気候変動サミットでの国家主席の演説
2021年04月23日付 VietnamPlus 紙
ハノイからオンラインで参加するグエン・スアン・フック国家主席
気候変動サミットでの国家主席の演説
グエン・スアン・フック国家主席は、気候変動問題への課題がイギリスで開催されるCOP-26に向けた前向きな団結と変化の原動力となり、持続可能な未来の構築につながると確信している。
VietnamPlusは、ジョー・バイデン米大統領主催のもと開催された気候変動サミットにおけるグエン・スアン・フック国家主席の演説の全文を掲載する。
ジョー・バイデン大統領閣下、
会議にご参加の大統領、首相の皆様、
ご列席の皆様、
バイデン大統領閣下が各国の指導者そして私をこの極めて重要な会議に招いてくださったことに感謝いたします。
私は、アメリカが気候変動に関するパリ協定に復帰したことを高く評価するとともに、アメリカのリーダー的役割やバイデン大統領が会議の冒頭で挙げられた確固たる誓約、そして、我々全員の協力により、COP21で採択されたパリ協定の目標が早期に実現すると信じております。
大統領閣下、ご列席の皆様、
現在、気候変動は多くの国、そして全世界の存亡に関わるとても大きな課題です。ベトナムにおいては、2020年だけでも、異常気象により何百人もの命が奪われ、多くの地域で数十年にわたり取り組んできた貧困撲滅の成果が奪い去られました。
コメや農産物の大生産地帯であり、2000万人が暮らすメコンデルタは、海面上昇の深刻な影響を受けており、特に今世紀末には甚大な被害が予想されています。
大統領閣下、ご列席の皆様、
カーボンニュートラルによるグリーン経済への移行は、時代の必須のトレンドであり、地球の気温上昇を1.5℃に止めるための緊急な使命です。これは挑戦ですが、新たな雇用の創出、エネルギー安全保障、経済の競争力や持続可能性の向上にとって、大きな機会であり、多大な利益をもたらします。ベトナムはこのトレンドに従う構えです。それと同時に、なお多くの困難をかかえる発展途上国に見合うロードマップが必要です。
いくつか指摘したいと思います。
一つ目に、移行の過程は、公正・包括性を保ち、人々の機会や利益について平等であること、人が中心で誰も取り残されてはならず、多くの人々、企業、科学者らのサポートを得て、ともに手を携えて実施されなければなりません。
二つ目に、先進国は、温室効果ガス排出量の削減に関する厳格な誓約において先陣を切るとともに、ベトナムを含めた発展途上国に対し、財政面や新たな技術の開発、グリーンエネルギー、雇用創出につながる効率的で質の高いインフラ整備への実質的な支援を強化する必要があります。私たちはアメリカの気候変動対策の資金支援計画や、各企業や国際的な企業グループを含む多くの国際的な財政支援を高く評価し、その援助を賜ることを望んでおります。
三つ目に、気候変動に関する目標の実現は、生活様式や生産方法、働き方の変革を要することを含め、各国の実情に基づき、その国の発展戦略や計画と併せて実現されなくてはなりません。また、各国はまず自ら努力し、国際支援を効果的に活用しなければなりません。同時に、その成果をチェックおよび評価し、回復力を向上させるための国家システムが必要です。
ベトナムは、工業化が始まりようやく30年を迎える発展途上国ですが、常に世界と協調して行動すべく努力をしています。我々は早々に「国が決定する貢献」(NDC)を提出し、厳格に実施していくためにNDCを法制化しました。2030年までに、国内の自助努力で温室効果ガスの排出量を9%削減し、二国間および多国間の国際的支援のもとで削減率を27%まで高めます。
ベトナムは石炭火力発電の大幅な削減を継続し、再生可能エネルギーの利用率を早急に増やし、2030年には一次エネルギー供給量全体の20%、2045年には30%にまで引き上げる方針です。また、GDPあたりの温室効果ガス排出量を2030年までに約15%削減し、農業生産におけるメタン排出量を10%削減させます。ベトナムは今年4月初めから、2025年までに10憶本を植樹するプロジェクトを実施しており、2030年までに温室効果ガス排出量の2∼3%が吸収できる見込みです。
大統領閣下、ご列席の皆様、
私は、気候変動に関するこれらの課題がイギリスで開催されるCOP-26に向けた積極的な団結と変化の原動力となり、次の世代のための持続可能な未来を創り上げることに貢献するものと希望的に確信しております。
ご清聴ありがとうございました。
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( 翻訳者:沖田英恵 )
( 記事ID:5938 )