≪社説≫ベルリン・アムステルダムから(10-34-19-1)

2014年09月09日付 The Voice 紙
 ミャンマー国民に、世界でどの国の車が好きか尋ねると、ほぼ全ての人がドイツ産の車が好きだと答えると思う。同様にどのブランドの車が好きか尋ねると、MercedesやBMW、Porsche、Audi、Volkswagenが好きだと口を揃えて言うだろう。
 それもそうである。ミャンマー国民は、ネーウィン政権とその後の軍事政権の二代にわたる権力の濫用、誤った統治と私利私欲の追求の結果、貧困のどん底に陥り、世界で最も粗悪な製品を仕方なく使用してきた。本来誰しも世界最高品質の製品を、諸外国に住む自由な国民と同じように、収入からお金を出して購入し、使用したいと思うはずだ。
 西洋諸国による経済制裁は、軍事政権の変革に結びつかなかっただけでなく、すべてのミャンマー国民に、否応なくそれらの国々に対する好ましくない感情を植え付けた。ミャンマー国民の真の希望を無視しながら権力を奪取したあげく、厳しく抑圧、支配してきたことが主たる理由だったのにも関わらず、西洋諸国の経済制裁のためにミャンマーは貧しかったのであると繰り返し責任転嫁する格好の材料を提供してきた。
 どのように理由を示し公言してきたにせよ、今日のミャンマーの変革への歩みを、以前は制裁措置を科した西洋諸国が、あたたかく親切に歓迎、支持し、そればかりか必要に応じて援助の手を差し伸べてくれた。隠れた動機からではなく、ミャンマー国民全体の民主化に向けた取り組みを認め、支持し、独裁制から民主制への変革を歓迎、支援する意向が一層強まっていることが分かる。
 結果として、以前はアセアン諸国、北京、平壌といったところと、肩身の狭い思いをしながら外交してきたが、今日では東京、ワシントン、パリ、ベルリン、アムステルダムにまで足をのばし、より遠くへ外遊し新たな国際環境に触れることが出来ている。同様に、以前は近隣の大国の支配のもと卑下しつつ支援を受け、国家の主席ではない二級クラスの地方政府リーダーの来訪しかなかったのが、今日では大国の大統領、首相などのトップがミャンマーを対等に捉えたうえで敬意を払って訪れている。
 3年余りの任期の中で良いことにも悪いことにも直面し対処してきたテインセイン大統領であるが、今日ベルリン、ボン、アムステルダムといった一連の行程の中で、ヨーロッパと相互に強固な友好を結び、対等な関係を構築し、支援、協力ももたらされるようになると信じるものである。


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翻訳者:大橋 響
記事ID:1012