うなど、2017年中も、協議を通じて平和的手段によって係争の解決を進める所存である。南シナ海は、非常に重要な海の航路であり、ここで平和的環境に影響を及ぼすようなことがあれば、南シナ海における主権を宣言している国のみならず、すべての国がこれに反応するような事態が起こるだろう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:メディア翻訳ベトナム語班 )
( 記事ID:3202 )