《巻頭》買う前に考えよ(10-48:3-6)レーイエーミィン/ヤレィ

2014年12月14日付 The Voice 紙
以前は、根拠なく憶測で語った。今、確信とともに話す。

 最近、食品医薬品局(FDA)がヤンゴン、ネーピードー、マンダレーの市場を移動検査車で回って検査を実施しており、日常的に食べている魚醤(ガピ)、唐辛子の粉末のようないくつかの基本食品に、危険な化学物質が含まれていることを公表した。
 以前は、危険があると分かっていても、証拠がなく、口を閉ざしていなければならなかった。飲み水のタンクに微小な混入物があることに目をつむって耐えなければならなかった。その理由は、証明することができないからというものだった。
 現在は、証明することができるようになった。
 しかし、法律による強い反応はまだない。回収だけがある。目下のところ、FDAは市場に出回っている承認されていない着色料を含んだ食品だけを、主に検査していると、ヤンゴン支部副局長ドクター・ドー・ジンジンヌウェは話す。
 着色料を用いた肉団子、薄切り肉、ドライフルーツ、魚の練り物、豚肉のソーセージ、鶏肉のソーセージのほか、牛乳、海産物も検査していることが、保健省への取材から分かった。
 そのほか、一部の既成食品が国境を越えて違法に入ってきており、国境のFDA検査所も通過しないため、検査しきれなかったものがあること、市場にはそのようにFDAが検査していない多くの食品を見つけられることを、ドクター・ドー・ジンジンヌウェが加えて語った。
 魚醤を好んで食べているモーラミャイン出身のドー・エーエーも、ヤンゴンの魚醤に不信感があり、化学物質をつかっていない地方からの魚醤だけをわざわざ注文して食べていると、おどけて話す。
 「年をとってくると、食べるものを考えないわけにはいかない。人々が病気になることが多くなっている。それで、健康のために果物や野菜をたくさん食べる。果物や野菜にすら農薬が使われていると言うなら、何を料理して食べるべきなのかさえ分からなくなる」と同氏は話す。
 現在、幼い子どもたちが食べるお菓子には着色料がかなり入っている。伝統食のお茶にも着色料が入っている。魚醤にも禁止されている着色料が入っている。ビンロウ、生姜のおかず、パパイヤジャムには、水硫化ソーダ(sodium hydro sulfide)が検出された。
 同様に、様々な日常食でも、承認されていない多くの着色料が検出されている。
 FDAが検査して、禁止されている着色料が含まれていると、市当局の責任者らが品を差し押さえ、商人に注意を与える。小売り店、地区の市場の店でも、そのようにしている。
 普通の地域の市場で商売する人々は資本がないうえに、物を売ったそばから商品を没収され、刑罰を受けなければならないとなると、悩みが尽きず、心配になってしまうと、テインヂー市場、26番通りで、雑貨店を開いているドー・チッスーが語った。
 「自分たちが商売すると、100チャットでも200チャットでも売り上げなければならない時もあるのに、健康に悪いと言って、商品を没収したり、店を閉めたりまでするのは受け入れられない」と同氏が語った。
 ヤンゴンにあるニャウンピンレー市場、バズンタウン市場、サンビャ市場、テインヂー市場、ティリミンガラー市場における検査によると、魚醤29種類のうち2種類で、色付けの粉50種類のうち7つで、禁止されている着色料が見つかったと、FDAヤンゴン支部から知ることができた。
 さらに、マンダレーにあるナンシェー市場、ゼーヂョー市場、ミンガラー市場、ミャナンダー市場、ニャウンピンレー市場を回って検査したところ、商標のないマンゴーの漬物と豚肉団子に、有害な化学物質が検出された。
 ネーピードーのカウンスィー地域にある市場でも、商標のない生姜の漬物5種類、魚醤6種類、タカナの漬物、たけのこなどで検出された。
 禁止された着色料を含有した食品を、長期にわたって食べると、肝臓癌になる可能性があり、ビンロウに含まれた水硫化ナトリウムは低血圧、めまい吐き気、腹痛を引き起こし、喘息の人は失神や気絶まで起こりうると、総合診療医が注意喚起している。
 ヤンキン小児病院で、食べたものが原因で入院しなければいけない患者は、普通いないこと、体に合わない食品のために嘔吐、下痢をしていても証明することがないことを、ヤンキン小児病院の集中治療棟責任者ドクター・チョーズィンウェーが本誌に語った。
 「子供達が有害な添加物を摂取していることは、すぐには影響が出ない。時間をかけて積み重なって問題が起きる。毒を肝臓が消化するというが、一度に、多く摂取したというようなことでなければ、すぐには分からない。唐辛子にはカビが含まれている。肝臓癌になる可能性があるといっても、カビもいつも含まれている」と同氏は話す。
 そのように、命の危険があり、食べた人の健康を害するなら、消費者保護法に基づいて、被害を受けた人は訴える権利がある。
 最近、可決された消費者保護法によると、食品の回収、販売権の停止に加え、最高3年以下の禁固刑、あるいは500万チャット以下の罰金、もしくは禁固刑と罰金を合わせて科されることもあると規定されている。
 同様に、国民食品法では、違法な行為をした人は最低5万チャットから50万チャットの罰金を支払わなければならないように、2013年8月に改正された。
 しかし、その罰則は隣国である中国と比較すると大変軽い。
 その事実に関して、ミャンマーでは中国との国境から違法に入ってくる食品を取り締まる力が弱いが、中国側では食品に関する法律を破ったならば、最高で死刑まで宣告されると中国政府の関係筋が指摘した。
 それは、中国政府の関係筋が責任逃れをしているのかと、また疑問がでてきた。
 いずれにせよ、確かなのは、ミャンマーで食品に関して告訴するのはまだ難しいと、タウンドウィンヂー郡におけるお菓子改善運動を先導したドクター・チョースウェが語った。
 食品医薬品局(FDA)ヤンゴン支部副局長も、1997年に制定された国民食品法を改定した法律に欠点があるため、食品の検査と告訴に関して、まだ有効な手が打てていないと認めている。
 そのため、「食中毒も最初の一口から、旅先の事故も最初の一歩から」にならないように、モーラミャインからヤンゴンに引っ越してきたドー・エーエーは自分自身だけを頼りとしてひとり考えなければいけない。
 とりあえず、モーラミャインやベイッの魚醤で満足しておかねばならない。他の野菜や食品を買うにも、十分な時間を使って、考えなければならない状況を同氏がこのように語っていた。
 「ヤンゴンで食品を買うのは、本当に注意していなければならない。ちゃんと考えなければいけない」
                             レーイエーミィン/ヤレィ


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翻訳者:松浦 宇史
記事ID:1220