≪特別レポート≫ヤンゴンで密やかに進行する危機2(9-44-1-3,2-1)ピィピョーリン

2013年11月10日付 The Voice 紙
また、ヤンゴン市開発委員会は市内31郡区に貯水池と井戸から毎日1億6千万ガロンの水を供給していることが同局責任者の発表によりわかった。
 「ヤンゴンの1日の水の需要は2千万ガロン以上ある」と同氏は言う。
 需要があり地下水の使用が増えてきたことにより、夏期の飲用水不足問題も国中で見られるようになっている。気候学者のトゥンルィン博士はヤンゴン市シュエゴウンダインのトーウィンフニンズィーホールで今年開催された環境保全に関する講演会で次のように述べた。
 「ミャンマーで食料安全保障の次に重要なのは水安全保障である。着々と水源はなくなりつつある」と。
 ヤンゴンで水消費量が増えたこともあって、一部の河川に近い地域では、塩水化のためにもはや真水を汲み上げることができず、井戸を掘っても塩水しか出ないというところまで悪化している、とEcoDev代表ウー・ウィンミョートゥーが同NGOの調査研究に基づいて述べた。
 ミャンマーでは、深さ400〜500フィートの間で地下水が一番多く採取され、ヤンゴン市域内では50~100から300~400フィートの間で採取されること、ダゴンミョウティッの諸郡区では400〜500フィートほど掘らなければ取水できない傾向があることなど、井戸掘削業者が話した。
 水資源の減少は森林の消滅や気候の不安定な変化などによるものであると気候学者や森林保全研究者は言う。
 ミャンマー全土の森林面積は森林局の公式統計によれば2013年には国土の46.96%あることになっている。
 森林減少は年々加速しており、現在、森林面積は国の面積の24%しかないと環境保全研究者ウー・オウンは指摘する。
 ヤンゴン市のために地下水を補充している地域は、ヤンゴン市域の北半分、つまり、ペグー山脈と郊外の諸地区との間であり、そこで水が地下にしみ込んでいること、また、地下水使用量の増加と水の補充能力不足のために、長期的には地割れや地盤の陥没、沈下が起こりうるということなど、著述家のマウン・チェーイェーが警告を発している。
 地下水使用量の多いタイのバンコクでも同じようなことが起き、地下水の汲み上げを厳しく禁じているとバンコクのチュラロンコン大学の政治学部の準教授が言った。
 「地下水の汲み上げは、建築物の建っている地盤の陥没などを引き起こしかねない」と同準教授は言う。
 人口密集の副作用、つまり高層住宅と井戸が場所を占めるようになり地下水が過度に利用されていることの弊害の副作用として、ヤンゴンの弱々しい命が脅かされているのかという疑問が生じてきた。
 元水道技術士のウー・バシュエは次のように警告する。
 「過度な利用を続けていると、いつか崩壊するだろう。国中で地下水が涸れ、淡水地帯は塩水にとって代わられてしまうだろう。ヤンゴンで密かに進行している危機は本当に存在するのだ。」


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翻訳者:田崎巧
記事ID:472