11月６日、国会議員は最高人民裁判所長官、最高人民検察院長官の業務報告、犯罪および法律違反防止業務報告、法執行業務報告、汚職腐敗防止業務報告について議論した。
　特に、各議員は、刑事関係の「行政化」の問題、国会司法委員会が監査報告のなかで示唆した犯罪逃れの危険性が潜んでいること、また企業が法律違反を隠す犯罪の状況、汚職および汚職財産の回収の問題に関心を寄せた。

　　　法律に違反していることを隠した企業の犯罪

　トー・ラム公安大臣が国会へ上程した報告書の中で言及した、企業が法律に違反していることを隠し、社会秩序に間接的に影響を及ぼしているといった犯罪の問題について、ブイ・ヴァン・フオン議員（ニンビン省選出）は、人々は自由な生産拡大の活動を行う権利を得て、国家は多くの企業が誠実に経営を行うことを期待しているが、現在、法律に違反していることを隠した企業が出現しており、安全や秩序に影響を与えていると述べた。
　同議員は、質屋や学生補助融資会社、児童補助借入といった経営方式は「きのこのように生えまくる」が、取り締まりは極度に緩いと示唆した。これに対し、これらの企業はかなり「法律すれすれ」の仕事をするため、専門機関ですら手が出せないと言う意見もあった。
　フオン議員は、「学生補助融資会社はとても簡単な方法で貸し付けをします。財産保証は要らず、住所がわかるものと、本人がどこにいるかがわかるだけで借金をすることができます。子供たちが宝くじ、ギャンブル、賭博に陥ってしまうようになることは、我々の金銭管理問題における甘さからも発生しているのです」と述べた。
　フオン議員はまた、都市部のみでなく農村部においても、金融会社が出現し簡単に貸し付けを行うが、期限に借金を返済できない場合はマフィアが家まで取り立てに来るということが「悩み」になっていると強調した。
　我々は融資会社の活動のための経営登録を認可しているが、関係機関は会計や書類に関する国の規定の執行状況についてチェックしておらず、また国家がこれらの企業から得た収入がどの程度かチェックしておらず、恐らく関係機関は知ってか知らずか責任を十分に果たしてない、とフオン議員は問題提起した。
　この抜穴に対する心配ゆえ、フオン議員は、政府がこの問題に対ししっかりと指導し、警察組織の専門性を改めるとともに、犯罪防止におけるの刑事組織の闘争力に関する特別な政策が必要になると求めた。

　　　犯罪を見逃す潜在的リスク

　事件捜査の一時停止により犯罪を見逃す可能性について、ホアン・ヴァン・フン議員（タイグエン省）は、2017年の報告によるとおよそ12,130件が一時停止の状態にある（2016年より6,25％増）と述べた。
　捜査停止中の事件のうち、告発できるか確定できていない状態で時効になってしまった証拠により捜査中断となった事件が一定数存在する。ここ数年間のベトナム全土で、捜査が再開されていない一時停止中の事件の総数は報告されている数よりはるかに多い。もし積極的に捜査再開のために調査を行わず時効になれば、大多数の犯罪が処罰されずに見逃されることになる。
　フン議員は、捜査停止中の事件・被告の総数の統計を取り、報告時期までにまとめる必要があること、事件に捜査再開の根拠があるかを明確にするために、刑事責任が問われる時効間近の事件を分析をすることとの国会司法委員会・公安省・最高人民検察院の建議に賛成した。
　またフン議員によると、2017年、公安省の捜査機関の調査による総計45事件のうち、全体の71.1％におよぶ最高人民検察院が委任起訴した経済・汚職事件32件は裁判所に補足捜査資料を返却されている。
補　足捜査資料の返却、特に度重なる資料返却は、経済・汚職事件の処罰過程を延期させることにつながる。これらの事件のうちのほとんどは、世論の注目を特に集めている極めて重大で複雑な大事件で、有権者や人々を憤らせている。

　　腐敗・汚職の手段はますます精緻になる

　マイ・ティ・フオン・ホア議員（ナムディン省選出）は、政府の報告に依拠し、腐敗・汚職防止工作に関する10年間の総括報告は、発見された損害が59兆7500億ドンと土地400ヘクタールにのぼるとしていることを明らかにした。しかしながら、回収率は奪われた財産に比べてはるかに低い。金銭・財産では7.82％、土地では54.75％しか回収できていない。ここ数年では、腐敗・汚職財産の回収率は上がっているが、要求水準には達していない。2016年で回収率はようやく38.3％である。
　またグエン・ヴァン・ヒエン議員（ラムドン省選出）は、「分散して隠匿されていて」、検査・回収できない腐敗・汚職金額が92％という数字を出している。各議員によれば、主たる原因は、腐敗・汚職事件において、たいてい一定の専門的知識・学歴・地位をもっている人である犯罪者によっている。

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（ 翻訳者:嘉田浩 ）
（ 記事ID:3990 )