国際社会、南シナ海における中国の行動を批判
2021年05月04日付 VietnamPlus 紙
南シナ海における中国の船舶
南シナ海における中国の船舶

国際社会、南シナ海における中国の行動を批判


ベトナムのチュオンサ諸島(南沙諸島)に属するバードウ礁(英:Whitsum Reef、中:牛軛礁、以下バードウ礁)における船舶の活動継続を含む、南シナ海における中国の新たな動きに対し、国際社会は抗議の声を上げている。



中国が、トンキン湾の一部およびベトナムの主権下にあるホアンサ諸島(西沙諸島)を含む海域において、5月1日から禁漁令の実施を遂行するとの声明を発表したことや、ベトナムの南沙諸島に属するバードウ礁において船舶の活動を継続していることなど、南シナ海における最近の中国の新たな動きに対して、国際社会は抗議の声を上げている。

フィリピンは2通の抗議の公文書を出し、南シナ海における中国の諸活動は不穏な空気を生み、地域の平和と安定の促進に損害を与えるとした。

4月26日に発表した決議で、フィリピンの上院議員は南シナ海における中国の緊張を引き起こす行動を糾弾し、これらの行動は1982年の海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)と、ハーグ(オランダ)の常設仲裁裁判所による2016年の判決に反していると指摘した。

同決議はまた中国に対し1982年のUNCLOSを重んじるよう引き続き要請している。1982年のUNCLOSは“各海洋における憲法の役割を果たし、国際法令をシステム化した国際条約”であり、海域や海洋資源に関する要求を強める目的で、軍事力を含む力を使用することを認めていない。

4月27日に公表された2021年版の外交青書で、日本政府は中国の軍事力を拡大する動きや東シナ海と南シナ海における活動の活発化に対する懸念を強調した。

同文書は、アジアにおける上記海域での現状を変えることを目的とする中国の軍事能力拡大の動きは、これまでも、そして現在も、地域や国際社会にとって「強い懸念」事項となっていると断定している。

これより先、日本の菅義偉首相とアメリカのジョー・バイデン大統領は、上記海域における中国の攻撃的な動きに対し、共同で警告した。

4月中旬に行われたホワイトハウスでの会談後の発表で、菅首相は「南シナ海と東シナ海において武力または威圧行為により現状を変えようとするいかなる動きにも反対することで我々は一致した」と明言した。

ヨーロッパ連合(EU)は、南シナ海の多くの海域における中国船のプレゼンスに対し憂慮すると表明した。

欧州対外活動庁へ提出した声明で、EUはバードウ礁における中国船のプレゼンスが地域の平和や安定を脅かしていると強調した。

声明では、効果的、実質的で、かつ法的拘束力を持ち、第三者の利益を損なわないような南シナ海行動規範(COC)の策定に向けた、東南アジア諸国連合(ASEAN)主導のプロセスをEUは支持すると述べている。

EUは、すべての当事者の利益のため、関係各国が同規範(COC)の策定に向け真摯に努力し、国際法、とりわけ1982年のUNCLOSを厳守するよう呼びかけている。

4月13日インドで開催されたライシナ・ダイアローグで、イェンス・ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、日増しに激しくなる中国の行動は、法に基づく国際秩序への挑戦であり、南シナ海の航海の自由を損なうものであると述べた。

南シナ海の状況について詳しい専門家もまた、中国の行動に関して懸念を表明した。

フィリピンの元最高裁判事アントニオ・カルピオ氏は、南シナ海で中国が要求をエスカレートさせることは、1982年のUNCLOSを脅かす行為だと警告した。同氏は、1982年のUNCLOSの崩壊と、規則に基づく航海秩序の終焉は、武器により作られ、運用される航海秩序の始まりを意味し、「正義は強者のもの」という考え方につながることになると述べた。

Eurasia Reviewのウェブサイト(eurasiareview.com)は、中国船がベトナムの領土である南沙諸島のバードウ礁において違法な活動を継続していることに言及した記事を掲載し、中国が世界の規準を鑑みずに南シナ海への侵入を日々繰り返しており、地域における緊張を増幅させていると述べた。

中国による上述のような行動は、南シナ海における関係各国の行動宣言(DOC)の精神や内容に反している。

4月29日午後の定例記者会見で、中国海警局が5月1日から、トンキン湾の一部やベトナムの主権に属す西沙諸島を含む海域における禁漁令の実施を遂行すると発表したことに対し、ベトナム側の反応について意見を求められ、ドアン・カック・ヴィエット外務副報道官は、ベトナム側には西沙諸島、南沙諸島について主権を認めるだけの充分な法的根拠と歴史的裏付けが存在するとともに、同海域に対するベトナムの合法的権利は1982年の海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)によっても認められていると述べた。

ベトナムは、生物資源の保護対策は1982年のUNCLOSの規定に則して実施されるべきであり、関係各国の海上における主権的権利や管轄権を侵害してはならないと述べた。

外務副報道官は、ベトナムが中国側の一方的な決定に対して抗議し、敢然と拒否すると断言した。さらに、中国側による禁漁令は、西沙諸島におけるベトナムの主権を侵害し、1982年のUNCLOSを含む国際法に違反し、南シナ海における関係各国の行動宣言(DOC)の精神や内容に反し、越中間の海上問題解決を指導するための基本原則に関する合意に反していると述べた。

ベトナムは、西沙諸島、南沙諸島における主権、そして、ベトナムの海域におけるその他の合法な諸権利や利益を認めるだけの充分な法的準拠と歴史的裏付けが存在しており、これらは、1982年の海洋法に関する国際連合条約によって確立されている。

西沙、南沙の両諸島におけるベトナムの主権、そして、ベトナムの海域における主権、主権的権利・管轄権を侵害するあらゆる行為は全て無価値であり、認められるものではない。

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( 翻訳者:乙川巧磨 )
( 記事ID:5965 )