中国とタイのおかげで、軍評議会はエネルギー分野から収入を獲得し続けている
2022年11月21日付 その他 - RFA ビルマ語 紙
天然ガス計画のため被害を受けた農地を修復することを求め、中国の中国石油天然気集団(CNPC)という会社に対しチャウピュー地元住民がデモを行った様子
ミャンマーで軍が権力を奪取した2021年2月から2022年10月30日まで、軍評議会はエネルギー分野から最大の海外投資による収益を得たと独立研究機関ミャンマー戦略・政策機関(ISP-Myanmar)が11月2日に発表した。
この期間にエネルギー分野に入った投資の価値は38億米ドルを超え、これは海外投資総額の68%近くを占めていると述べた。
軍評議会の投資企業管理局から得た情報を引用し、ミャンマー戦略・政策機関が統計を作成した。
「品位ある公正な投資を行うことは現時点では難しい。」
この統計は国内から撤退した投資の金額を示さず、外国から入ってきた投資額のみ示す不正確なものであると国民統一政府(NUG)の電力エネルギー省大臣ウー・ソートゥーラトゥンは批判した。
「注目すべきは、海外からの投資額が最大になっていると数値を用いながらなされる主張そのものより、そこで使われている数字の背景である。というのは、海外から10億米ドルの投資が新たになされたとしても、国内から10億米ドルの投資が撤退している。軍評議会は国内から撤退した投資額を入れて計算せず、海外から新たになされた投資額のみを公表しているのである。そのため実際にその金額が国内に入っていないと我々は考えている」
NUGとしては軍評議会の収入源を断つことができるよう国際機関と協力し、あらゆる方法を用いつつ、引き続き努力していくとウー・ソートゥーラトゥンは述べた。
国軍がクーデターを起こした後に海外からの投資が行われたとすれば、それは品位がなく、公正なものではないとブラッドマネー協会(訳註:軍政とのビジネスに圧力をかける、軍政にお金が流れないようにするための活動のことをブラッドマネー・キャンペーンと呼んでいる)の報道官コー・イェーが述べた。
「現在、海外から新たに投資が行われているということは確かである。しかしながら私の個人的見解によれば、現在のようなミャンマーの状況下において入ってくる海外からの投資が良いものである可能性は低い。現在のような混乱した状況から利益を得るため、つまり火事場泥棒をするために入ってくる海外投資が多いという可能性がある。品位ある公正な投資は現在のような状況では行われるのは難しいと私は考えている。」
2022年に軍評議会が獲得した外国投資は、国内で使用する必要がある燃料油、航空機用燃料、その他の発電分野において投資される可能性があるだろうとコー・イェーは考察した。
ミャンマーの外貨収入の50%をエネルギーと石油、天然ガス事業から得ているとNUGとブラッドマネー団体のような民間組織が述べた。
これらの資金で武器弾薬を購入し国民を弾圧、殺害しているため、これらによる税金を遮断するようNUGと人権団体は奮闘しているものの、まだ十分にはうまくいっていない。
しかし、西洋諸国の政府や国内外の組織による奮闘のおかげで、軍がクーデターを起こした後、ミャンマーから出ていった外国投資事業は少なくとも14事業ある。その中には石油と天然ガスに投資しているアメリカのシェブロン、フランスのトタル、マレーシアのペトロナスが含まれている。
軍評議会の報道官ゾーミントゥン少将は、これらの企業が出ていったため事業の一部は一時的に停止するが、ミャンマーの石油、天然ガス事業には近いうちにロシアが参入するだろうと2022年5月5日に本紙に述べた。
現在、タイの石油開発公社(PTEEP)、韓国の鉄鋼メーカーPOSCO、インドの石油・天然ガス探査開発国有会社(ONGC)、日本の日本石油株式会社(訳註:ENEOSの旧名。2022年5月2日の報道にてミャンマー天然ガス事業から撤退を表明)と中国の中国石油天然気集団(CNPC)はミャンマーのエネルギー分野で事業を継続している。
西洋諸国は軍評議会を処罰し制裁してはいるが、中国、ロシアと近隣ASEAN諸国の一部が引き続き投資しているので、軍評議会は収入を継続的に得ている、と安全上匿名希望の経済専門家の1人が推測した。
「今、軍政府が政権を握った後、西洋諸国、アメリカ、EU諸国からの投資は特筆するほど入っていない。彼らは入ってきていないはずだ。しかし、誰が参加することができるかというと一部ASEAN諸国が投資できる。ロシアも投資できる。中国も投資できる。それで、これらの国々によって投資が得られるかもしれないのだ。それは、ロシア、中国に関してはというとNUGはあまり効果的に対策ができない。なぜかというと彼らは軍評議会側に立つ国であるからだ。」
投資企業管理局の統計によると2022年10月までシンガポール、中国とタイはミャンマーへの投資が最も多い国である。
ミャンマーはよき近隣諸国に恵まれていないため、出ていった西洋諸国の企業の代わりに自国の利益を得ようとしている近隣国が引き続き投資をしているため軍評議会は収入を得続けている、と専門家であるウー・タンソーナインは言った。
「私達ミャンマーは、良き近隣諸国と協力しているわけではなく、自分たちの国民の利益を重要視している近隣諸国と協力しているのである。このため現在はというと西洋のシェブロン、トタルという会社が撤退した。撤退したが、その会社が撤退した場所でタイの石油・天然ガス関連会社が代わりに入ってきて事業を行っている。」
ミャンマーで起こっている大衆の苦難を利用し、自国の利益のみ考える中国やタイなどの国のため民主派勢力の制裁は成功していないとウー・タンソーナインが述べた。
ミャンマー石油ガス公社MOGEと、タイのPTTEPなどの会社は、およそ7200万米ドルの価値があるヤダナガス田プロジェクト、イェタグンガス田プロジェクトと、ゾーティカガス田プロジェクトなどの合同事業に2014年8月8日に署名し合意した。
ブラッドマネー団体は、数日前のアジア太平洋経済協力会議APECをホストとして受け入れて開催したタイ政府に、ミャンマーのエネルギー分野で投資を継続せず中止するよう11月19日に発表し要請した。
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( 翻訳者:I.M, S.T.M, H.O, N.M.M, M.S )
( 記事ID:6552 )