(社説)国民をないがしろにするのか

2015年06月04日付 The Voice 紙
 2015年5月21日より今年の雨期用に農民に貸し付けている中央銀行からの貸付金4000億チャットを許可するよう、6月2日に大統領が連邦議会へメッセージを送り要求したことは大変奇異なことである。
 憲法および議会と行政執行に関する現行の法律や手続きにしたがって、政府のすべての費用や貸借金は、まず議会に提出してその許可を得てはじめて、使用したり実現したりすることができるが、政府が中央銀行から自分の意向で金を借り出して使用してから議会に許可を求めたことは法的に言えば法律に適合しない行動となる。
 もう一段高い次元で見れば、憲法の各項目について法律によって与えられた権限や管轄、段階を踏む手続きがある中で、これほど膨大な額のローンを政府の意図のみで借り出し、使うことは、意図するにせよ、しないにせよ、国民の代表で組織した立法議会の権限を尊重していないという意味合いを帯びる。
 通常、政府機関のある省の出費や貸借金はことごとく、少なくとも、直近のキャビネットと呼ばれる政府月例会議で提案・協議し、その会議が承認・決定してはじめて、当該事業を実現させることができる。
 同様に、政府の承認が得られたとしても、政府の通常の手続きにしたがって、直近の連邦議会会議にあらかじめ送付し、承認を得てはじめて中央銀行から借り出すことができる。
 自由なかつ独立の立場になくてはならない中央銀行も、政府が借り出そうとする金額、要求する金額をことごとく貸し出す権限はないのであって、法律と手続きにしたがって、連邦議会が承認し許可してはじめて貸し出すことができるのだが、国庫からいとも簡単に貸し出してしまっているため、中央銀行の立場と管轄について疑問を抱かざるを得ない状況になっている。
 特に政府の任期終了が間近であるような時期に、国家予算つまり国民の金を、国民が選出した立法議会にあらかじめ知らせずに、項目一つ立てて支出してしまってから、不正を生み出しうるような形で知らせ、許可を求めることは、意図していようと、いまいと、憲法に違反しているのみならず、立法議会と国民全体をないがしろにしているということになると知らしめたい。
               編集者 2015年5月2日(訳者注―日付は6月2日の間違いと思われる。)


同じジャンルの記事を見る


翻訳者:久宗美里
記事ID:1538