APECにおけるアブラヤシ油をめぐる紆余曲折

2013年10月08日付 Kompas 紙
各参加国の外相、通商相が出席するAPEC閣僚会議の模様
各参加国の外相、通商相が出席するAPEC閣僚会議の模様
kompas.com配信
 インドネシア政府は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の「環境物品リスト」にアブラヤシを加える試みに再び失敗した。
 最初の失敗は2012年、ロシアのウラジオストックで開催されたAPEC首脳会議の場で起きた。インドネシアの植物性製品、とくにアブラヤシから取れるパーム精油は、温室効果ガスの削減基準値を満たさないと評価された。その結果、アブラヤシ製品は環境物品リストが定める54品目には追加されず、2015年以降に実施される最大5%の輸入関税優遇措置の対象から除外された。
 ウラジオストックでは失敗したものの、インドネシアは環境物品54品目のリストは再び開放されるはずであると期待していた。そしてアブラヤシ製品とゴム製品を追加し、自らを主催国として10月1日から8日にバリ島のヌサドゥアで開催される2013年APEC首脳会議においてリストを再び封じるつもりであった。
 現実は期待通りにはならなかった。APEC参加国の最終高等実務者会合において、インドネシアは環境物品54品目にアブラヤシ製品とゴム製品を追加することの合意を得られなかった。時間とプロセスの問題が却下の理由となった。
 アブラヤシ製品とゴム製品を環境物品54品目になんとしてでも追加しようとしたことで、インドネシアは独善的な国家とみなされた。リストを開放して自らの製品を追加し、再び閉ざそうとしたからだ。他国はどうであったか。彼らにとっても自国の製品をリストに加えることは重要な課題であった。
 問題は一部のAPEC参加国がいまだに準備できていないことだ。これらの国々はどの品目をリストに追加すべきかをめぐって自国サイドと調整しなくてはならないからだ。
 当然、調整には長いプロセスが必要となる。そして54品目のリストを定めた時のような交渉を再び行わなければならないような事態は、APEC参加国にとって望ましいことではない。また「交渉」はAPECにおいては避けられるべき方法である。APECは本来自発的な性質をもつ経済協力フォーラムであり、拘束力を持つ組織ではないからだ。
 インドネシアは同時に、バリ島でのAPECフォーラムにおいて示した20の提案に反映される大きな構想を掲げた。
 その構想はすべてにおいて、アジア太平洋地域の貿易が社会の全階層にとって有益であることを確認するものだ。とくに現在のインドネシア社会に必要とされることがらを実際に支援し、地方の経済が発展を続け、インドネシアの貿易に常に競争力を持たせるためのものとなっている。
 インドネシアの構想パッケージは高等事務レベルにおいても、閣僚レベルにおいても順調に承認された。”Resilient Asia-Pacific: Engine of Global Growth”(強靭なアジア太平洋、世界成長のエンジン)をテーマとして掲げるAPEC首脳会議は成功の裡に閉幕するだろう。
 それではインドネシアのアブラヤシ製品とゴム製品についてはどうだろうか。インドネシアは目下、大きな20の構想の成功と並行して54品目リストに比肩する新たなAPECの基本合意を求めて闘っている。
 環境物品リストが環境にやさしい製品のみに判断基準をおくとすると、インドネシアの提案する基本合意は同時に4つのメリットに判断基準をおく。すなわち、継続的な開発、包含的な成長、貧困者の解消、そして僻地の開発といったことがらである。
 インドネシアはこの新しい基本合意が21のAPEC加盟国によって満場一致で可決されることを確信している。少なくとも、すでにAPEC閣僚レベルでは支持するとの合意が形成されている。したがって、2014年の中国でのAPECで議論され、2015年には施行されることが期待される。中国、ペルー、マレーシアからはすでに支持を得ている。
 この基本合意のインセンティブには、少なくとも環境物品54品目と同等のものが期待されている。すなわち新たな基本合意を得てAPEC参加国間で流通する品目の輸入関税の自由化、もしくは最大5パーセントの軽減である。
その達成のためにも、インドネシアでアブラヤシ製品とゴム製品の産業界に身を置く者たちは、闘いが道半ばで挫折することのないよう、いくつもの溝を埋めるべく、より一層の努力をしなくてはならない。


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:岩野誠太郎
記事ID:311