≪論説≫タイ、ベトナムの困難はミャンマーにとってチャンス(10-20-3-1)

2014年06月03日付 The Voice 紙
 政治的に不安定になっているタイで軍事クーデターが起きたこと、中華人民共和国と領海紛争が生じているベトナムで、中国系工場に対し暴力的デモが起きていることなどから、それらの国に投資している事業を存続させることが困難になってきている。
 そうした状況にあって、軍事独裁制から民主制へと平和的に変革を進めているミャンマーは、投資の見込みが最もある国の一つと考えられるようになっている。そのため、アメリカやヨーロッパ、アジア地域からトップクラスの企業がミャンマーへと視察に訪れ、投資状況を調査している。
 この状況は第二次世界大戦中にイギリス人が困難に直面していた時、彼らの支配から独立を獲得するために奮闘していたミャンマーが、「イギリスの困難はビルマのチャンス」をスローガンに、好機を是が非でもものにしなければならなかった情勢に似ている。現在の状況もタイとベトナムの困難はミャンマーのチャンスと言わなければならないものである。
 タイとベトナムはミャンマー同様、世界市場に米を最も多く輸出している国であるだけでなく、外国投資と観光業により、多くの収入を得ている国でもある。現在その二つの国が政治的に行き詰まり、デモ・騒動が起きているためそれを避け、拠点を移して投資事業を行おうとする動きがあり、ミャンマーとしては是が非でもそれを誘致すべき絶好の時期である。
 投資家らを惹きつけることができるように、公平で確固とした法律、電話、インターネットの速度、道路、橋、電灯のようなインフラ、並びに国家の現在の経済規模に見合う安定した不動産の価格、早くて簡便なビザ申請と取得の実現といった事柄から、実行性があり迅速かつ明晰な官僚機構による一連の手続きにいたるまで、準備、体制を整えておかなければならない。
 しかし、過ぎ去った二十年の間に、需要と供給の基本的経済理論を全く理解しない一部の人々と権力を牛耳る一握りの人々が生まれ、彼らが結託して村の周囲の垣根を薪にする[訳者注:見通しの無いままに大事なものを切り売りするの意]かのような、許可やライセンス、入札に基づく経済スタイルを続け、関連する全ての分野において、悪い習性が蔓延したままで、外国投資の大きな妨げになっている。
 エンジンオイルを、国際的な基準に従って、適正な重量、品質、価格で売却するという諸外国の石油会社に、参入する許可を与えないため、今日まで不正な重量、混じりもの、着色され、高価格な燃料油を購入して使用しなければならないこと、19世紀さながらの銀行制度のままでやりくりしている国内のプライベートバンクと政府の管轄下にある中央銀行の、私利私欲追求と無縁でない理由づけで、諸外国の銀行が参入する許可を制限していることなどがその点を示す最も顕著な証左である。
 今日まで個々人の経済を防衛するため、権力者とコミッション、シェアを分け合って、外国投資を明らさまに、あるいはそれとはわからぬかたちで、制限阻止すべく努力する者達を、法の支配もなく許しておくなら、連邦国家全体とすべての自国民が手にすべきチャンスを妨げ禁じることになるだけでなく、タイとベトナムが困難に遭遇している好機を掴むことなく逸し、振り出し状態から浮上できないことになる。もしそうなれば、歴史的犯罪者としての罰を免れられはないということを認識してもらいたいものだ。


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翻訳者:小林奈那
記事ID:811