世論、南シナ海における中国の行動を糾弾
2021年04月01日付 VietnamPlus 紙
チュオンサ諸島(南沙諸島)で任務にあたるベトナム人兵士
チュオンサ諸島(南沙諸島)で任務にあたるベトナム人兵士

世論、南シナ海における中国の行動を糾弾


中国が1982年国連海洋法条約(UNCLOS1982)の規定や義務に従わないことは、国際法違反に当たり、地域の平和や安定、そして発展に消極的な影響を与えることになる。



中国で海警局に武器の使用を認める法律(海警法)が2021年2月1日に施行されて以降、南シナ海での中国の行動が国際世論に懸念を抱かせている。

ベトナムの主権に属すチュオンサ諸島(南沙諸島)のシントン島(英語名:Sin Cowe Island、中国語名:景宏島)に中国が200隻以上の船舶を送ったことは、南シナ海での緊張状態を一層エスカレートさせる懸念すべき行動である。多くの国がこうした状態を前に懸念を表明し、中国に対し、直ちに船舶をこの海域から退去させ、攻撃的な行動をやめるよう要求した。

ベトナム外務省のレー・ティ・トゥー・ハン報道官は、ベトナムの南沙諸島に属するシントン島の領海で中国船が活動することは、ベトナムの主権を犯す行為だと述べた。

同行為は、沿岸国家の領海における外国船の行動に関する、1982年国連海洋法条約(UNCLOS)の規定にも違反し、南シナ海における関係各国の行動宣言(DOC)の精神・内容にも反するもので、状況を複雑化し、南シナ海行動規範(COC)の策定に向けた交渉の進展にも不利益を与える。

フィリピンの外務省は中国の行動に抗議する公文書を出し、その中で、シントン島における中国船の威圧的な行動は不穏な雰囲気を生み出すと強調し、中国は地域の平和・安定の促進を目指す約束を無視していると主張した。

日本の菅首相は3月30日、日本とインドネシアの外務・防衛閣僚会合(2+2)に出席のため日本を訪問したインドネシアのプラボウォ・スビアント国防大臣とルトノ・マルスディ外務大臣と会見し、中国で新たに海警法が施行されたことに触れ、最近の中国による海上での行動に深い懸念を表明するとともに、国際法に基づく、自由で開かれたな航海の秩序を維持することの重要性を強調した。

これより先、日中防衛当局による「日中海空連絡メカニズム」の定例会合で、日本側は中国で新たに施行された海警法に対する懸念を伝えた。

日本の大和太郎防衛政策局次長は、これまで中国が東シナ海と南シナ海で緊迫を高める行動を増加させてきたことで、日本を含む関係国の正当な利益が損なわれてきたと述べた。

越川和彦駐フィリピン日本国特命全権大使はTwitterで “南シナ海の問題は平和と安定に直結し、すべての関係国が関心を持っている。日本は緊張を高めるいかなる行動にも激しく反対する。日本は自由で開かれた平和な海域を守るために、海上での法執行と国際社会との協力を支援する”と強調した。

オーストラリアもまた、各国間の法の遵守が求められる、この国際航路上での中国による緊張を高める動きに抗議した。Steven Robinson駐フィリピン・オーストラリア大使はTwitterで、“オーストラリアは地域で緊張を高め得る、不穏を引き起こす行動に懸念を抱く。オーストラリアはオープンで包括的なインド太平洋地域を支援する。各国が共にこの重要な航路上で国際的な規則や基準、とりわけUNCLOSを順守しなければならない”と述べた。

シントン島群で活動する船舶は一時的な退避場所を探していた漁船だとの中国側の主張に対し、フィリピン大学所属航海・海洋法問題研究所のJay Batongbacal所長は、フィリピン空軍は偵察飛行を行い、中国船が数週間にわたり碇泊していることを確認したと明らかにした。

衛星画像からは、まるで新しい船であるかのような、非常にきれいな船の甲板が確認されている。Batongbacal所長は、最大の懸念は中国が以前のように人工島を建設するためにこの区域を占拠する準備をしている可能性があることだと指摘する。

当時、戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)代表のGreg Poling氏は、中国の行為は非常に不審で、水産物を獲るためではなく、“軍事目的のために”船同士が整列して繋がれている、と認定した。

シンガポールの南洋理工大学(NTU)所属S Rajaratnam国際関係研究所の研究員Collin koh氏は、中国の行動が南シナ海での緊張を加速させていると警告した。

米海軍大学所属の中国海事研究所のPeter Dutton元所長は、中国は南シナ海の各国に対する圧力を高めているようだと断定した。

いわば、最近の南シナ海での中国の行動は、国際法に挑み、他国の主権および主権的権利を露骨に侵害するものである。2016年、ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)は南シナ海での中国の不合理な主権の要求を否定する判決を下した。

PCAの判決によれば、いわゆる“九段線”(南シナ海の面積の80%を占める)と呼ばれる海域に対する“歴史的権利”を主張する中国の要求は、1982年に採択されたUNCLOSに反しており、同区域の情勢はUNCLOSに則して調整されなければならない。

国際社会の責任ある一員として、各国が国際法を順守することが重要である。UNCLOSは、海上の紛争を防止・解決するとともに、参加各国が各自の権限と責任を理解するための法的枠組みを作る役割を担っている。

他のUNCLOS参加国同様、中国もこの法律を順守しなければならない。中国がこの国際条約の規定や義務に従わないことは、明らかに国際法違反に当たり、地域の平和や安定、そして発展に消極的な影響を与えることになる。

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( 翻訳者:榎本泰希 )
( 記事ID:5937 )