メコンデルタで岸の侵食が進み深刻な状況
2018年10月13日付 VietnamPlus 紙
キエンザン省アンミン県ヴァンカイン社ティエンズア地区の海岸。崩れており特に危険である。
これまで、メコン川での違法な土砂採掘や違法な家屋建築、そして、メコン川上流やメコンデルタの各省や都市の社会経済の発展による好ましくない影響も受け、メコンデルタの川岸や海岸の侵食がとても深刻になっており、地域の持続可能な開発に影響を与えている。
侵食の状況は日増しに複雑になっている
自然災害対策中央指導委員会によると、川岸の侵食や堆積は、自然の一般法則に従っており、バランスをとっているという。メコンデルタ地域の川での土地の浸食が、通常、他の地域より大きいのは、地形や地勢、地質などが原因という。それには、タンチャウ町、ロンスエン市(アンザン省)、ホング町、サデク市(ドンタップ省)、ヴィンロン市(ヴィンロン省)といった浸食が大きい地域がある。
農業農村発展省の報告では、「2010年からこれまで、土地の浸食が急速に起こり、日増しに複雑になり、社会経済の発展に大きく影響している。このうち、786kmにわたって562箇所が浸食されている(川岸の浸食が520kmにわたって513箇所。海岸の侵食が266㎞にわたって49箇所)という。特に、173kmにわたって特に危険な箇所が55箇所ある(川岸74kmにわたって35箇所、海岸98kmにわたって20箇所)。97kmにわたって危険な箇所が140箇所。516kmにわたって普通の浸食箇所が367箇所ある」という。
浸食の原因と影響に関し、自然災害対策室中央指導委員会は、「メコン川本流における上流の水力発電所の各貯水湖の建設が、堆積土や土砂のデルタ地帯への流入を深刻に減少させた」との見方を示している。
さらに、過度の砂採掘や水上交通路の浚渫事業の実施、人口増加に伴うインフラ建設、川岸や海岸に建設される家の増加も原因として挙げられた。
このほか、気候変動の影響で、海水面の上昇も土地の浸食・流失の原因の一つであるとされた。海面上昇に関する観測では、トーチュー観測所で5.28mm/年(1995年~2014年)、フークオック観測所で3.40mm/年(1986年~2014年)である。予測では、21世紀末には、海面が1m上昇するという。であるならば、メコンデルタの面積の39%が浸水する危険がある。
全国の、特にメコンデルタの川岸と海岸の侵食が複雑に進んでいることを受け、2011年からこれまで、国は、11兆1859億ドン[翻訳者注:およそ540億円](95事業)あまりを投資した。このうち、3兆7780億ドンは既に投資しており、現在は引き続き2兆9770億ドン(71事業)を投資している。2016年から2020年では、4兆4390億ドン(24事業)投資する。
断固とした対策をとり、「牛を失ってから檻をつくろうとする」ことのないように
自然災害対策中央指導委員会の常務委員で、農業農村発展省自然災害防止対策総局のチャン・クアン・ホアイ総局長は、次のような見方を示した。
メコンデルタの川岸と海岸の浸食が複雑に進行していることを受け、政府は、気候変動に適応するメコンデルタの持続可能な開発に関する政府議定第120号を公布した。これによると、農業農村発展省が海岸の保護・堤防システムの強化・海岸の侵食対策・侵食が深刻な箇所への集中的な投資と即時処理・洪水避難のための空間を確保する方針での川沿い地域の土地利用計画と密接につながった河川の改良工事計画の構築・堤防と結合した交通施設建設・新農村建設と結びついた川や水路沿いの住宅地の配置や整備を行うとされている。
メコンデルタは、重要な戦略的位置を占めており、2,000万人が住んでいるが、気候変動の深刻な影響を受けている地域でもある。このうち、川や水路の岸辺、海岸での侵食は、川や海の岸辺の多くの住宅地やインフラの安全性を直接脅かしている。
メコンデルタの各省と業務を行った政府のグエン・スアン・フック首相は、「生命の安全を確保し、土地を維持し、人を維持しなければならない。『牛を失ってから檻をつくろうとする』ことはないようにしなければならない。ほとんど全部浸食してから問題解決のためのリソースを探したり、深刻な浸食地域を引き続き浸食させ続けたりしてはならない」と強調した。
2018年5月18日付の政府通達185号によると、政府首相は、2018年の中央国家予算の予備費から1兆5、000億ドンをメコンデルタに支援することに同意したという。また、2016年から2020年までの公共投資計画の予備費から1兆ドンを補足する政策にも同意したという。同時に、農業農村発展省に、とりまとめ、支援の目録と金額を提案するよう、委ねた。
指示された内容を実施するため、農業農村発展省は、各地方や科学研究機関と共に、デルフト[工科]大学(オランダ)、東北大学(日本)、フランス開発庁(AFD)、ドイツ国際協力公社(GIZ)などと連携して沿岸地域に関する研究やゴーコン東部地域(ティエンザン省)や西側の海岸(カマウ省)の研究、メコンデルタの沿海地域におけるマングローブ林再生と沿岸地域総合保護計画の構築などを行う。
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( 翻訳者:福原百那 )
( 記事ID:4582 )