真正からごまかしへと移行する毛髪市場(10-16-9-1)ゼィヤーコー(タウングー)

2014年05月05日付 The Voice 紙
 ミャンマー伝統文化において、男性の徳は力、女性の徳は髷という慣用句があるが、現代、女性の髪の毛は家庭を持つ女性たちにとって徳であるだけでなく、食費の足しにもなる。

 「今は、抜毛であっても重さ1チャッ(約16グラム)につき、金額にすると500チャット以上になる。以前のように、抜毛を捨てない。容器にいれてとっておかなければならない。3ヶ月に1回ほど売るだけで、食費の足しにできる。買い取り人は家までやってきて、お金が必要ならばお金で、そうでなければ台所用品と引き換えることもできる」とタウングー市22番地区に暮らす60歳ぐらいの女性、ドー・ムームーソーが語った。
 毛髪市場には、主に抜毛(白、黒)と髪束の二種類があり、抜毛価格白髪ならば重さ1ベイター(約1.6kg)5万チャット、黒髪ならば10万チャットほどで、髪束は長さ1フィート以下ならば、1ベイター20万チャット、1フィート以上ならば1ベイターをおよそ35万チャットが相場であることが、タウングー市にて毛髪取引をおこなっている人々の話から知ることができた。
 毛髪の取引市場で、ヤンゴン、マンダレー、ムセを含む一部地域から何十万にのぼる資金を投資している大商人たちは、適切な相場を地域の買い付け所に提示せず、市場独占という悪いシステムのために、地域にいる一部の毛髪取引商人は、提示された値段でも儲けが出るように、不正な取引をするようになっていると、タウングー市民ラーウンピュー毛髪取引事業主ウー・シャンヂー(仮名)が語った。
 「大半は、毛髪の重量が増加するように、整髪油をぬっておいたり、サゴ椰子澱粉をかけておいたりする」と同氏が毛髪取引市場の状況について語った。
 一般的に地域の毛髪買い付け所は、国外へ毛髪を輸出する商人から遣わされた買い取り人にだけ売らなければならないため、市場を管理できないことが主な問題となっていること、それらは毛髪市場で不正がおこりうる要因のひとつとなっていることを、タウングー市、イェーターシー市、バゴー市で毛髪取引を行っている人々が同様に語った。
 「私たちは何度も行き来してはじめて、食費程度を得ることができる。これで買い付け所が重量をごまかすと、買い付け価格にも満たずに損をする。移動買い付け人は、毛髪にサゴヤシ澱粉をかけておくといったことをする勇気がない。買い付け所だけが実行している。なぜなら私たちが持っていく毛髪は少ないので、明らかにわかってしまうからだ」と地域をまわって毛髪と食料品とを交換している、マンダレー管区域タウンダー郡区のマ・キンマティーが語った。
 毛髪市場で一部不正があったとしても、商人がその問題をずる賢く取り扱って売買を行うこと、以前、毛髪市場は元値があまりかからず儲けが多かったが、現在、相手国の相場の変動による差益だけを商人は得ており、地方とムセ市場の相場は最安値4万チャットから最高値5万チャットのみの差異があることを、バゴー市の毛髪卸買い商人のひとりであるウー・チョーウィンが語った。
 中国の市場にはミャンマーのムセ郡を経由してよく毛髪を輸出するが、一部はインドや韓国へも輸出されていること、それらの国ではミャンマー毛髪市場から入ってきた毛髪を鬘の型に加工し、西洋諸国に製品として輸出していることを、同氏が続けて説明した。
 現在、毛髪市場においてミャンマーの至るところで買付がなされている毛髪は、ヤンゴン市、バゴー市、マンダレー市、ピョーボェ市のような大きな町を経由し、市場を持つ中国、インド、また韓国のようなアジアの大国がヤンゴンのような大都市に毛髪工場を建設し、欧米などの国々まで輸出していることを、毛髪市場調査から知ることができた。
 国内の毛髪市場で取引される毛髪は清潔で質も良いので、国際市場でも評判が良いことを、各地から回収された毛髪を国内市場で購入し汚れを取り、中国市場に主に輸出する毛髪商人のひとりが、毛髪市場の状況について、本誌に説明した。
 ミャンマーにおける毛髪取引市場は14、5年ほど前に開始され、現在、全国で、毛髪の買い付け所だけでなく、地区、村落各地を移動して買い受ける人々が非常に多くいることを、タウングー県オウッドウィン郡、タイェッコゥン村の抜毛・切れ毛の買い取り人のひとりであるドー・ニュンティンが語った。
 「本業としてするならば、より割がいい。しかし毛髪の回収量が少ない雨期はというと、損はないにせよ儲けがとても少なくなる」とタウングー市民、抜毛買い取り人のひとりであるマ・カインが移動買い取りを行う毛髪市場状況を説明した。
 とはいえ、学校が始まる時期である6月、7月に、子供の学費のために髪を売る人が多いほか、パゴダ祭りやその他の集まり事などがある時期は髪を売る人が多いため、抜毛を移動して買い取る人にとって稼ぎ時と言えることを、同氏がユーモアを交えて語った。
 タウングー市サティー通りの毛髪買い取り人のもとを訪れて、自分の髪を切って売ったタンタピン郡チャウッパトー村に住む25歳ぐらいのドー・テッターも「髪の毛を売らなければならないのは当然惜しい。この髪は3年ほどかけて伸ばしてきた(長さ2フィートほどの髪)。けれども、村はずれの寺院に建設中の戒壇のために寄付をするということで売りに来た。村から出るときに、毛髪の仲買人が2万チャットで買い取ると言った。もっと高値だと思ったので、この市内まで売りにきた。結局値段はあまり変わらなかった」と本誌に語った。
 国内毛髪市場では、長さが3フィート以上ならば80万、90万チャットで買い取るという噂が一部にあるが、現在、誰もその値段で買い取る人はいないことを、タウングー市で毛髪取引を行っている人々が同様に語った。
 現在、タウングー市の毛髪市場で、抜毛よりも髪束をより多く購入することができるが、今後、髪束が品薄になってくること、市から遠く離れた村落に重点をおいて購入に出向かなければならないことを、台所用品である中国製のスチール弁当箱、スチールコップ、スチール皿などと毛髪を交換で買い取るドー・モーが語った。
 髪束が市場で希少になってくることは、文化の変化により、ミャンマー人女性たちが短い髪で短いスカートをはくことが、より似合うと考えるようになったことも影響していると、同氏が自身の見解を述べた。
 「今後、私たちは、髪を伸ばしている青年男性を頼りにしなくてはならない。彼らは、長い髪を売ることにためらいがない。お祭りなどの日に彼らはよく売る。お祭りに、恋人をつれて出かけるために、新しい服を買うために、お金が必要になるからだ」と同氏が最近の状況を語った。
 国内市場から出荷されるミャンマーの毛髪は近隣諸国の毛髪より有名で、相場も他の地域の毛髪より値段がいいと、国内市場で毛髪取引を行う人々は話す。
 いずれにしても、現在、ミャンマー国内の毛髪市場は、都会だけでなく、田舎の至る所でもよく取引されており、一ヶ月につき毛髪15トンから20トン近くが国外へ輸出されているが、国内から買い取って行った毛髪を国外でどのように利用しているのかを知らないことは、国家にとって損失であること、原料を売る段階から、加工品を生産できる段階にまだ変われないならば、近隣諸国である中国やタイのような市場を知る国々だけが長期間にわたって利益を生み出していくだろうと、国内毛髪市場の一部の商人が語った。


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翻訳者:松浦 宇史
記事ID:677