メコン川委員会が、メコン川の変色による深刻な影響に関する警告
2019年12月11日付 VietnamPlus 紙
タイのナコーンパノム県を流れるメコン川(出所:bangkokpost.com)
タイのナコーンパノム県を流れるメコン川(出所:bangkokpost.com)

 ラオス駐在ベトナム通信社特派員によると、メコン川委員会(MRC)はプレスリリースを出し、いくつかの地域でメコン川の水が変色している現象について説明した。最近、メコン川の 水が緑色に変色した原因として、水位がとても低いこと、川の砂や泥の減少、砂と川底に藻が出現したことを挙げている。
 メコン川委員会は、この現象は、水位が低くなっているメコン川の他の地域にも拡大する可能性があると述べてい る。
 発表によると、メコン川のタイのナコーンパノム県とラオスのターケーク郡を通って流れる部分が青緑に変色した。
 原因と影響の可能性に関するメコン川委員会の当初の分析によると、この現象を引き起こす要因は多数あり、これらがもたらす影響はかなり深刻なものになる可能性がある。
 分析によると、現在、メコン川は水位が低く、この地域で歴史上最悪の干ばつにおそわれており、そのことが水の色を変化させたという。
 流れが速く深い河川の区間では、元々頻繁にみられる微粒の堆積物が水の色を茶色くする。しかしながら、その微粒の堆積物が現在は無くなり、水をより澄んだ色にしたのだ。
 分析によると、これにより、日光が河川にあたると、水は、スペクトルの一番赤色側の「光の波長が長い色」 を強く吸収し、河川を青緑色にする。これは、水面のほんの数メートル上で起こる。
 この分析が示すことは、より澄んだ水は砂や川底にある岩の上の微小植物や藻の成長を促し、水面を緑色に変えてしまうことである。
 この藻は、普通なら河川の流れにより運び去られるが、ナコーンパノム県やおそらく他の地域においても、川が極めて低い水位であることが原因で、その藻は運び去られることなく、成長してしまう。
 この分析は、仮に農業肥料が河川に混入すれば、藻の成長は促され、状況は悪化する可能性があ ると警告する。
 プレスリリースは研究の第一人者であり、メコン川委員会事務局の環境管理担当であるソ・ナム博士の言葉を[次のように]引用している。「水が青緑色になっているこの現状は、メコン川の水位が低い他の区間にも拡大する可能性がある。低い水位や堆積物の沈殿は悪い影響を与える可能性があり、これについては、メコン川委員会の定量的研究で明確にされている」。
 この分析によると、いくつかの悪い影響には以下のことが含まれる。昆虫や小魚の食べ物の減少、また魚 を含む水生生物の多様性の低下による、地元の人々の漁獲量や生活に対する悪影響。
 澄んだ水は藻の急速な成長を引き起こす。そしてこれは、水中の酸素濃度を日中には上昇させ、夜中には大幅に低下させる。このことは多くの魚の命に影響を与えうる。
 このほか、水があまりにも澄んだ状況にあると、藻の成長が勢いを増し、緑色の厚いカーペットをつくりだす。そしてこれは腐敗し、悪臭を放つだろう。
研究は、このまま状況が悪化すると、藻は緑色の藻(緑藻[Chlorophyceae])から青 緑色の藻(灰色藻Cyanophyceae)に変わりかねないと警告し ている。これが起こると、生物にとって有毒な物質が生成されてしまう。
 しかしながら、ソ・ナム教授によると、「この状況は、(メコン川)本流で起こる可能性は低く、よどんだ水の地域でのみ起こる」という。
 とはいえ、ソ・ナム教授は、人々に、水があまりにも青すぎる場合は、動物に川の水を飲み水として与える際に気をつけるよう、警告している。
 この研究によると、メコン川における青緑色の水の状況は次の洪水の初めに水量が増加する時期 まで続くだろう。一般的には、5月の終わり頃である。
 仮に、メコン川(瀾滄江[訳者注:メコン川上流の中国での呼び名])上流の各ダムや支流のダムにある貯水池が放流し、大量の水が川に 流れてくれば、土砂など堆積物が運搬され、メコン川らしい茶色い水への回復が促され、現状は改善される。
 メコン川委員会による水流量の観測調査の結果、この数年に、乾季における水流は、電力を生み出すため水が各貯水池から水が放流されたことにより増加してきたことがわかっている。


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https://www.vietnamplus.vn/theo-sat-tinh-hinh-khai-thac-va-su-dung-tai-nguyen-luu-vuc-song-mekong/611060.vnp

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( 翻訳者:新里フランコ )
( 記事ID:5097 )