≪特別レポート≫ヤンゴンで密やかに進行する危機1(9-44-1-3,2-1)ピィピョーリン

2013年11月10日付 The Voice 紙
ヤンゴンで密かに進行している危機がある。その潜在的な危機とは、地下水の過度の使用である。その結果、地盤が沈下し、海抜0メートルを下回ることや、地下水の真水が減って涸渇してしまうことなどの弊害が生じうると環境保全学者や水文学者が指摘している。
 地下水は地表面より下の砂礫層の間に浸透していて、我々はその層から十分な量の水を汲み上げて利用せねばならないが、その分の地下水を雨水が補充している、と環境について執筆する文筆家マウン・チェーイェーの「地下水、水質と健康」という記事に書いてある。
 世界中で起きていることであるが、ミャンマーでも水資源が徐々に減ってきている。この原因は、人口が増加し都市化の進んだ国々において地下水の使用量が増えたからであると元林業大学教授ウー・ウィンチーは言う。
 人口密度の高まりに応じて高層住宅を建設する際、ヤンゴン市開発委員会は、私有の井戸を掘削し、飲用と貯蔵用として利用するように規定していることが建設業者関係筋への取材でわかった。
 ヤンゴン市内で高層住宅を建設する際には、5人住まいの部屋1部屋につき約200ガロンの貯水をしておかなければならないと規定が設けられたため、8階建てより高い建物を建設する場合には4000ガロンを超える量の水を貯蔵しなければならなくなった、と有限会社ラミンエインダイェー建設の取締役ウー・ミョーミンが言った。
 このように高層住宅を建設するのであれば、規定の量の貯水は市当局の給水システムを通じて実行される必要がある、もしそうでなければ、居住地区にたとえ低い建物(例えば4階建て)を建設するとしても、井戸水の汲み上げが地下水の減少を引き起こしかねない、と同氏は言う。
 「建物を建てる度に井戸を掘らなければいけないのはおかしい」と同氏は見解を述べた。
 ミャンマーで毎年使うことのできる地下水資源は合計約495立方キロメートルで、このうちの約10%が工業用水や飲用水として使われているということがFAO(国際連合食糧農業機関)の報告よりわかった。
 地下水の汲み上げ量と補充される量が均等でないと弊害が生じること、また、そのために高層住宅を建設する際に貯水槽をつくらねばならなくなるが、掘削機で井戸を掘る際には熟練者と協議して行うべきであることなど、元水道技術士のウー・バシュエが注意を喚起した。
 「貯水槽を設置してはいけないと言いたいのではない。これは火事の備えに設置しなければならない。しかし、熟考せずに地下水を汲み上げれば、沿岸部では塩水化が起こるだろう。そして地下水が涸渇するだけでなく、建物にも被害が及びうる」と同氏が言った。
 ミャンマーで水使用量が2番目に多いヤンゴンの1日当たりの水消費量は20万ガロン近くであるということがヤンゴン市開発委員会上下水道局の統計表よりわかった。
(つづく)


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翻訳者:田崎巧
記事ID:471