国会の新たな決議によると、社会化された教科書[民間のリソースで作成された教科書]が承認されたならば、教育訓練省は今後教科書の編纂をする必要がなくなる。

　６月19日に国会で可決されたばかりである第14期第９回国会の決議によると、社会化の方式に従った教科書が編纂され、具体的なそれぞれの科目で少なくとも１つの教科書の、第14期国会43／2019号教育法の規定に従った検定・承認が完了していた場合は、その科目では、国家予算を使用した教科書の編纂は行わない、という。

　　　新たな決議は教育訓練省にとって「救い」である

　以前には2014年の国会88号決議が教育訓練省に対して一連の教科書を編纂すべきであると要求していた。これは教育の包括的、根本的刷新に貢献する為の要件を満たすような社会化した教科書が無い、という状況を避けることが狙いである。教科書編纂の為の国家資金の予算は1600万米ドルである。（世界銀行による融資）
　しかし、５月16日の国会常務委員会会議において、教育訓練省大臣であるフン・スアン・ニャ氏は教科書を編纂する人を見つけられないので教科書の編纂を継続しないことを申請した。教育訓練省のトップは同省が教科書の編纂者を選ぶための入札を２回行ったもののどちらも失敗に終わったことを伝えた。原因はまさに、経験がある専門家のほとんどが既に各出版社と早々に契約を結び、教科書の編纂を行っていたからだ。
　そのような現実から、ニャ氏は、教科書を懸命に編纂しようとしても不可能で、[出来上がったとしても]質を確保する条件も不十分だ、との見方を示した。
　一方で、教科書の社会化政策は、各出版社や組織・個人により順調に実施されていることから、教育訓練省は、同省による教科書の編纂をやめることは国家予算の節約に役立つだろうと伝えた。
　国会の新たな決議は教育訓練省にとって「救い」となる。この決議に沿えば、教科書の社会化政策が順調に展開され、教科書が児童や生徒のために求められる水準を満たす教科書が十分にあることを保証できる場合、同省は教科書の編纂をする必要がなくなるだろう。
　現在、教育訓練省は１年生の教科書を新たに検定したところであり、既にすべての科目で基準を満たした教科書のセットが５つある。この様に、第14期第9回国会の決議によると、教育訓練省は１年生の教科書を編纂する必要がないのである。
　続く他の学年についても、現在各出版社は、普通教育カリキュラムの改革スケジュールに従って、各学校年度に間に合うよう、教育訓練省に提出して検定を受けるために、教科書の編纂を、順次、急いで行っている。
　現時点までに出版社が報じた情報では、２年生と６年生（学校年度2021年から2022年の学年用）の教科書は、基本的に執筆し終えており、現在は教育訓練省に提出する前に、修正、完成させる為に自分の組織の中での見直し・検定が行われている。しかし、現時点になってもなお教育訓練省はこの学年の教科書検定委員会を設立してはいない。

　　　競争はより健全化する

　ハノイ師範大学の元教員であるグエン・クォック・ヴォン修士によると教育訓練省が教科書の編纂を行わないことは、予算からの多大な出費を抑制するだけでなく、出版組織間の競争をより健全化させることにもつながるという。各[教育]機関が教科書を選ぶ際に、教育訓練省の「見えない圧力」を受け、公平性が低下することはないだろう。たとえそれが心理的な面のみであっても。また、同省も、「教科書を再編纂しながら検定する」といった、「ボールを蹴りながら笛を吹いている[サッカーしながら審判する]」状況に陥らない。
　これはグエン・ティ・キム・トゥイ国会議員（ダナン市選出）の考え方でもある。トゥイ女史によると、この状況下で国家予算を源に教育訓練省の教科書を追加で編纂する必要性はなく、また、質の保証が難しく、教科書編纂の社会化政策の実施にマイナスの影響がでる。
　グエン・ティ・クエン・タイン議員（ビンロン省選出）は教科書の執筆構想がたくさんあり、熱意がある各組織・個人を後押しし、奨励するために、教科書の編纂に国家予算を用いないことに賛同している。クエン女史はこのことが、独占の抑制につながり、各施設が教科書を選ぶための選択肢を増やし、教科書の編纂において平等で公平な競争を行う条件を整えるという。
　教育訓練省の国家管理という役割の角度から見てみると、各代表は、省は教科書の編纂に直接携わるよりもこの役割をより良く行うことに集中すべきであるとした。
　グエン・ティ・キム・トゥイ議員によると、教育部門の有権者が、多くの地方で、普通教育機関の教科書を選択する権利があまり尊重されていない現実を報告したという。「世論も、扉の後ろで人にとりいって地位を求める現象[賄賂を贈る現象]をいくつか伝えている。教育訓練省は、この歪んだ現象を査察・検査・是正する役割をまだ正しく実施していない」とトゥイ女史は述べた。
　トゥイ議員は、「教育訓練省は、規定に正しく従った教科書の選択の保証、教科書の質の確保、教員の養成において、国家管理という自らの役割を強化する必要と教科書の価格に関するシステムを考える必要がある」と提案した。


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（ 翻訳者:内海沙姫 ）
（ 記事ID:5415 )