塩害に対処するメコンデルタ地域のために生活用水を確保する
2020年11月25日付 VietnamPlus 紙
会議風景(写真:ミン・チー/ベトナム通信社)
会議風景(写真:ミン・チー/ベトナム通信社)

 ティエンザン省、ロンアン省、ベンチェー省は、建設省が、政府首相に対し、給水計画にカイベー県の原水ポンプステーションと送水管システムのプロジェクトの追加を検討するよう求めることを、提案した。

 気候変動と[塩水遡上による]塩害に対処するメコンデルタ地域に住む人々に生活水を供給する解決策を見つけるため、11月25日、建設省はティエンザン省の人民委員会と共に、メコンデルタの給水計画の調整を協議する会議を開催した。
 会議には各省庁や業界の代表、地域の13の省や都市、各研究所、学校、職業協会、この分野の専門家が参加した。
 会議の司会者であるマイ・ティ・リエン・フオン准教授・博士、技術インフラ局(建設省)局長は、「気候変動に対応するメコンデルタの持続可能な開発に関する政府決議第120号と政府の首相や副首相の指導を実現するために、建設省は、農業農村発展省やメコンデルタ地域の各地方、いくつかの国際組織と連携して、地域合同の各集中浄水給水システムの建設投資の検討を含めた、地域の生活用水供給のための問題解決方法について研究した」と伝えた。
 研究を通して、地域合同の集中浄水供給システムは、技術的な方策については長所があるが、建設投資費用ときれいな水の価格がとても高額になるという予測が示された。現在の時点では、この各システムの整備のための建設投資は、財政面と住民の[水道料金]支払能力の面で、まだ実現できない。
 しかし、気候変動と塩害に対応する水供給システムの開発投資、住民の生産、生活用のきれいな水の確保は、現在、とても切迫した任務であり、地域の経済と社会の発展にとって重要な意義を持つ。
 そのため、各給水プロジェクトが効果的に、科学的かつ同期的に展開されるように、首相決定2140号(略称:計画2140)に従った、2050年までのビジョンを盛り込んだ2030年までのメコンデルタ地域の給水計画の調整をタイムリーに行うことは、とても必要なことである。

 【関連記事:気候変動を背景にメコンデルタの持続可能な開発のための問題解決策】

 技術インフラ局(建設省)の代表によると、政府首相により署名され公布された2140計画では、各集中地域合同浄水場は3つの区域に設置される。
 区域1:ティエン河北、カイベ―県(ティエンザン省)地域の第1ティエン河浄水場が、ロンアン省、ティエンザン省、そしてドンタップ省の一部に給水することが予定されている。2025年までの供給能力は100,000㎥/日、2030年までに300,000㎥/日。
 区域2:ティエン河とハウ河の間には、ビンロン地域の第2ティエン河浄水場があり、ベンチェー省、ビンロン省、チャビン省とドンタップ省の残りの地域に給水している。給水能力は、2025年までに200,000㎥/日、2030年までに300,000㎥/日。
 区域3:ハウ河の南西では、上記以外のメコンデルタの各省に給水する第1ハウ河浄水場、第2ハウ河浄水場、そして第3ハウ河浄水場が含まれる。給水能力は合計で、2025年までに700,000㎥/日、2030年までに1,050,000㎥/日。
 しかしながら、これまで、いくつかの困難や不備に直面したこと、特にメコンデルタ地域の気候変動と塩害の複雑な変化により、計画に沿ったいくつかの浄水場の位置で、2019年~2020年の乾季に、水源の塩分が許容濃度の基準を超えるか、もしくは塩分濃度の変化が出始めたほか、他の客観的な要素も伴った。そのため、上記の課題を解決するために、計画を適切に調整しなければならない。 
 技術インフラ局(建設省)の代表者は、区域1:ティエン河北と区域2:ティエン河とハウ河の間を集約する方向で給水地域を調整し、1つの区域(区域1:ハウ河東北と呼ばれる)とすることを提案した。ここでは、給水能力が2025年までに300,000㎥/日で2030年までに600,00㎥/日のティエン河浄水場のみを建設する。それはこの前に建設予定の第1・第2ティエン河浄水場の給水能力の合計と同じである。予定地はティエンザン省のカイベー県である。
 調整後、メコンデルタ地域は区域1、区域2の2つの給水区域を持つことになる。区域1はハウ河東北でロンアン、ティエンザン、ドンタップ、ビンロン、ベンチェー、チャビンの6省を含む。区域2はハウ河南西でカントー市、アンザン、キエンザン、ハウザン、ソックチャン、バックリウ、カマウの7つの省と都市を含む。
 ティエンザン省建設局のトップであるフイン・フィウ・クエン氏によると、人々の生活水供給の保障と2020-2021年乾季の期間の経済と社会の発展に関して緊急性があるため、ティエンザン省・ロンアン省・ベンチェー省の3省の人民委員会は、建設省に対し、給水計画にカイベー県の原水ポンプステーションと、給水能力が第一段階は300,000㎥/日、第二段階は500.000㎥/日の送水管システムのプロジェクトを、2050年までのビジョンを盛り込んだ2030年までのメコンデルタ給水計画に追加することを検討するよう政府首相に求めることを、提案した。
 ベンチェー省の人民委員会の副主席であるグエン・フィウ・ラップ氏は、メコンデルタの給水計画の調整は必要であり、日増しに厳しくなっている気候変動や塩害[の状況に]適合するものだ、と伝えた。グエン・フィウ・ラップ氏はプロジェクトが早く展開され運用開始され、特に、自然災害がとても深刻なため被害を受けている下流域や南部沿岸をはじめとするメコンデルタ各省の住民の生活に役立ち、社会経済の発展を確保できることを望んでいる。
 ソックチャン給水会社の指導者代表は、メコンデルタ地域の給水計画の調整に関し同意しており、同時に、区域内の人民のために水を買う費用のコスト削減を提案している。政府は送水管路に投資する必要があり、一方で投資家は浄水場と加圧ポンプステーションに投資する。
 長期的には、関連業界は淡水を貯水するためのダムの建設やメコンデルタ地域の河川での塩害防止対策を研究する必要がある。気候変動への適応という難題を抜本的に解決し、自然災害を軽減し、持続可能な発展をするためである。
 技術インフラ局(建設省)のマイ・ティ・リエン・フオン局長は、会議で出された意見や討論[された内容]は、関係当局により、給水インフラ開発方針の内容に追加、更新され、2021年~2030年までのメコンデルタ地域計画に入れられる、と知らせた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:佐々木愛佳 )
( 記事ID:5645 )