各国会議員により関心を持たれている問題の一つとなっており、第14期第７回国会の枠組みの６月６日午前の質疑応答で政府メンバーに対しても質問されたのは、礼拝・宗教・信仰のための各施設の管理についての問題だった。

　　「寺ビジネスは、ない」

　「寺ビジネス」という現象はあるかないか、に関する国会議員の質問に、レ・ヴィン・タン内務相は「政府宗教委員会の報告が『これまで、ビジネスのための寺の建設にお金を献金した幹部、公務員、職員は誰もいない。しかし、これまで一部の個人が、人民の信仰・礼拝・信条のための施設を利用し、異端迷信の活動を行い、不当な利益を得、社会問題となった』と明示している」と述べた。
　この問題についてより詳細に意見交換し、レ・ヴィン・タン氏は、「これまで、ベトナムでの寺の建設は、宗教信仰法の第56条第３項の規定により実施されてきた。宗教・信仰の施設は、個人やいくつかの組織・グループが共に自発的に献金して建設されたが、ビジネス目的ではなかった」と伝えた。
　上記の考え方と共に、ティック・バオ・ギエム和尚（ベトナム仏教教会管理評議会副会長）は次のように強調した。「一部の国会議員が言及している『BOT寺』[訳注１]といった、とても新しく重い単語・概念のような、ビジネス目的で個人・グループが建設のために投資・献金をする行為はいかなる寺でも行われていない、と私は確認した」。
　「国会議員の一人として、また仏教教会管理評議会副会長の仏教修行者として、私は国会と全国の有権者に対し、全国すべての範囲のすべての寺は、ベトナム仏教教会と各地方の仏教会が人民と共に建設し管理しているものだ。いかなる寺もそのシステム外には存在しない、とご報告申し上げる」とティック・バオ・ギエム和尚は強調した。
　異端迷信（凶星の厄を禳《はら》う星祭り[原語：dâng sao giải hạn]、招魂[thỉnh vong]など）を行うために人民の信条を変形、利用する「常規を逸脱した」行為に関しては、ティック・バオ・ギエム和尚は、「このようなことは『少数』であり、『一匹の虫が鍋に入ったスープを駄目にする』という状況になっているに過ぎない」との見方を示した。
　「仏教教会は常々、愛国、仏道、民族の精神を発揮し、文明的な生活スタイルを構築し、伝統文化の価値を保持し発揮している。間違った現象はすべて厳正に処理される。私は『ベトナム仏教教会は、いかなる修行者、特に道德や戒律に違反した聖職者を容認したり庇護したりはしない』と確認した」とティック・バオ・ギエム和尚は強調した。

　　　バーヴァン寺の事件に対する処罰のレベルで論争

　バーヴァン寺（クアンニン省）での「請冤家債主、原語：thỉnh oan gia trái chủ］」[訳注２]をめぐり、ファム・ティ・イエンさん［女性］に対する罰金が500万ドンレベル［2万3000円相当］だったことに直接関連し、多くの国会議員が、この罰金レベルでは抑止力にならない、との見方を示した。タイ・チュオン・ザン議員（カマウ省国会代表団）は、「イエンさんの行為は刑法違反の兆しがあり、告訴する必要がある」とした。
　この問題に答えて、レ・ヴィン・タン内務相は、「３月20日から３月28日にかけて、省や部門の各機関、ベトナム仏教教会評議会、クアンニン省は、［犯罪事実の有無を］確認した書類を作成し、首相に報告した」と伝えた。
　「確認した結果、関連する各機関や組織は、法律と仏教の戒律の規定に従って統一した処罰形式にした。解決後、世論は沈静した。大多数がベトナム仏教教会とクアンニン省の処理に賛同した」と内務相は伝えた。
　内務省の幹部によると、上記の状況、現象を克服するため、この省は、宗教施設や神聖な施設の活動の管理の強化（その中には違法行為の処罰に関する具体的な規定も含まれる）や人々への宣伝の強化および宗教問題に関する国家管理業務教育などに関する各議定を公布するよう、政府に要請するといった、いくつかの方策を実施しているという。


[訳注１]：BOT寺。原語はchùa BOT。民間が施設を建設、運営し・契約期間終了後に公共へ所有権を移転するBOT方式になぞらえている。ここでは、民間企業などが寺の敷地内に施設を建設し利益を得ようとする動きなどを指すと思われる。

[訳注２]：請冤家債主。恨みを与えた人間に恨みを受けた人間の償いをさせる。前世に人を殺したなどの報いで家に起こる禍を除くため除霊する行為を指すと思われる。


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（ 翻訳者:田中佑佳 ）
（ 記事ID:4881 )