害となる開発(10-25:11-12)

2014年07月07日付 The Voice 紙
 国土全域に電力を行き渡らせるのに今後15年を目途としているミャンマーに対し、石炭火力発電所の建設を早期に実現することで、電力不足の問題は解決できるとADB(アジア開発銀行)や世界銀行のような組織が提案した。どのような計画であっても、実現するにあたり、自然環境や人々の社会生活に損害を及ぼすため、政府、企業と地元民の間に対立が起きているミャンマーにとって、その提案はエネルギー不足の問題に対する良い解決方法ではないというのが環境保護学者らの見解である。
 「電力を得るために石炭を使うということがミャンマーにとって解決策になるというのは、同意できない。」とアメリカ環境保護庁の前局長Bruce Buckheit氏は言う。
 ミャンマーに炭田は16ほどあり、そこから2億7千万トン石炭が採れるが、シャン州南部のティーチッ炭鉱はミャンマー最大の露天掘り方式の炭鉱であるだけでなく、1日に2000トンほど生産できるということがPYO(パオー青年機構)の調査レポートに記されている。
 その他に、石炭が多く採掘される地域としてはカレーワが何年もの間トップで、今でもたくさんの石炭が採れる。
 上記ティーチッ炭鉱と燃料を使用する発電所を2012年にCHMC(China Heavy Machinery Corporation 中国第一重型机械集团公司)とミャンマーのエーディングループ社並びにシャンヨーマナガー社が共同出資で稼働して、1年で石炭を60万トン以上使用したということが上記のプロジェクトデータからわかった。
 ミャンマーの水力、ガス、石炭による発電は、今年の会計年度において4326メガワット、2015-2016年においては4929メガワットを発電、供給できる予定であると、電力省副大臣ウー•モータートゥエが6月18日に開かれた連邦議会で述べた。
 そのように、電力供給のために石炭を用いた発電所を建設することは、自然環境と健康を損なう危険性が大きいので、ミャンマーで上記の計画が実現されることを、自然環境保護に懸命に取り組む組織と地元民が猛烈に反対し批判している。
 また、諸外国の企業の投資によって石炭火力発電所がここ数年でミャンマーに建設されるようになることに対して、鉱山研究者のウー•ソーモーミンも次のように疑問を呈した。
「現在のように外国の投資によって石炭火力発電所が建設されるというなら、自然環境に被害が及ばないように、一体全体どんな予防策をしているのか問い質す必要がある。」
 ミャンマーで1番大きいティーチッ石炭発電所では、近隣の村人は移転しなければならず、農地も没収され、工場からは毎日有毒な灰が排出されているので、健康被害に見舞われていることが上記の地元民によりわかった。
 「灰のせいで気管支系の病気や、皮膚病さえも起きている。」とティーチッ石炭火力発電所近くのラインカー村の住民の一人が言った。
 このように自然環境と健康に被害を及ぼしているので、企業側は空気浄化装置を設置し、大気汚染を減らしているということだが、現在役に立っておらず、廃棄された汚水も川に流入しているので、環境への被害は悪化していると同氏は続けて語った。
 「全ての企業が工業施設を建設する時、周囲の環境に被害を及ぼすことを禁じる法律に従ってないことが見受けられる。これらは調査するのが難しく、遵守することもまた難しいのがわかる。」とBruce Buckheit氏が諸外国の進行中のプロジェクトと照らし合わせて指摘した。
 シャン州南部だけでなく、東部(チャイントウン市)、モン州(イェー郡)、タニンダーリー管区域(ダウェー市)、エーヤーワディ管区域(ンガヨウッカウン郡)、ヤンゴン管区域(クンチャンゴン郡)などで石炭火力発電所を建設することに企業は意欲的だ。
 エーヤーワディ管区域、ンガヨウッカウン支郡にある5000エーカーの土地で500メガワットの電力を生産できる発電所を今年中に建設するために、企業は土地の調査測量を行っているということをエーヤーワディ管区域住民のウー•モーが言った。
 同様に、モン州イェー郡アンディン村落にも1000メガワットの電力を生産できる発電所を今年末に建設し始めるということをToyo-Thai Groupが発表した。
 「地元住民へプランを示して通知することはなかった。加えて、プロジェクト実施地域と村落とは400メートルほどしか離れていないので、地元住民が病気になることが懸念される。」とモン州EITI(採取産業透明性イニシアティブ)のメンバーの1人であるウー•キンマウンエーが言った。
 さらにヤンゴン管区域、クンチャンゴン郡タウンゴウン村落でカウンミャッドミェ会社が3000メガワット以上供給できる石炭火力発電所を建設するために地元住民らと事前協議会を行っているが、プロジェクトが原因で、村落からの移転や健康被害といった問題が生じうるので、地元住民らは上記の計画を受け入れないということをクンチャンゴン・ネットワークの副議長ウー•エーシュエが言った。
 国内の供給不足を埋めるため必要に応じ、炭鉱から石炭を採取するので、周囲の環境に被害を及ぼしていると、カレーワ郡開発委員会の会員が次のようにコメントした。
 「この地域から山がなくなってきた。森林がむやみに伐採され、気温も明らかに毎年高くなっている。」
 ベイッ市で50メガワット、ラウンローン市で500メガワット、タニンダーリー郡などで2640メガワット生産できる発電所を建設する予定であるということが電力省によりわかった。
 「石炭火力発電所の建設を世界銀行が定めた基準に則り実行に移していく。」と6月30日、ネーピードーのアマラーホテルで開催された、天然資源による電力発電に関する協議会で、電力省副大臣がきっぱりと発言した。
 ミャンマーの6万以上の村は現在もまだ電気を得られていないので、電力供給の不足を埋めるために、周囲に被害を及ぼさない太陽光発電などの方法に考えを変える必要があるということを、ミャンマー恒常エネルギー委員会の事務局長、ウー•アウンミンが提案した。
 それゆえ、未だ電力需要が満たされていないミャンマーにとって、現在完成予定の石炭火力発電所から関係地域のために電力を供給することができるのは発展だと言えるが、環境破壊や健康被害などの悪い副作用もあるので、上記の計画の実現は相応しくないと、環境保護学者らが注意を喚起した。
 「発展と言われれば発展だ。しかし長期に国民が被害を受けるというなら、全くもってやるべきではない。でなければ、毒に侵されてしまう。」と環境保護学者のウー•オウンが警告した。


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翻訳者:田崎巧
記事ID:936