ハノイ市、交通渋滞の「病気」のために毎年10億ドルもの損失
2018年10月24日付 VietnamPlus 紙
交通渋滞は、首都の多くの市民にとって頭の痛い「病気」だ
交通渋滞は、首都の多くの市民にとって頭の痛い「病気」だ

 交通運輸開発戦略研究所(交通運輸省)の発表によると、ハノイの交通渋滞で毎年10〜12億米ドル(約23兆3000億〜27兆9000億ベトナムドン)の損失が生じており、大気汚染は5倍になっている。

   個人の交通手段が倍増

 今日午前の(10月24日)のハノイでの交通渋滞と大気汚染の削減目標についてのワークショップで、農村・都市交通センター(交通運輸開発戦略研究所)のファム・ホアイ・チュン所長は、一部の研究によると交通渋滞がハノイに与える損失は年間10億米ドルから12億米ドルくらいに上ると述べた。
 加えて、大気汚染指標が規定の5倍を上回っており、PM2.5濃度も約3倍となっていることから、人々の健康も影響を受けている。
 人々の移動時間については、交通渋滞がまさに年間100万労働時間の損失を生じさせる原因となっている。その他、投資環境や社会開発問題も影響を受けている。
 チュン氏によると原因は、人口分布密度が均一でなく都心に集中しすぎていること、交通手段の発展の速度がインフラ整備の発展の速度に追いついていないこと、公共輸送機関の発展は未だ不十分で、需要の8〜9%にしか対応できていないこと、規定では基準を満たす交通用の土地面積が都市総面積の16〜26%以上必要なところ8.65%に留まっていること、などが挙げられるという。
 現在、ハノイにはおよそ550万台のバイクと50万台近くの自動車(うち32万7千台以上が軽自動車)がある。2010-2017年の期間、道路の面積の増加率が0.39%/年、距離は1.3%増である一方で、自動車の増加率は10%、バイクの増加率は8%である。
 交通警察課(ハノイ市公安)副課長グエン・マイン・フン中佐によると、首都のインフラは未だ交通サービスが実際には保障されておらず、多くのインフラ施設が設計上の6〜7倍も超えて利用されているという。
 事実、交通用の土地面積は、都市部では16〜26%、先進国では20〜25%と規定されているところ、ベトナムでは現在8.65%しか交通用に土地を使用していない。このため、フン中佐は、「[交通施設の]負荷が能力以上になるのは避けられない。一部のジャンクションでは分岐が未に効果的に行われていない」と認めた。
 「これまでに、高層マンションを建設する密度[の高さ]が交通量の[交通施設能力]超過具合を日々深刻にしてきた。個人の交通手段が急速に倍増していることも渋滞を引き起こす原因である」とハノイ交通警察課副課長はみている。

   2030年までには交通渋滞が解消される

 交通渋滞削減のため、ハノイ市はこれまでもまた現在も、公共旅客輸送、公共輸送の手段・質の増強を総合的に考慮に入れた、長期的な多くのプロジェクトを展開している。
 ハノイ交通運輸局副局長のゴ・マイン・トゥアン氏によると、ハノイ市には2010年─2020年の交通インフラ開発のための具体的な総合計画が既にあるという。これまでに、同市は様々な交通プロジェクトを展開しており、その中には重要な交差点での渋滞緩和のための8つの高架道路建設も含まれる。
 ハノイ市はまた、都市部での交通インフラの段階的な整備、そして渋滞と交通事故削減のため、高架・地下の環状道路1号2号3号線や、都心を貫く道路建設への投資プロジェクトを実施している。
 加えて、ハノイ市はこれまでも、そして現在も、以下のような幾つかの施策を展開している。「交通参加者を[公共交通に]惹きつけるための公共旅客輸送、公共輸送の手段・質の強化の総合的な検討。頻繁に渋滞する位置や道路の区間における交通組織のチェック・補足・調整。抑止力を作り交通参加者の意識を向上させるための宣伝、違反行為処分・検査・パトロールの強化」である。
 国家交通安全委員会事務局のチャン・ヒュウ・ミン副局長は、より総括した見方をしており、「現代的な都市に発展したいのならば、ハノイは戦略を持ちつつ、年ごと、月ごとの具体的な工程と方策を持っていなければならない」との認識を示した。
 「現在、ハノイの都心部から郊外の衛星都市への[機能]移転政策やプロジェクトの実施が障害に直面している。まだ総合的・統一的ではないからだ。例えば、住宅地は、学校システムや病院、娯楽地、公共輸送手段との接続などを伴わなければならない。まとめると、中心部にあるものが、衛星都市もあってこそ、多くの人が自ら移転するように惹きつけることができる」とミン氏は述べた。
 各衛星都市を建設する前に、ミン氏は、インフラ整備の準備や時宜に合った対応をするために、公共運輸のニーズや公共交通手段との接続法を即刻考慮する必要がある、と提案した。一部の大学を郊外に「運んでくる」だけでは、交通運輸手段など他の生活条件が整っておらず、[衛星都市建設は]実施できなくなってしまう、という。
 また、関係機関と市も電動化されていない交通運輸手段(自転車・徒歩)を利用する人々を奨励するために、例えば特別な車道や停車場など、有利で優先的な条件を作る必要がある。
 交通安全や渋滞や環境汚染の軽減を確保するための総合的な方策を出すために、ハノイ市交通運輸局は、2030年までのビジョンを含めた2017年から2020年までのプロジェクトを構築することを委ねられている。これには、2030年までに文明的、現代的で、交通渋滞が起こらなくなった都市を建設する目標の達成も盛り込まれている。
 具体的には、第一段階である2017年から2018年は、交通手段管理と運輸交通に関する国家管理を強化するための方策の実施を集中的に行う。ハノイは、一部の地域での一部の交通手段の活動を段階的に制限し、2030年からは中心部のいくつかの区にバイクが入ることを禁止する。

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( 翻訳者:嘉田浩 )
( 記事ID:4598 )