新型コロナウイルス感染症で困難に直面している在日ベトナム人コミュニティを支援
2020年11月25日付 VietnamPlus 紙
ベトナム通信社の取材に応じるヴー・ホン・ナム大使
大使館はコミュニティの健康の保全と、在日ベトナム人コミュニティへの感染防止策の徹底的実施、感染防止に関する規定の遵守の呼びかけを最優先としている。
日本の多くの地域で新型コロナウイルス急性呼吸器症候群感染症が再び流行することで、ベトナム人を含む多くの実習生や留学生の生活が日に日に困難を極めている状況の中、ベトナム通信社東京支部の記者はヴ―・ホン・ナム駐日ベトナム大使に、在日ベトナム人の状況とコミュニティ支援の為にベトナム大使館が実施している対策に関し取材を行った。
ヴー・ホン・ナム大使は、ベトナム人実習生の大半は中小企業で働いている為、新型コロナウイルス感染症がベトナム人コミュニティに与える影響は非常に甚大であり、一方日本に渡り自費留学をしているベトナム人学生の多くが更なる収入を得る為に働かなければならないと述べた。
多くの日本企業が規模を縮小し、労働力を削減し、更には活動停止もしなければならないという背景下で、彼らは新型コロナウイルス感染症による影響を最も甚大に受ける対象である。この様な状況により帰国を希望するベトナム人が急増した。
その為、これまで在日ベトナム大使館は多くの対策を積極的に実施している。
大使館はコミュニティの健康の保全と、在日ベトナム人コミュニティへの感染防止策の徹底的実施、感染防止に関する規定の遵守の呼びかけを最優先としている。
また、大使館は飛行機便を待機している間の生活維持に苦労しているベトナム人実習生や留学生を支援する為多くの対策を実施している。
政府はベトナム人を帰国させる為に飛行機便を手配してきた。しかし、国内にある隔離機関の受け入れ容量に依然として制約がある為、毎月一定数、1,000人程しか帰国できずにいる。
帰国が優先される対象は妊婦、特に職を失った妊婦、基礎疾患のある人、高齢者や幼児、長く失業している人や滞在場所がない人である。
登録総数30,000人のうち、これまでに約10,000人のベトナム人が帰国している。
更に、ベトナム大使館は日本の政府や企業に対して契約切れの労働者でも契約期限の延長や継続勤務ができるよう働きかけている。現在では約10,000人の帰国登録者が仕事を継続できている。
【関連記事:在日ベトナム人ら寄り添い合い共に新型コロナウイルス感染症を乗り越える】
ヴ―・ホン・ナム大使によると、現時点では最も困難な問題は、仕事の手配ができない人、食事・滞在場所がない人、中でも自由労働者への支援である。
これまで、一部のベトナム人は日本で契約外の自由労働者として働いてきた。契約がない為に彼らを守る仕組みがなく、食事・滞在場所の支援、あるいは仕事を手配してくれる会社や機関がないので、彼らは新型コロナウイルス感染症の影響を最も重く受けている対象である。
その為、この様な対象者に対してベトナム大使館は慈善組織と協力し、無償で滞在場所を提供する場所を開設した。
これまでのところ、この様な場所が4か所開設され、約1,000人を支援しており、その中には多くの自由労働者が含まれている。
ヴ―・ホン・ナム大使は、ベトナム大使館はベトナム人コミュニティの困難を基本的に解消済みであり、これから旧正月までに職のない対象者を帰国させるよう努力すると確認した。
最近では日本において、外国人に関連した農家の果物や家畜などの財産損失事件が複数生じている。多くはないものの、日本ではこうしたささいな窃盗はほとんど起こらない為、この様な事件は日本の世論に強い影響を与えている。
更に、上述のような事件は日本社会において最も敏感な対象である農家を侵犯している。その為、外国人労働者が、日本が長年の歴史的経緯の中で築きあげてきた社会生活や文化に消極的な影響を与えてしまうのではないかという批判的な世論が一定数ある。
ヴ―・ホン・ナム大使によると、ベトナム大使館はこの問題を厳正に認識しており、ベトナム人コミュニティについて上述のような事件が生じる危険を阻止する方法を模索するため、あらゆるベトナム人の会との会合を開いた。
大使館は在日ベトナム人コミュニティに個人の所有権を尊重すること、SNS上で生産元が不明の商品を絶対に購入しないことを呼びかけた。この呼びかけの言葉は、在日ベトナム人コミュニティにおいて非常に強い支持を受けた。
ヴ―・ホン・ナム大使も長期的に最も重要なことは自由労働者を帰国させることであると考えている。これは困難かつ複雑なことである、なぜなら法律や以前彼らが勤めていた企業との契約に関連している為であり、また飛行機便の数が未だに制限されている中で優先的に帰国させる必要がある人の数は依然として非常に多い為である。
それにも関わらず、大使館は、未だにリスクの高い人々や困難に直面している対象者の為に帰国問題を並行して解決する必要があると確信している。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:内海沙姫 )
( 記事ID:5651 )