遺体を収容する警察官。5月13日、東ジャワ州スラバヤ市アルジュナ通り、スラバヤ・パンテコスタ中央教会にて。同日の12:30までに、3教会で起きた爆発の犠牲者は10人に達し、41人が負傷。
スラバヤ、kompas.com配信
テロリズムが再びわが国を襲った。デポック市クラパ・ドゥアの警察機動隊司令本部拘置所で起きた暴動の捜査終了を待たず、去る13日にスラバヤの3つの教会で自爆テロが起こった。
上記の3教会での爆発で18名が死亡した。それだけでなく、翌14日の朝にもスラバヤ都市警察本部で爆発が起き、実行犯とみられる容疑者4名が死亡した。 .
しかし、上記のスラバヤでの2つの爆発事件で注目を集めているのは、実行犯らが家族であったことだ。加えて、子どもたちもテロリズムの巻き添えになった。
スラバヤの3教会で起きた事件では、実行犯はディタ・ウプリアルト(47)を主とする一家であった。ディタの妻であるプジ・クスワンティ(43)に加え、彼らの子であるユスフ・ファディル(18)、フィルマン・ハリム(16)、ファディラ・サリ(12)とファメラ・リズキタ(9)も共に実行犯となった。
報道によれば、ディタとプジのまだ幼い子どもたちの体に、後に爆発するように爆弾が巻きつけられた。一方で息子たちは爆弾を膝に乗せて運び、バイクを運転した。
同じことがスラバヤ都市警察本部での爆発でも起きた。4人の実行犯は現場で死亡したが、バイクに実行犯と同乗した8歳のアイスは、負傷したものの命に別状は無かった。
この新たなテロリズムの手法は多方面から非難されている。
インドネシア・ウラマ評議会(MUI)のザイヌッ・タウヒド・サアディ副議長は、教義とパンチャシラ※1に反するためテロ行為は正当化できないと述べる。
イグナティウス・スハルヨ・ジャカルタ大司教も同様に語った。
スハルヨ大司教によれば、一家により実行され、子どもを巻き込んだこの自爆行為は人道にもとるものだ。
「このようなことが一家によってなされるとは。人道もなにもあったものではない」と、スハルヨ大司教は述べた。
ジュマ・イスラミーヤ(JI)※2の元構成員で、テロリズムに詳しいナシル・アッバス氏は、同氏がまだテロ組織に加わっていた時、自殺は大罪であるため認められなかったが、今の教えは変化していると語る。
ナシル氏は言う。「近頃は自殺の教えが広まっており、それどころか子どもを誘って自殺に帯同することを厭わない。(彼らの信条に照らせば)父親は天国に行くのに、どうして子どもたちが誘われないことがあろうか、ということだ」
ナシル氏は近年、テロ実行犯である受刑者の妻たちに関わり、問題に取り組む基金の活動に参加している。彼女たちの多くは世の中や近隣の住人たちのみならず、自分の家族からも向けられる蔑みにさらされていると同氏は話す。
「恐らく、実行犯が子どもと妻を道連れにしたのは、蔑みを受けないため、そして(彼らの信条である)共に天国へ行くためではないか」とナシル氏は説明した。
インドネシア児童保護委員会(KPAI)のスサント委員長も、この新たな手口に焦点を当てる。KPAIは子どもたちをテロ行為に巻き込むことを非難する。
「我々は非人道的な爆弾攻撃を激しく非難する。子どもが巻き込まれれば尚更だ」とスサント委員長は話す。
スサント委員長は、直近の事件から判断して子どもに対する過激主義の教化の影響に目を向ける必要があると述べる。しかし教化が子どもの親によって行われた場合、防ぐのは困難である。
過激主義への教化の危険性は、近親者以外ならば容易に制限や予防することもできる。スサント委員長は、過激主義のイデオロギーが家庭に及ぶとすれば非常に危険であると語る。
※1インドネシア共和国の国是である建国五原則。
※2 2002年および2005年のバリ島爆弾テロ事件を首謀したとされる、東南アジアの過激派組織。
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( 翻訳者:藤井理沙 )
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