血に染まった展示会と天然資源の呪いにかかる国民
2024年12月06日付 その他 - DVB ビルマ語 紙
2クーデター軍評議会が財政難により開催するようになった宝石展示会が、三回目を迎えた。
2024年11月18日、ネーピードーのマニ・ヤダナー翡翠ホールで開催された宝石展示会の開会式にはクーデター軍の指導者自らが出席し、展示会は幕を開けた。今回の展示会は、クーデター軍評議会の統治下では三回目となる。
宝石商らによると、今回の展示会では、11月18日から27日までの10日間、展示と販売が行われる。展示会では、真珠が合計280連、宝石が合計160連、そして翡翠が合計4800連販売されるという。特筆すべきは、中央銀行が取り扱うすべての外貨で宝石を販売すると軍評議会が発表していることだ。
2023年3月に一度開催された展示会では、真珠が合計290連、宝石が77連、翡翠が1544連販売された。
2023年10月日には、9日間の二度目の宝石展示会が開催された。真珠が合計300連、宝石が合計160連、そして翡翠が合計4025連販売された。米ドルの他、人民元やタイバーツでの宝石の購入も許可された。国内の宝石商がチャットでも購入できるような体制が整えられていた。
軍事クーデター後、軍評議会の支配下の天然資源省は、軍評議会の命令を受け、2021年4月初めから翡翠の原石の採掘の継続禁ずる命令を出した。そのため、軍評議会がクーデターを起こしてから4年近くの間、新しく採掘された翡翠はない。
軍評議会は、外貨を緊急に必要としていたため、あらゆる類の国有の天然資源や宝石を、ありとあらゆる手段で持ち出しては売却して来た。獲得した金でさまざまな武器弾薬や航空燃料を購入した。国民の生命や住宅や財産を、航空機によって爆撃した。自らの権力を存続させるためだけに利用して来た。
軍評議会は財政が逼迫してきたため、宝石を売れるだけ売る、売れる価格で売る、いかなる種類の外貨でも中央銀行が取り扱うものであれば受け取るという方式で販売しているのだ。
過去約10年間、買い手がつかなかった翡翠の連材を含む古い宝石を、宝石展示会を開催して販売しているのである。古い宝石のみが販売されているため、安い価格で売らなければ買い手がつかないだろうと業者が述べた。
「宝石と言っても古い宝石だよ。どうやら軍評議会は金を必要としていて、売れるならどんな価格で売るつもりらしい。だから、どれくらい安いのかと見に来た。好きな部類の宝石じゃないのだがね。」とマンダレーの宝石商は話した。
発掘されたばかりの新しい翡翠は、カンパインティー国境ゲートを通ってすでに数百万トンが中国へ流入していると中国在住のミャンマー翡翠商人らは言う。
軍評議会は翡翠の採掘を禁止していたが、軍評議会のクーデター以降、パーカン地方に所在する全ての翡翠の採掘場をカチン独立機構(KIO)が占拠した。軍評議会と民主政府の統治時代に採掘を行っていた宝石会社とKIOとが共同で現在に至るまで採掘事業を行っている。
今年2024年初めに超高額大翡翠の原石をKIOが接収した。その巨大翡翠原石はパーカン郡フェーカー鉱山から採掘されたものだ。
巨大翡翠原石は高品質種で、重量は約300緬升(約480㎏)ほどである(翻訳者注: 1緬升≒1.6㎏)。この巨大翡翠原石の時価は現時点でまだ誰も算定できていない。翡翠業界でこの巨大翡翠原石は、「超高額大翡翠」と名付けられている。
この巨大翡翠原石は、翡翠鉱山の所有者のKIA元幹部のガンシャウン少将の直属の部下であるサヤー・ルンの翡翠鉱山からビルマ族や少数民族系の経営者らの共同事業により採掘されたものだ。KIOは巨大翡翠原石をサヤー・ルンの翡翠だと主張して、同氏と共同出資して採掘を行う経営者らから不当に奪い去った。
鉱山所有者のサヤー・ルンはあくまで名義上であり、翡翠をめぐる同氏の分配率はわずかであることが匿名の経営者らの話から分かった。巨大翡翠原石の所有において、鉱山所有者のサヤー・ルンの分配率はわずか15%であることが分かった。
経営者らがKIOへの納税の交渉を行なった際、(KIOは)納税を認めず、上記の超高額大翡翠を2024年7月にKIO本部のライザーへ不当に持ち去ったということが匿名の経営者らの話から分かった。
パーカン地域では、すべての翡翠の採掘場でKIOと経営者たちは共同出資で採掘事業を行なっている。翡翠採掘事業に対する軍評議会の妨害を防ぐために、宝石事業者たちは第33師団の師団長に毎月金銭を支払う必要がある。
第33師団の師団長に対し、翡翠採掘用使重機1台につき、ひと月2500万チャットのレートで毎月金銭を支払わなければならない。
現在パーカン地域では、翡翠の採掘機械5000台から10000台ほどが稼働している。国民民主連盟政府のもと2016年に収集された統計によるとパーカン翡翠地域には翡翠採掘に使用される各種機械が合計13000台存在することがわかっている。
武装勢力は双方とも国有の天然資源を搾取し利用こそするものの、国民に利益をもたらす事業のために役立てることはない。いかなる武装勢力も天然資源から得た収入について透明性のある情報公開を行なっていない。
全ての武装勢力は、権力存続のために天然資源を搾取し、すべて軍事費に充てていることがわかっている。国民のために使用されることはない。
全国の国民が内戦によって血を流して苦しんでいる時に、武装組織の指導者らは国有の天然資源を採掘して販売し、自己の利益のために、武器や銃弾を競って購入している。
今回開かれた軍評議会の宝石展示会は、国民の流血を招く金儲けにほかならない。
二つの武装勢力の天然資源への依存は、国民の流血を引き起こす天然資源の呪いであるとさえ言うことができる。
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( 翻訳者:N.T、T.O、W.S、H.T )
( 記事ID:7000 )