パフォーマンスアーティストとして20年近くに渡り活動するモーセッは、個性的なパフォーマンスで世界各国の展示会を回る人物だ。2021年軍がクーデターを起こした時には独裁者が許せず、抗議デモに参加した。芸術家仲間らと共に抗議デモで逮捕され505条(a)に基づきインセイン刑務所に3ヶ月間投獄された。
刑務所から釈放された時に彼の愛する芸術家で引き続き生きていけるようオランダに渡航し、引き続き自由な芸術制作活動を続けている。
今は彼のパフォーマンスアート作品と共に、ミャンマーのありのままの現状を反映させた展示ができるよう世界各地を回って国際的な芸術家と共に上演している。
「怪我や骨折をしたら絆創膏や包帯を巻きますね。私はそれを(素材に)使っています。私たちの国の状況です。怪我を治すためにはそういう…。それで私はライブパフォーマンスからスカルプチャーに変えたのです。」
今年10月、イギリスのロンドン市にあるテート・モダン美術館で、海外の現代アーティストらとともに顔と指のパフォーマンスを上演した。モーセッ氏は何らかの形で来場した観客の心を掴むことができたと信じている。
パフォーマンスアートの作品を制作する際に芸術性を全面に出して上演することと同様に、政治を反映したパフォーマンスをする際にもバランスをとることが必要だと彼は考えている。彼にとって現在の課題は、芸術と政治の間の均衡を保てるように創作活動をすることだ。
「私たちは創造性の要素が少しだけ弱くなってきています。政治の要素が強くなると創造性の部分が弱くなってしまって、私はそれも望んでいません。私の作品は、全く政治的な意味合いを含まない作品と政治的な要素を含む作品、それから政治的要素の全くない作品、そうしたものの中間です。なぜかというと、直接的な表現をして芸術的な表現が少し弱まってきたのではないかという気がします。私はそのためにバランスを均等にしたいのです。私は今まで模索してきましたが、まだ見つけられていません。しかしいつか実現すると思っています」
モーセッ氏は、ミャンマーの現状と特定の人にだけ感じてもらうだけではなく、あらゆる要素が表現できる作品となるよう創作活動をしていると話した。
「Tシャツの中に入って動いているのだ。私の身体がすっぽりTシャツの中に入っている、それが現在の状況と重なっている。私たちを外から見ることになる。外からは、国内で何かが起こっているのはわかるが、それが何なのかは全くわからない」。
ミャンマー国民たちの声を国際社会が感じ取り、知ることが出来れば力になるとモーセッは述べる。
「一部の物事に対しては自分に見えなければ、感じることができなければ、経験がなければ、どうしても共感するは出来ない。私たちが直面していることも、何か起こっているなという程度にしか分かってもらえない。そうではなくて、彼らの心を少しでも動かせるような何かだ。そのようなことができるように。しかし、そういうものがどのようなものなのかはいまだに分かっていないんだ」。
ミャンマー国内でも、制限のない芸術環境が実現できる日がくることを期待しつつ、さまざまな感情を引き起こさせるような、バラエティーに富んだパフォーマンスアートの作品が再び創作できるようモーセッという人物は奮闘する。
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( 翻訳者:HR KF IA )
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