パル市南パルの新プトボ地区の状況
パル、KOMPAS.com配信
アニタは未だに、去る9月末に中部スラウェシ州パル市の自身が住む地域を襲った津波災害をまさに思い出す。その都市の一部を壊滅状態にした災害は、今もなお彼女の心に爪跡を残している。
アニタは、住まいが押し流された地域で被災者となった女性の一人だ。
去る10月15日、アニタもまた、パル市南パル新ペトボ地区で仮設住宅を建設中である中部ジャワ州からのボランティアチームを偶然視察に訪れた、ガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事にその状態を伝えた。
ガンジャル州知事に、アニタは災害が起きる直前に三番目の子供が誕生した状況を話した。
「この子が私の3番目の子供です。地震が起きる直前に生まれたばかりなんです」とアニタは言った。
そして、その中年女性アニタはガンジャル州知事に、地震の3週間前に産まれた赤ん坊を見せた。
同州知事は赤ん坊を見た途端に絶句した。彼はアニタが経験した状況に関し、何も語ることが出来なくなったのだ。
その一方、ガンジャル州知事は中部ジャワ州からのボランティアチームに、仮設住宅の建設を急ぐよう要請した。同氏は災害に見舞われたパル市民が一刻も早く使えるような仮設住宅の建設を望んだ。
「仮設住宅の建設が早急に終わるよう、要請する」とガンジャル州知事は公式説明の場で述べた。
パルはすでに雨期に近づいているため、仮設住宅はより早急に必要とされている。もし、避難住民たちが雨期に仮設テントに居続けることになれば、避難住民たちの健康と安全
に悪影響が及ぶだろう。
「ましてやアニタさんの子供のように赤ん坊であれば、なおさら仮設テントで生活するのはかわいそうだ」と述べた。
中部ジャワ州のボランティアは、被災地域に約100棟の仮設住宅を設置することを目標としている。ガンジャル州知事は起きた災害に対して被災者達に忍耐強く、立ち上がるよう求めた。
一方、中部ジャワ州地方防災局(BPBD)(注釈1)サルワ・プラマナ局長は、約100棟の仮設住宅がパルのプトボに建てられると付け加えた。仮設住宅のサイズは4m×3mで、ガルバリウム鋼板(注釈2)を使い、合板の壁でできている。
「今週のノルマはすでに終えてあり、この度被災した住民にすぐに利用してもらえる」と同局長は述べた。
(注釈1)地方防災局(BPBD):インドネシア全国34州、約500県・市において各自治体に設けられた、防災部局。インドネシア国家防災庁(BNPB)と本組織は、日本における内閣府(防災担当)と各自治体内の防災部局との関係と類似した組織体制である。
(注釈2)ガルバリウム鋼材:アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称。高い防食性を持っているため、建物の外壁や屋根の材料、あるいは雨樋・ベランダまわりなどの各種建築材料として近年使用が増加している。
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( 翻訳者:冨高志穂 )
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