コントラス、共産党や共産主義問題の政治利用に懸念
2017年10月11日付 Kompas 紙
9月18日にインドネシア法律扶助協会事務所(YLBHI)周辺で起こった衝突後の様子
9月18日にインドネシア法律扶助協会事務所(YLBHI)周辺で起こった衝突後の様子

 ジャカルタ、コンパス.com配信、

 中央ジャカルタ市のメンテン地区にあるインドネシア法律扶助協会事務所(YLBHI)は先週末、同事務所を暴徒らが包囲した事件で多くの注目を集めることとなった。(註釈 1
インドネシア共産党に関連する虚偽情報やデマの蔓延は、あっという間に大衆を動員し、暴力行為さえ誘発するものであることが示された。

 「暴力による犠牲者と行方不明者のための委員会(Kontras))のヤティ・アンドリヤニ代表は、インドネシア法律扶助協会財団(YLBHI)事務所が包囲されたということは、上記の問題が人々にとっていまだ非常にセンシティブなものであることを示していると述べた。

 ヤティ代表は、これらインドネシア共産党の問題は、種族、宗教、人種、階層(SARA)の問題と同等にセンシティブで、大衆を動員する可能性が大いにあると述べた。そのため、このインドネシア共産党に関する問題が政治利用のツールになることを同氏は懸念している。

 ジャカルタのアルヤドゥータホテルでの討論後、ヤティ代表は「我々は、宗教問題が政治的支援を得る最も強力な方法のひとつになることをジャカルタ特別州知事選挙から大いに学んだ(註釈 2)。この共産主義に関する問題が、各地で行われる統一地方首長選挙や 2019 年総選挙の際に政治的利益の追求に利用されるなにか亡霊のようなもの、そのための方法や手段として利用され続けることがないように」と語った。

 ヤティ代表はさらに続けて、1965年と1966 年に起こった共産党・共産主義の弾圧をめぐる悲劇は現在まで社会に多くの問題を残しており、負の烙印や差別が限定的なものではなく多くの社会階層で起きていると述べた。

 「これらの烙印や差別をなくすために、この国のうけた傷を癒すための場を開いてゆくことが重要なのである」と同氏は語った。

 ヤティ代表は、このところ頻発しているインドネシア共産党をめぐる問題と2019に行われる大統領選にむけた政治的な争いの間に疑われる関連性について、ヤティ代表は、先週末のインドネシア法律扶助協会事務局への攻撃は、多くの疑惑や陰謀の存在を疑わせるものであると述べた

 「しかし私が述べたいことは、インドネシア共産党や共産主義というものは非常にデリケートな問題であり、非常に容易に特定の政治目的のために利用されてしまうということだ。そしてそれらの政治目的は 2019 年総選挙に関係している可能性がある」とヤティ代表は述べた。

 これに先立ち、去る 9 月 17 日日曜日夜から 18 日月曜日未明にかけて数百人もの人々がインドネシア法律扶助協会事務所を包囲した。集まった大衆は、ガラスのボトルや石を投げるなどの暴力行為も行なった。そのうち6人の容疑が固まったとしている。

(註釈 1) 9 月 17 日日曜日から 18 日月曜日にかけて、インドネシア法律扶助協会事務所で共産主義に関する集会が行われるという情報が流れ同事務所周辺で抗議デモが発生、一部暴徒化する事件が発生した。

(註釈 2) 2017年のジャカルタ首都特別州知事選を前に、現職であったバスキ・チャハヤ・プルナマ氏はイスラームを冒涜する発言をしたとする糾弾を受けた。バスキ氏の発言の真偽に関しては多くの疑問が残されたが、この騒動をきっかけに対抗馬であったアニス・バスウェダン氏はムスリムの支持を取り付けて追い上げ、圧倒的な得票率で当選。一方バスキ氏は宗教冒涜の有罪判決を受け、収監された。

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( 翻訳者:近藤奈々 )
( 記事ID:3753 )