社会の反感を買う多くの行為が起きている状況を受け、10月30日［国会で］の質疑応答で、多くの議員が文化スポーツ観光大臣に、社会道德と家庭道德の劣化に対する解決策について質問した。
　ディン・ティ・キエウ・チン議員（ゲアン省）の、社会道徳と家庭道徳の劣化が現在深刻な状況にあることに対する解決策についての質問への回答として、グエン・ゴック・ティエン文化スポーツ観光大臣は、これは重要な問題であり長期にわたり［解決策を］実行する必要がある、と述べた。
　この問題については既にこれまでの国会の会期の中でも大臣が答えてきた。現在も、社会道徳の劣化は複雑化している。我が民族の一部の伝統的道徳価値や素晴らしい文明的な生活様式が漸減していること、社会や党幹部内での政治思想・道徳・生活様式の衰退現象が増加の傾向にあること、職業倫理の衰退、学業・学歴、求職・権益の手続きにおけるインチキ、家庭内暴力、高齢者への暴力、など［が挙げられる］。
　具体的な解決策に向けて、大臣は、国家管理の責務として党と国家から、文化スポーツ観光省が新しい人材の育成と社会道徳の劣化の克服のための諮問機関となるよう指示を受けた、と述べた。
　同省は、中央委員会が国家の持続可能な開発需要に対応する人間の文化の建設と開発に関する決議第33号33-NQ/TWを公布するために、既に諮問を受けた。
　加えて、同省は引き続き、日増しに質の高い映画・作品・演劇・芸術番組が増え、それらが精神の養生、人格形成、道徳教育、そして道徳的に劣化した事象への対策に寄与するように、文学芸術の使命、道徳・文化・歴史の建設に対する芸術家の役割を発揮させ、人々を真善美の方向に導く文化・芸術の教育道徳の役割を向上させる施策を実行している。
　同時に、同省は道徳教育、生活様式の教育における多分野協力を強化しており、教育育成分野と協力して文化遺産［に関する教育］の学校への導入や、児童・生徒が積極的な、子どもにやさしい学校の建設を行ったり、情報通信省、ベトナムラジオ局、ベトナムテレビ局、［ホーチミン共産青年］団中央やその他の社会団体と協力し、道徳や生活様式の建設を行ったりした。また、家庭内の道徳教育・生活様式教育の強化に関する政府首相の指示第11号や、2020年までのベトナムの家庭における道徳教育・生活様式の教育・宣伝に関するプロジェクト、2020年までの家庭の生活様式教育プログラムの実施・展開、そして査察・検査・不正行為の処分の強化を行った。
　大臣によると、ホーおじさん［ホー・チ・ミン元主席］が「10年先の利益ためなら木を植えよ。100年先の利益のためなら人を育てろ」と言ったように、人格形成や道徳・生活様式の劣化現象の克服には、社会全体に行き渡るような強烈で敢然とした段階的な歩みが必要であるという。
　大臣は、「この分野［の問題］は経済の面から生じた可能性がある。私たちは経済の面を棚上げしてこの問題を解決しようとしても不可能だ。なぜならこの原因は、社会に存在し社会意識を決定する経済であるからだ。経済が根幹である。これは、非常に［解決が］困難で緊迫した問題であるということができ、私たちは非常に憂いている。しかし、もし、文化やいくつかの分野のみでこのように逡巡しているままならば、時間は無く、現在の経費もとても少ないといえる」と述べた。
　グエン・ゴック・ティエン大臣の回答には同意しなかったグエン・クアン・トゥアン議員（ハノイ市代表）が、文化を発展させ、社会道徳を変えたかったら、経済発展しなければならないと反論した。もちろん「富貴生礼儀」という言葉があるとしても、金では文化は買えず、社会道徳を買うこともできない。人間は家庭で道德や人格を身につけ、形成される。両親は子供たちの鏡である。教師も生徒の鏡であり、「一に礼儀を学び、二に学問を学ぶ」。これが社会道徳の劣化を食い止めるのに重要なことである。
　以前この国がまだ貧しく非常に困難であった頃でも、社会道徳は維持され良い文化があった。現在、我が国は貧困を抜け出し、中所得国となったが、社会道徳の礎が劣化する問題は深刻化している。原因はどこか？と同議員は質問した。
　この問題に関して大臣は、文化は社会精神の礎であり、また文化は目標であり、経済・社会発展の原動力でもある、と述べた。これまでは、社会道徳問題に触れるときはすぐに文化分野や各社会分野が思い浮かべられてきた。もし現在でもこの考え方のまま、古い方法でこの問題に対処するならば、社会道徳劣化の克服は非常に困難なものになるだろう。
　大臣は、「私は社会全体が関わる必要があり、社会道徳の劣化はまさに経済分野、経済領域から発生していると言いたい。したがって私たちは社会分野のみならず、これらの分野においても対処しなければならない。もしこのまま文化分野や社会分野だけで逡巡しているようでは、劣化問題は解決できない」と強調した。
　大臣によると、文化分野への予算割当は非常に少なく、実際にこの三年間で、無形文化遺産の保護に割り当てられた予算はわずか73億ベトナムドン［およそ3650万円ほど］である。もしまとまった解決策がなければ、今後の任期でも、文化スポーツ観光大臣は引き続き社会道徳劣化問題について質問されるだろう。これは一朝一夕で解決できる問題ではない。


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（ 翻訳者:嘉田浩 ）
（ 記事ID:4610 )