COP26において気候変動対策の野心的な突破口がないインドネシア
2021年11月04日付 Kompas 紙
ジャカルタ、KOMPAS.com-
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はスコットランド・グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、気候変動と戦う中でのインドネシアの野心の向上に関して、まだ確固たる声明を出していない、と評価された。
インドネシアの政策研究機関、インスティテュート・フォー・エッセンシャル・サービシズ・リフォーム(IESR)は、インドネシア政府は本来、G20を指導する中で、パリ協定に沿った気候変動対策を促進するためにこの機会を活用するべきだとした。しかしCOP26の演説でジョコ大統領は、あたかもインドネシアのカーボンニュートラルのより早い達成の決定を、先進国に責任転嫁しているようであった。
このことは、直接的にはインドネシア政府の気候危機の問題への取り組みにおける野心的でない態度を示すものである。IESRのファビー・トゥミワ事務局長は、インドネシアは本来、気候変動対策への野心、「自国が決定する貢献(NDC)」の目標の強化、そして先進国からの資金調達の必要性をシンプルに伝えるべきだ、と語った。
このことは2030年までの最大排出量目標および2060年の脱炭素化目標を達成するために必要である。「残念ながら、大統領は演説の中でより積極的な気候変動緩和策の計画や目標について明確には述べていない」とグラスゴーでCOP26に出席しているファビー氏は述べた。
気候透明性報告書の2021年のインドネシアのプロファイルによると、自助努力での温室効果ガス(GRK)排出量のNDCの削減目標を更新して29%より引き上げることはなく、実のところ排出量は1990年の水準から見て535%の増加、2030年にはおよそ1,817二酸化炭素換算トンの増加に加担することとなった。一方、1.5℃の上限値を超えないためには2030年のインドネシアの排出量は461二酸化炭素換算トン、すなわち1990年の水準からおよそ61%上回る程度である。このことは、目標まで1,168二酸化炭素換算トンものギャップがあることを示している。「ニッケルなどの鉱物資源や天然資源を豊富に持つ国として、実際にはインドネシアは気候変動対策への野心を高め、2030年までに29%という目標を越えることができる」とIESRのリサ・ウィジャヤニ・グリーン経済プログラムマネージャーは言う。
「その他に、もしインドネシアの多くの住民がエネルギーの保護と効率化を早期から行っていれば、先進国に頼っている資金調達の必要性もないし、インドネシアはNDCの目標よりも二酸化炭素排出量をより多く抑えることができる」と同氏はつづけた。その他にIESRは、同じ時期にジョコ大統領が述べた、エネルギーをクリーンエネルギーへ変換するためのインドネシアの計画が、いつまでたっても発令されない規則にいまだに妨げられていると見ている。同大統領は東南アジアで最大の太陽熱発電所を設立することを発表した。しかし今に至るまで、太陽熱発電所についての2021年度第26エネルギー鉱物資源大臣規定は財務省で足止めされている。その他に、2021年から延期されている再生可能エネルギーに関する大統領規則もまだ完了していない。
「インドネシア政府は、より大規模な再生可能エネルギー開発のエコシステムを構築すると同時に、先進国への投資を促進するために、適切な規制を実施するべきだ」とリサ氏は述べ、明確な規制と目標を設定することで、投資家が再生可能エネルギー分野に資本を投下する機会を増やすことができるとした。また、ジョコ大統領はスピーチの中で、気候問題の解決に向けて、炭素市場と炭素価格の役割の重要性を強調した。10月、政府は「税制調和に関する法律(UU HPP)」を公布した。規定の上限を超えた排出量には、二酸化炭素換算で1キログラムあたり30ルピアの炭素税が適用される。
「二酸化炭素1kg相当あたり30ルピア(二酸化炭素1t相当あたりおおよそ2米ドル)という炭素税の価格設定は、世界銀行やIMFの推奨にほど遠い」とリサ氏は述べた。なぜなら、発展途上国における炭素税の価格は、二酸化炭素1t相当あたり35~100ドルの範囲におさまっていないといけないのだ。「IPCCの報告書でさえ、2020年の炭素税は二酸化炭素1t相当あたり40-80米ドルの間にあったと記述している」と同氏は続けた。「少額の炭素税では、炭素税を通して二酸化炭素の排出を大幅に減らすという政府の目標は達成されない」と同氏は付け加えた。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:松山結花 )
( 記事ID:6149 )