ブイ・ヒエン准教授、ベトナム語改革の話の渦中でも平然
2017年12月06日付 VietnamPlus 紙
ブイ・ヒエン准教授と、マスコミによって公開されここ数日間を騒がしている未完成の論文草稿
ブイ・ヒエン准教授と、マスコミによって公開されここ数日間を騒がしている未完成の論文草稿

[訳注:2017年11月、元ハノイ外国語師範大学(現ハノイ外国語大学)准教授のブイ・ヒエン氏は、大胆なベトナム語表記改革を唱え、大きな話題となった]

ブイ・ヒエン准教授のベトナム語改革の話について数え切れないほどの意見が飛び交う中で、論争の「火付け役」は渦中でも平然としていて、自身もSNSに精通している人物であった。
この83歳の男性は笑う:「SNSは人の人生を壊すことはできないよ。私たちには選ぶ権利があるからね!」

―先生にお聞きします、先生は現在何を使ってお仕事をされていますか?
ブイ・ヒエン准教授:私はコンピュータで数十年、インターネットで20年ほど仕事をしてきた。今となっては私は書くことも忘れたし、手が震えて書けない。

―ある朝ご自身の名前がSNS上で話題になっているのを見て、どのように感じましたか?
ブイ・ヒエン准教授:人からマスコミが私の報告を掲載したと聞き、私はネット上で読んだ。人々が私にボロクソに(先生の仰っていた通りに表記させていただきます)言っていたのを見て、少しばかりうろたえた。私は何もしてないのに、と。しかし読み終わってからわかった、マスコミは途中経過を出さず、最後の結果のみを掲載していた。新しい字だけを示して解説しなければ、読み方を学べるはずはなく、人々が理解できず、反対するのも無理はない。彼らはまたこれが国家プロジェクトで、じきに実践に導入される、と理解していた。

―先生はご自身の論文について情報をシェアする際に今回のことを予想していましたか?
ブイ・ヒエン准教授:私が自分でこの情報をシェアしようと思ったわけではないから予想してはいなかった。私の学術論文はまだ途中だからね。彼らは2017年9月の言語に関する学術論文紀要の報告を取り上げたのだろう、私は知らないが。

―83歳で20年以上インターネットを使っているということですが、先生はベトナムのネットユーザーの変化についてどうお考えですか?
ブイ・ヒエン准教授:インターネットは有用なツールであり、それを活用する人はこの非常に有効なツールを手にしているということだ、と私は当初から考えてきた。現在私は手書きはしないよ、手が震えてしまうよ、コンピュータしか使わない。

―そして、この20年間SNS上でのネットユーザーとの交流から先生の心境にどのような影響がありましたか?
ブイ・ヒエン准教授:インターネットとコンピュータは私にとって…すでに生涯の友になった。朝から晩まで私はネットと向き合っている、妻以上だ。家内は遠くに行っていて、たまにしか帰らないからね。もし今インターネットがなければ何をしたらいいかわからないね。
 インターネットはとても私の役に立った、私は今までにそれを使って誰かを攻撃したことはない。私のフェイスブックのページで、ちゃんと話をする人には私は返事をするし、そうではない人は拒否するね。

―先生はいつ頃からフェイスブックを使っていらっしゃいますか?
ブイ・ヒエン准教授:かなり前だから覚えてないよ。

―先生のフェイスブックには友達は何人いますか?
ブイ・ヒエン准教授:およそ1500人かな。たまに私も間違えて友達登録してしまうよ、間違えなら友達解除かブロックする。考える必要などないね。

―「現在のSNSは暴力的だ」という意見については、どう思われますか。
ブイ・ヒエン准教授:ただ人間が暴力的だったり素晴らしかったりするのであって、SNS自体がそうであるわけではない。わたしは、インターネットも、Facebookも、文字も、銃のようなもので、一種のツールだと思っている。人が善の目的をもってそれを使うとき、それは善い利益をもたらすが、悪の目的で使ったときには、悪のとなってしまう。 
 SNSは、社会の一面をある程度反映していいて、善い人も良い情報もそこにはたくさんあるのに、どうして一概に悪い情報の方が多いと言えるのだろう。それとも我々は故意にそのような方向にもちこもうとしているのだろうか?

―あなたのように、SNSで中傷された人がこの論に同意しないとは、何故でしょうか?
ブイ・ヒエン准教授:わたしは平常心でいられるし、情報を選ぶこと、友を選ぶことをわきまえている。もしSNSがなければ、わたしが1000人も友達を持てることなどないでしょう。
 わたしの上の子は59歳で、田舎におり、インターネットは使わない。40過ぎの末っ子も、忙しいからあまりそういうことに関心を払わない。今回の騒動をずっと私に伝えてくれていたのは、孫たちだよ。彼らは、お祖父ちゃん元気でいてね、気にしないでねと言ってくれた。彼らはどうやったら私を守れるのかと話し合っていたようだが、卒業したばかりの建築士である孫息子は、「この一件については、心配するのはやめよう。お祖父ちゃんはできる人だから(笑い)」と皆に言ったよ。ポーランドにいる孫は「お祖父ちゃん勇気あるね!降参だよ(笑い)」とメッセージを送ってくれた。

―では、世論の一部で、あなたが傷ついたのではないかという心配がありますが、彼らはいらぬ心配をしているのでしょうか?
ブイ・ヒエン准教授:彼らが私を気にかけてくれることは、有難い心のあらわれだよ。たくさんの学生や友人が様子を尋ねに電話してくれた。しかし実際のところ、わたしはこの一件においては平常心でいられるよ。傷つかなければならない理由などない。嫌ならブロックすればいいのだから。
 実を言えば、この一連のことは私にとって喜ばしいことだよ。わたしのひそかな研究が、みなさんの知るところとなったのだからね。また、人々の私への“投げ石”の中で─といってもわたしには特に影響はないけれど─、たくさんの研究者たちに、ベトナム語を改革すべきだという信念への支持をいただいたわけだ。
夜も眠れているよ。

―准教授は、昨今新しいものに反応する人が非常に多いこと、特にSNS上ですが、そのことについては、どのようにお考えでしょうか?
ブイ・ヒエン准教授: 私は特にそれがよいとも悪いとも思わないね。教育者としての私からいえば、耳障り目障りなものに反応するのは、自然なこと。同じく、新しいものを目にして反応しない方がおかしい。だから、我々は平静でいなければならない。
 女房は今遠くにいるが、心配してこの一件についてもう発言すべきではないと忠告してくれた。しかし、当然ながらわたしはそうはしなかった。親しい間柄の人については、もちろん応援してくれるなら嬉しいけれど、そうでなければ陰ながら気にかけてくれればそれでいい。
あたりを強くされる人でも―しっかりした知性と心性があれば、SNSからのいかなる暴風にも全く平静でいられるよ。SNSにはあなたの人生を台無しにすることなどできないからね。ログインして、もしあなたを害するような傾向に出会ったとすれば、そこを出て、もっと穏やかな場所を探せばよい。私たちは選択する権利があるのだから。

―准教授、お話をありがとうございました。

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( 翻訳者:嘉田浩、吉野珠子 )
( 記事ID:4078 )