ベトナムの自動車産業は、第四次産業革命の時代にどのように発展するのか
2018年10月26日付 VietnamPlus 紙
ハイズオン・フォード工場の組立ライン
ハイズオン・フォード工場の組立ライン

 ベトナムの自動車産業は、地域の他の各国より発展がおよそ30年遅れており、このことが国内の[自動車]生産に大きな競争圧力をかけている。
 第四次産業革命の時代の自動車業界発展のために、10月24-28日に開催中のベトナムモーターショー2018の一環で、ホーチミン市では「第四次産業革命の自動車産業」をテーマにセミナーが開かれた。

   大きな競争圧力

 商工省工業局のグエン・ゴック・タイン副局長は、セミナーでの発表で、「ベトナムの自動車産業は地域の各国と比べておよそ30年発展が遅れている。タイ、インドネシア、マレーシアは1960年から自動車産業が発展したのに対し、ベトナムでは1991年にようやく自動車産業が始動した。ゆえに、ベトナムがこの分野を構築するために「最初のレンガ」を築いたばかりの時、既に各国の自動車産業はとても発展していたので、[ベトナム]国内の生産活動に大きな競争圧力をもたらしている」と伝えた。
 しかし、国家の統合の趨勢の渦中、ベトナムは自動車産業のための長期戦略の方策を実施してきた。この分野が工業化・近代化促進のための重要な原動力を生み出す分野であり、安定し一貫した長期的な政策により発展を奨励する必要がある分野だと考えたのだ。同時に、ベトナムを国際統合の過程におけるベトナムの公約と合致し環境に安全で消費者の権利を保障した、発展した自動車産業がある国に引き上げる。
 このことを通して、ベトナムの自動車産業には、各経済セクターの企業が積極的に幅広く参加している。この中には、例えば国内企業のチュオンハイ自動車株式会社、ヒュンダイ・タインコン株式会社、ヴィングループなど、そして世界の自動車大手企業グループのトヨタ、フォード、ホンダ、ミツビシなどがある。
 それらのおかげで、ベトナムの自動車生産・組立の総合能力は、年間およそ60万台に達するようになった。[その中には]小型車、トラック、旅客バスなどほとんどの種類が含まれる。一部の種類の国内部品調達率が55%の7トンまで積載可能のトラックや国内部品調達率が45%から55%の24人乗り旅客バスなどは、2020年までの目標に基本的に応えている。いくつかの種類の製品は、ラオス、カンボジア、ミャンマー、中米などの市場に輸出された。
 特に、この分野の多くの企業の参加もあり、各企業は、国家予算に年間数十億ドルの貢献をし、数十万人の労働者の雇用問題を直接解決し、進んだ自動車生産・組立産業分野の構築と発展の重要な前提を築いた。

   スマート自動車発展の傾向

 第四次産業革命における自動車産業の発展の傾向に関して、グエン・ゴック・タイン氏は「ベトナムは、現在、インターネット使用者が5000万人以上で人口の54%を占めており、世界平均の46.64%を超えている。ITに関するインフラが比較的発展していることが、自動車生産・組立企業が第四次産業革命の成果に迅速にアクセスできるための条件を作り出している。このことは、ベトナムの自動車産業にとって突破口的な発展の一歩を作り出すカギやチャンスと考えることができる」と伝えた。 企業の視点から見ると、メルセデスベンツ・ベトナム社のグエン・ナム・カン氏は、「第四次産業革命のためのインフラは既に整っている。数年後、互いに『おしゃべり』やコミュニケーションをしたり、他の公共システムとつながったり、人間と仲の良い『友人』になったりしている車を、共に想像してみましょう」と述べた。
 現在、自動車の研究・設計・製造・生産を行うすべての人々は、主に3つの方向に技術開発を集中的に行っている。遠くない将来に共に発展する一つの場を作るためである。それは、「時代に合ったハードの設計・製造・生産技術」、「スマートコントロールと人工知能利用のソフト技術」「連結・コミュニケーション技術」である。
 上記の3つの発展の方向性はすべて、唯一の目的である、単なる輸送手段である車が賢い「友人」となり、コミュニケーションがとれ、人工知能を通して周囲のモノのインターネットがつながり、より賢く安全な車となることにある。
 上記と同じ考え方で、ベトナムiBosses(郵政通信グループ)のグエン・ヒュウ・タイ・ホア会長は、「スマート自動車の例としては、運転者は行き先を選ぶことができ、車はGPSを使ったITソフトでコントロールされて最も賢い道を時速40キロで走行し、コンパクトなつくりで、建物の中に収納することもできる。
 電気自動車は最大で6人輸送でき、重さはわずか500キロ未満、停留所はおよそ5㎡で、騒音も環境汚染も無い。車を収納したり、預けたり、もしくは使用したりする際は、スマートフォンで命令を出せば、車は自ら探して迎えに来る」と述べた。
 グエン・ゴック・タイン氏も、もし、以前、車の違いを、モーター、ギア、アクチュエータ、ハンドル、ガソリンなどで決定していたとすると、現在は、自動車がまるでコンピュータのようだ、という。ソフトと電気が、力学や人間、燃料といった要素の機能に代わったのだ。このことは、自動車を単なる四輪の機械から、大量のアプリが装備され、より安全な運転を助け、使用者に新しい体験をもたらすものにしつつある。
 注目されるのは、グーグル、テスラ、ウーバー、アップルなどといった自動車生産に参加したことがないとても多くの企業も、自動運転車開発計画を立てていることだ。しかし、インダストリー4.0技術を搭載した自動車も、ベトナムでは新しいもので、自動車生産分野でもソフト開発分野でもまだあまり多くの企業が参加していない。
 チャンスを逃さず、自動車技術開発を促進する決意で、ベトナムでは多くの企業が研究に投資し一定の初期的な成果をおさめている(2016年からFPTは700人規模でこの分野専門で活動する会社を設立させた。2017年半ば、画像処理・人工知能・ディープラーニングに関する最新技術アプリをFPTが模型自動車に試験的に搭載した。2017年10月、自動運転技術が統合された最初の商用車がこの会社の敷地で試験走行を行った)。
 そして、最近では、ビンファスト経営生産有限責任会社がこれまでも、そして現在も投資し、ハイフォンの自動車生産・組立工場に自動ロボットを数千台設置している。この工場は、2019年に商用生産を開始する予定だ。そうなると、消費者には、現在のような騒音と環境汚染を起こさない電気自動車、という選択肢が増えることになる。

関連記事:「自動車産業振興のカギ:発展のための多くの原動力」
https://www.vietnamplus.vn/chia-khoa-thuc-day-nganh-cong-nghiep-oto-nhieu-dong-luc-de-phat-trien/511028.vnp

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( 翻訳者:山田奈保 )
( 記事ID:4599 )