《社説》平和を欲すなら(10-48-19-1)

2014年12月14日付 The Voice 紙
 平和を欲するのなら戦争を知らなくてはならない。
 平和を欲するのなら戦争を理解することが必要であるように、戦争を理解するには平和の本質に精通しなくてはならない。戦争を理解することで平和を知れるように、平和を学ぶことで戦争を知れる。まことに戦争と平和は切っても切れない関係である。
 戦争の後、人々はみな戦争に嫌気がさして平和を手にする。あるいは戦争の後、敗者が勝者に報復しようとすれば戦争が起きそうな状況が生まれてくる。
 戦争をする人の中には、戦争(戦争の弊害)を知り平和を望む人もいれば、戦争(戦争で権力や富が手に入ること、特に豊富な天然資源が自国の経済を発展させること)を知り戦争を続ける人もいる。戦争は人々を殺したり怪我をさせたりたりし、哀しい気持ちにさせる。戦闘の起きた土地や国では発展が遅れる。しかし、戦争をしている人は戦争をすることでますます権力や富を手にするので、戦争を止めることが難しい。
 内戦の起きている国では、戦争が激化するにしたがって、政府側でも反政府側(政府に反抗している人)でも軍人が必要以上に力を持つ。戦争が無ければ軍人の力も減る。
 平和について絶えず述べ、平和を称揚している国でも、武器の製造や販売を大々的に行っている国がある。戦争が起きると、武器を生産している国は直接的には戦争に参加していなくても儲かる。例えば、ノーベル平和賞など平和に関して様々なことを行っているノルウェーは、平和国として世界中で知られている。ノルウェーの首都オスロで締結されたオスロ合意は、イスラエルとパレスチナを平和に導くことのできる条約であると世界で有名である。しかし、ノルウェーは世界で最も多くの武器を輸出している国であるということを知っている人は少ない。
 強力な軍事力も戦争を抑制することができる。1815年頃から他国との戦争に関与してこなかったことで平和国として有名なスイスは、ヨーロッパで最も強力な軍事力を誇っている国の1つである。小国であるにもかかわらず大きな軍事力を有しており、周辺の大国がこれを恐れて干渉できないため、長期にわたる平和が維持されたのである。
 国内で起きた戦争の多くは外国と関連している。例えば、外国の共産主義者に対する支援を中華人民共和国が打ち切ったタイミングと、ミャンマーにいた共産主義者の軍隊が崩壊したタイミングが一致している。ミャンマー国内にある政府組織でない武装組織は、中国やタイとの国境際を活動拠点としている。中国共産党に反対している中国国民党政府軍をアメリカが支援したところ、中国国民党政府軍の一部がミャンマーに進撃してきた。アフガニスタンや旧ユーゴスラビア、ウクライナで起きた戦争には大小の外国が関連している。
 戦争の発生や継続には、経済問題や民族問題、思想信条の問題など多くの原因がある。こうした根本的な問題を解決できて初めて平和が訪れる。旧植民地国家では、植民地時代の現地人に対する分割統治が、現地人同士の対立を招く原因の1つとなった。
 戦争の準備をしている一方で平和を唱えているように、平和運動を行う一方で戦争も起こる。なので、平和が唱えられるたびに喜びに浸る必要はないのと同様に戦争が起こるたびに過度な心配をすることもない。
 戦争を知って初めて平和をもたらすことができる。戦争をしている人たちが戦争を止めようという気持ちを持って初めて平和になる。
                                編集者(2014年12月10日)


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翻訳者:高山秀俊
記事ID:1221