気候変動への対処方法をメコンデルタが模索することへの支援
2019年10月08日付 VietnamPlus 紙
高潮でカントー市の多くの道路が冠水し、住民の生活を混乱させた。(写真:タイン・リエム/ベトナム通信社)
メコンデルタでは、地盤がおよそ2~3㎝沈下しており、海面は少なくとも0.5cm上昇している。この地域は、現在、海抜がおよそ0.8mを超える程度でしかない。
10月8日、カントー市人民委員会はフルブライト大学ベトナム校とハーバード大学(アメリカ)の共同チームと共に、市の気候変動の状況と気候変動対応のための政策について話し合う場を持った。
ハーバード大学のベトナム・プログラム上級経済専門家で作業チームのリーダーでもある、David O.Dapice教授は、ユトレヒト大学(オランダ)の研究グループの先ごろの発表に基づいて、メコンデルタにおける海面上昇と塩害の状況は警報レベルにある、と伝えた。
毎年、メコンデルタでは、地盤がおよそ2~3㎝沈下しており、海面は少なくとも0.5cm上昇している一方で、この地域では、現在海抜がおよそ0.8mを超える程度しかないのである。
今後50年以内に、効果のある解決策を行わなければ、メコンデルタに住む1200万人以上の人々が、この状況から直接影響を受けるだろう。
ハーバード大学(アメリカ)のベトナムプログラムは、は、フルブライト大学ベトナム校と合同で行っており、海面上昇や塩害の進行が、メコンデルタ地域で被害を受ける各省や都市の社会安全や経済発展に与える潜在的な実質的影響の分析を行っている。マサチューセッツ州(アメリカ)で11月初めに開催される「政策会議」プログラムの準備に向けたものである。
この会議は、ハーバード大学(アメリカ)とベトナム政府上級幹部の間で毎年行われている会議であり、ベトナム政府が直面している諸課題を改善するための政策や手段を提示する目的がある。今年の会議の主題は、気候変動と環境の問題である。
カントー市の現在の気候変動の状況及びカントー市の対応策に関して作業グループと意見交換し、カントー市人民委員会のダオ・アイン・ズン副委員長は、「カントー市は川と運河のネットワークが絡み合っていて、ハウ川、カントー川そしてカイサン水路に囲まれている。従って、高潮、干魃、塩害のような気候変動による影響はどれも、市に直接被害を与える」と伝えた。
最も深刻な影響は、ニンキエウ区、ビントゥイ区、カイラン区のような中心地域での高潮の状況である。なぜなら、現在これらの地域では、排水設備がとても古く老朽化している上、多くの道路で相応の排水システム建設への投資が行われていないからだ。
それに加えて、いくつかの道路は、約1.7mから1.8mほどしかない古い設計だったので、新たに2.5mから2.7mまで高くかさ上げされたが、やはり冠水してしまった。高潮が上昇する速度に追いつかなかったのだ。
カントー市資源環境局の報告によると、2004年のカントーにおける高潮の高さは1.93m、2010年は1.94m、2018年には2.23mまで上昇し、2019年は2.25mになった。高潮の高さの上昇速度は、日増しに複雑な問題になっている。
上記のような状況に対応するため、現在カントー市人民委員会は、世界銀行からの7兆ベトナムドン(訳注:327億円相当)の資本の支援により、都市に適応した高潮対策強化案件を実行している。この案件は、2016年から2021年までの間、根本的に冠水を防止する排水を整備し、洪水・冠水の規模を小さくし、2675ヘクタールの農業用地と42万3千人の市民が生活する居住地を保護し、カントー川とオモン区の両護岸の建設投資を行う狙いがある。
塩害の問題に関し、市は配水・給水ネットワークを拡大し、新都市開発を行う地域と清潔な水が不足している奥地や郊外地域の両方に広げている。また、各地方行政府が、短期および中期の総合配水戦略を選ぶ支援、下水システム維持のための活動のレベルアップと強化の支援なども行っている。
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( 翻訳者:中富春奈 )
( 記事ID:4962 )