ハノイ市:バヴィ県のザオ人の南薬製造知識を保存する
2020年10月24日付 VietnamPlus 紙
バヴィ県(ハノイ市)バヴィ村のザオ人の南薬の製薬知識は文化遺産と見なされており、ハノイの文化機関と地方政権によって保存、開発されている。
バヴィ村の人口の98%はザオ人であり、主に南薬[訳注:ベトナムの漢方薬のこと]の栽培と製造で生計を立てている。治療のために南薬を使用する事は、高山の上で暮らしていた当時からザオ人の生活と長らく結びついている。
山を下りて生活するようになってから、耕作面積が僅かで副業がないために、同胞の生活は困難であった。一部の人が製薬業を発展させ、次第に製薬業は伝統となった。
今日、医学は発展しているが、南薬の処方は依然としてこの地域の人々の健康を守るのを助け、彼らにとっての主たる収入源をもたらす職業になっている。
バヴィのザオ人の主たる薬の材料はバヴィ山上で採られる。そこには500種を超える生薬があり、その中には貴重で特別な種類のものが多くある。その他にザオ人はスオイハイ丘、ダチョン丘、K9区(バヴィ)と北の一部の省で薬木を採集している。
実際にそれらの森の中の薬木の多くは探すのが難しく、絶滅するおそれがあり、ザオ人の複数の家族は品種の保存のために自宅の庭畑に薬木を植えている。
以前は、製薬に使用していた各種の薬木をザオ人は生のまま用いるか、乾燥させ、それを煮た湯を浴びたり飲んだりしていた。しかし、今は森で採集された薬は、乾燥させた薬、軟膏、滴薬、貼り薬、粉薬の5種類に下処理されている。
ザオ人の南薬は多くの種類の病気を治療するために使用されている。例えば、関節、肝臓、腎臓、胃、神経などの疾患や外傷、口腔、女性の産後の薬などである。
バヴィに暮らすザオ人は、骨折や痔を治す薬と女性の産後の薬の処方が特に有名である。
家族の中で直接伝えたり、相互に学び合うことに加え、近年バヴィ県とバヴィ村は薬の下処理、保管や病気の診断をテーマに、南薬を作る人々が東洋医学について理解を深めるためのクラスを組織している。
バヴィ・ザオ族南薬協同組合が、多くの貴重な種類の薬の効果の保存と開発を目的として設立された。地方政府もまたバヴィ国立公園の価値や各薬木、また民間療法の知識の価値をバヴィのザオ人共同体が理解し、そこから、それぞれの人が自然遺産と自分たちのコミュニティの南薬の知識の保護により意識的になるための宣伝事業を重要視している。
ロックフェラー財団、アジア基金、コミュニティ環境開発センターの財政援助を受けた「ハノイ市バヴィ県におけるエコツーリズムとコミュニティツーリズムのモデルの振興」というプロジェクトの枠組みの中で、『バヴィのザオ人の薬木』という本が編纂され、ザオ人の共同体の薬業の保存と発展の意識の醸成に寄与している。
ザオ人のみならずハノイ文化全体の南薬製造という文化遺産の保存と収集を目的として、ハノイ文化・スポーツ局もまた『バヴィにおけるザオ人の南薬の知識』を編纂した。
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( 翻訳者:千葉智洋 )
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