ベトナム人労働者海外派遣の規定を改定し、費用を削減する
2020年06月10日付 VietnamPlus 紙
韓国に働きに行くために韓国語の試験に参加する労働者たち
派遣契約によるベトナム人労働者海外派遣に透明性と費用削減を保障する目的で、業務料に関連する規定が改定される。
派遣契約によるベトナム人労働者海外派遣法の改正案は国会に提出され、6月10日に審議がなされ、2020年10月の国会で可決される見込みだ。
可決後、この改正案は数十万人ものベトナム人海外派遣労働者の生活に影響を与え、将来的には彼らの移動やベトナム経済の近代化事業の発展に作用すると見られる。
<労働者の費用削減>
この法案の特長の1つは、ベトナム人海外派遣労働者の費用に関する規定の改正である。この規定は、市場の現状、国際情勢、労働者を雇う側の経営責任の担保などに応じて調整がなされる。
派遣契約によるベトナム人労働者海外派遣に透明性と費用削減を保障する目的で、改正案は業務料の概念と業務料に関連する費用の規定を改正する。
労働者は業務料の全額を負担しなくてはならなかったのに代わり、法案は「外国側が斡旋業者にすでに業務料を支払っている場合、業者は業務料の上限額から労働者を受け入れる外国側から受け取った業務料を除いた額に相当する業務料のみを労働者から徴収することができる」と補足している。特に、労働者が斡旋業者に対して斡旋料の一部を完済する責任があるという規定も廃止した。
国際労働組織(ILO)ベトナム事務所長であるチャン・ヒー・リー博士は以下のように述べた。「各種採用費用の適用の禁止を規定し、関連費用を法律で明確に規定することは、非常に重要な役割を果たします。労働者が外国で働くために謝金を支払い、高額な費用を支払わなくてはならず、また高金利の借金をしなければならない場合、彼らは借金のために悪用され、搾取され、隷属させられる状況や、強制労働や人身売買の被害者になりやすくなります。そのため、労働移動の発展のための利益は十分には担保されないのです」。
ILOの民間雇用機関条約第181号や公平な採用活動の展開に関する原則やガイドラインによると、「労働者は間接的または直接的に一部または全部の採用費用または関連費用を負担する必要はない」上、「公共・民間両セクターにおける労働者の雇用主、または仲介人は、労働者の代わりに採用費用を支払う必要がある」とされている。
<労働者は規定より高額を支払っている>
現在、ベトナムは採用費用・関連費用が高い。一方、ILOの新たな研究によると、外国労働者は謝金の仕組み、現在の費用、法律が定める各種費用の額に関する複雑な規定を十分に理解していないため、彼らは費用を過払いしているか否かを知るのが困難な状況にある。
ILOの研究によると、規定された上限を超える移動労働者の費用を徴収する状況が今も一般的である。インタビューを受けた労働者の一部によると、1億6800万ドンから3億7200万ドン(7,000から16,000米ドル)を日本や台湾(中国)で働くために支払わなければならなかったといい、この額は法律の定める上限額より大幅に高い。より低い費用で、より少ない時間でより簡略な規定による法律内の移動方式を規定することは、法律で定められた上限額を超える費用徴収の問題の解決につながる他、監視や実施がより容易になる。
ILOの労働移動に関する専門家であるアンナ・オルセン氏は、「様々な料金の支払いから生じる借金による隷属状況に関連する悪用行為は、強制労働や人身売買につながりかねません」と述べた。
「強制労働に関連するリスクの問題を解決するためには、十分な国家の法的枠組みや国際労働基準に基づく包括的な移動労働政策がなくてはならない」という認識をアンナ・オルセン氏は示した。
専門家らによると、ベトナム人労働者海外派遣法の改正は、「採用費不要」で移動労働力を雇用したいトップクラスの国々の多くの雇用主や企業の要請に応じる中で、ベトナムにチャンスをもたらす。改正法によれば、労働者たちは外国に働きに行くのに一切の費用を支払わずに済む。これにより、移動労働者たちはより保護され、かつ国際基準に適応することもできる。
労働者の基本的利益を保障する費用に関する規定をより完全にするため、今回の法案は国際的な労働基準の本質と方針を反映して改正された。強制労働の廃止の決意に関連し、国会は先の月曜日に議決を行い、ILOの強制労働廃止条約第105号を批准した。
ILOベトナム事務所長は、「私たちはベトナムが移動労働の発展の潜在的可能性を促進することを期待しています。これを実現する最良の方法は、移動する前、移動中、移動後の労働者の仕事の確保と権利の保護です。ILOはベトナム政府がこの重要な目標を実施するのを支援すると約束したことを再度確認します」と述べた。
2019年、ベトナムは外国に15万2,000人の労働者を派遣したが、そのうちの3分の2は男性である。日本と台湾は過去3年、ベトナムからの労働者の90パーセント以上を受け入れている。毎年、政府は国家、省単位双方の移動労働の目標を上げており、雇用創出、労働者の技能向上や貧困削減の手段として、移動労働を積極的に推進している。
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( 翻訳者:田中佑佳 )
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