ベトナム企業、外国製品の激しい「流入」により圧迫される
2018年04月17日付 VietnamPlus 紙
スーパーBigCタンロンで商品を選ぶ客(写真:ヴー・シン/ベトナム通信社)
2018年1月1日より、ASEAN各国からベトナムへ輸入される多くの品目にかかる関税が税率0%となり、域内各国からの輸入品の急激な「流入」は避けられない。
多くの意見は、「この税率を適用することはベトナム企業にとって、域内各国の市場開拓のチャンスとなるが、ベトナム国内市場での激しい競合という試練も生み出す」としている。
圧力に耐える国産品
財務省によれば、2018年は、10の自由貿易協定(FTA)協定がベトナムに輸入される消費財の関税率に影響を与えるという。それらの自由貿易協定とは、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)、ASEANと中国間、ASEANと韓国間、ASEANと日本間、ASEANとオーストラリア・ニュージーランド間、ASEANとインド間、ベトナムと日本間、ベトナムと韓国間、ベトナムとチリ間、ベトナムとユーラシア経済連合間の10協定である。
概して、市場開放、具体的には貿易の自由化は、国内企業に国内産より低価格で高品質な機械設備や原材料を輸入するチャンスをもたらす。そして、消費者はより安い価格で製品を購入することができるようになる。
しかし、関税が0%にまで引き下げられると輸入品の価格に影響する。品目によって税率が異なるが、国産品と日増しに価格が下がっていく輸入品との間に激しい競争が生じる。
ATIGA協定により、2018年1月1日から更に課税品目の7%の税率が0%に削減される。これにより、関税が削減される品目は、ASEANからベトナムに輸入される全品目の97%に増えた。この関税撤廃に最も大きく影響を受けると予測される分野は自動車とバイク、自動車とバイクの部品、お菓子、果物、飼料、牛乳と乳製品、樹脂製品、エアコン、冷蔵庫などである。
実際、地域市場への参入圧力から国内の自動車産業の扉が叩かれた。専門家によると、地域との競争力が十分にある国内自動車産業を構築する戦略に伴い、政府は過去何年間も高い保護レベルを維持していたという。
国内自動車産業を守るために、輸入完成車に対してここ20年、100%~150%という高い関税率が維持されていた。ATIGAコミットメントの実施に伴い自動車輸入税が2012年から削減された(2012年に70%に、2014年に50%に、2018年完全に0%に引き下げられた)。
このことは、国内組立生産車にとって本当に懸念事項となっている。輸入完成車に対する税率が0%に引き下げられて以降、ASEANから輸入される自動車の流入圧力に対して国内自動車産業は競争力を強化する時間が少なかったのである。前もって対策をしっかりしていなければ国内企業は、域内各国の企業と、価格・品質の面で競争に太刀打ちできないのだ。
果物については、タイからの輸入が多くしかも値段はアメリカ、欧米、日本などからの輸入品ほど高価ではない。そして、これらの果物に対する税率が0%になると、値段がさらに下がり、輸入量はますます増加するだろう。このことは、国内消費者が外国産を愛用する傾向がある国内市場で、ベトナム産の農産物・果物が困難に直面することを意味する。
農産物が国内市場を確保できるように、農家及び企業が能動的に作物の種と品質を改良する必要がある。同時に、包装と保管にもさらに投資するべきである。
それだけでなく、実際はここ数年、ベトナム製品は中国、タイ、韓国、日本からのより安い輸入品に市場を徐々に奪われている。ショッピングモール、スーパーだけではなく、ベトナムの各都市における伝統的な市場もこれらの輸入品に「カバーされている」。食品、果物、飲み物、化粧品、おもちゃ、衣服、履物から生活雑貨までもが、かなり魅力的な価格で販売されている。
企業は主体的に変化
国際市場への参入に伴う公約に基づく関税引き下げは、輸入企業にとって大きな利益になるだろう。なぜなら、輸入税が削減されて0%になれば、輸入企業は、輸入コストや輸入税にあてるお金を企業の競争力を高めるための投資・経営のために使用することができるからだ。
しかし、経済専門家のレ・ダン・ザイン氏は、「関税削減の範囲外のことの影響や管理機関が適用申請中の政策も考慮する必要がある。関税が0%に引き下げられる品目は、すべてベトナム国内でも生産可能な消費財グループの品目だ。ベトナム企業のサービスや商品は、ASEAN各国及びベトナムとFTAを締結した各国の商品との激しい競争にさらされるだろう」という。
更に最近、財務省が多くの国産品に対して付加価値税を引き上げる提案を行った。これにより、ベトナム国内の商品やサービスの価格が値上がりする見通しだ。もし、輸入税が引き続き削減される一方で国産品への増税が続くならば、激しい競争を招くだろう。損害を被るのは、間違いなくベトナム国内の企業の方だ。
このため、国内市場を占拠し得る安価な輸入品と競争するために、専門家は、「まず、各企業は、この機会をフルに活かして、生産経営コストや市場参入のコストの削減に集中する必要がある。商品とサービスの競争力を高めるためである。今からでもベトナム企業が、国内市場の強みを十分に活かし、価格だけでなく品質の面でも競争力があり世界市場へと飛躍できる商品の生産への投資をすることは、まだ間に合う」との見方を示している。
タイン・タイン・コングループの取締役会会長のダン・ヴァン・タイン氏によると「安価な輸入砂糖と競争するため、2018年から、サトウキビ糖を取り扱う各企業は、製品の価格を下げるために、技術に投資し商品の品質を向上させ生産過程を現代化しなければならなくなった。その際、競争力向上のために生産過程で応用技術の導入の促進を行わなければないことは、各企業が関心を向けるべきことである」という。
同様に、これまで、ベトナムの果物分野も、国内市場の確保のために輸入果物との激しい競争にさらされてきた。ベトナム野菜果物協会のグエン・ヒュウー・ダット総書記によると「外国からの各種果物の輸入は増えているが、ベトナム国内の野菜や果物にとって大きな障害とはなっていない。むしろ[ベトナムの]生産者や企業にとって、食品衛生安全の基準を厳しく遵守し生産過程を改善し、国内市場での外国産の商品に対して十分な競争力がある良い品質の商品を作ることを促す原動力となっている」とのことだ。
[参考記事:国内組立車は価格維持。顧客は輸入車待ち]
https://www.vietnamplus.vn/oto-lap-rap-trong-nuoc-giu-gia-khach-hang-cho-xe-nhap-khau/494046.vnp
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( 翻訳者:グエン・ティ・ロアン、野村純太、ホアン・ミン・チャン )
( 記事ID:4310 )